恐らく日本の一般的な「50代男性」には、あまり興味もないお話なのではないでしょうか。
それどころか、タイトルからして「50代男性」の批判的・懐疑的思考を刺激しまくっています。
「感謝の気持ちが健康と寿命に良い影響を与える」
私たちは高度経済成長期に育った、いわゆる昭和の人間ですから、現実的な問題解決や過度なポジティブ思考に懐疑的になることが多く、「感謝」や「許し」、「愛」などと言った言葉をこっぱずかしく感じてしまう世代です。
恥ずかしいので、へそを曲げるのです。
特に「感謝しなさい」などと言われると、それを押し付けられたくなくて、自己決定感を守ろうと、理由もなく反発するといった醜態をさらすことになります。
だから、我々オジサンは、いよいよ世間から取り残されてしまうのでしょう。
さて、オジサンの愚痴はこの辺にして、論文の内容を見ていきましょうか。
アメリカの高齢女性看護師を対象にしたこの研究は、感謝の気持ちが死亡率にどのように影響するかを調査したものです。
研究では、49,275人の看護師が参加し、2016年から2019年まで追跡されました。
彼女たちの感謝のレベルは6項目の感謝質問票(GQ-6)で測定され、死亡率との関連が分析されました。
GQ-6は、感謝の感情を測定するために開発された心理学的評価ツールで、6つの項目から構成されています。
- 私は人生において感謝していることが多い
- 他の人々に対して感謝の気持ちを頻繁に感じる
- 日常の中で小さなことでも感謝の気持ちを感じることができる
- 感謝の気持ちを表現することは私にとって重要である
- 私は人生で受け取った多くの恩恵に感謝している
- 私は感謝の気持ちを持つことが自然に感じる
その結果、感謝の気持ちが高い人は、感謝の気持ちが低い人に比べて全体の死亡率が9%低いことがわかりました。
この効果は、年齢や健康状態、生活習慣などの要因を調整した後でも一貫していました。
特に注目すべきは、心血管疾患による死亡率が感謝の気持ちが高いグループで有意に低かった点です。
心血管疾患とは、心臓や血管に関連する病気のことで、例えば心臓病や高血圧が含まれます。
感謝の気持ちが健康に良い影響を与える理由の一つは、ポジティブな感情がストレスを軽減し、心の健康を向上させるためと考えられています。
感謝することで、日常生活の中での小さな幸せや良い出来事に気付きやすくなり、それが全体的な幸福感につながります。
また、感謝の気持ちが強い人は、社会的なつながりや支援を受けやすく、これが健康を支える大きな要因となっています。
個人的には、これが大きいのではないかと思っています。
実際に、いつもプンプン怒っている人よりも、にこやかに「ありがとうね」と言ってくれる人の方が支援を受けやすいというのはありますからね。
そして、この論文では、感謝の気持ちを高める方法をいくつか提案しています。
例えば、毎日感謝していることを書き出す「感謝日記」や、感謝の気持ちを伝える手紙を書く「感謝の手紙」など。
これまでの研究では、感謝の気持ちと精神的苦痛のリスク低下、感情的・社会的幸福度との間に関連性を示すものがほとんどでした。
しかし、この研究では、感謝の気持ちが、実際に身体的健康に直接関連があると示したところに意義があります。
健康的に歳を重ねるためには、感謝の気持ちを持つことが大切。
なんだか「菜根譚」のような古典のどこかに書いてありそうな言葉ですね。
参考文献:
Chen Y, Okereke OI, Kim ES, Tiemeier H, Kubzansky LD, VanderWeele TJ. Gratitude and Mortality Among Older US Female Nurses. JAMA Psychiatry. Published online July 03, 2024. doi:10.1001/jamapsychiatry.2024.1687

