「名は体を表す」という言葉があります。
これは、名前がその人の性格や姿を反映するという意味です。
そもそもこれは仏教由来の言葉で、「名詮自称(みょうせんじしょう)」とも言います。
おそらく、研究者がこの言葉を意識したわけではないでしょうが、それを証明しようとした研究があります。
この研究によると、名前が私たちの顔の特徴にも影響を及ぼす可能性があるということです。
今回は、その研究結果をご紹介します。
イスラエルの研究チームが行ったこの研究では、成人と子供の顔写真を用いて名前との一致率を調査しました。
参加者は成人と子供の顔写真を見て、4つの名前からその人物の本当の名前を選ぶタスクを行いました。
その結果、成人の顔と名前は30.40%の確率で一致し、偶然の一致率(25%)を有意に上回ることが分かりました。
一方、子供の顔と名前の一致率は22.70%であり、偶然の一致率を下回りました。
さらに、研究チームは機械学習技術を用いて名前と顔の類似性を評価しました。
Siamese Neural Networkという高度な技術を使用し、成人の顔と名前の間に60.05%の類似性向上を確認しました。
この数値も偶然の一致率を有意に上回りました。
一方、子供の顔と名前の類似性向上は51.88%で、偶然の一致率との差は有意ではありませんでした。
これらの結果は、名前が成人の顔立ちに影響を与える「自己実現的予言」の結果である可能性を示しています。
子供の頃はまだ名前の影響を受けにくいですが、成長するにつれて名前に関連する社会的な期待やステレオタイプが顔立ちに影響を与えるのです。
例えば、「穏やか」という意味の名前を持つ人は、穏やかな表情や髪型を選ぶ傾向があり、それが顔立ちに反映されるのかもしれません。
さらに興味深いのは、子供の顔写真をデジタル技術で成人の顔に加工しても、名前と顔の一致は観察されなかったという点です。
研究者たちは、顔立ちの変化が単なる生物学的成長だけでなく、社会的な経験や自己認識にも影響されるのだと主張しています。
つまり、「名は体を表す」という言葉が、私たちの外見にも当てはまることが科学的に裏付けられた…ということでしょうか。
自分の名前がどのように顔立ちに影響を与えているのか、鏡を見ながら考えてみるのも面白いかもしれません。
参考文献:
Zwebner Y, Miller M, Grobgeld N, Goldenberg J, Mayo R. Can names shape facial appearance? *Proc Natl Acad Sci USA*. 2024;121(30):e2405334121. doi:10.1073/pnas.2405334121.

