「腎臓の検査」と一言で言いますが、実際の現場で行うのは、まず血液検査と尿検査です。
特に、尿検査は手軽なうえに、そこから得られる情報は、一般の方々の想像以上に豊富です。
健診などの尿検査の結果を思い出してみてください。
健康な方ならば、そこに並んでいる結果は(-)の羅列でしょう。
尿蛋白や尿潜血、尿糖やウロビリノーゲンなど、腎臓が正常に機能している場合は、それらはほとんど尿中に排出されません。
しかし、腎臓が損傷を受けると、尿中に漏れ出すことがあります。
タンパク尿とは,尿中にタンパク質(通常はアルブミン)が認められることです。
尿中のアルブミン量をクレアチニン量で割った値を「UACR」と言い、この比率が高いと、腎臓に問題がある可能性が高くなります。
最近の研究では、このUACRと血中の脂質(コレステロールやトリグリセリド)との関係が明らかにされました。
この研究では、19,340人の韓国人データを用いて、UACRと脂質プロファイルとの関連性を詳しく調査しました。
その結果、UACRが高いほど、総コレステロール(TC)とトリグリセリド(TG)も高くなり、逆に高密度リポ蛋白コレステロール(HDL-C)は低くなることがわかりました。
UACRが中等度に上昇している場合(30-300 mg/g)、これが示すのは、腎臓の軽度から中等度の障害の可能性です。
そして、この段階でもすでに心臓病のリスクが高まっています。
さらにUACRが300 mg/gを超えると、重度の腎臓障害を意味し、脂質異常もさらに顕著になります。
具体的には、TCやTGが高くなり、HDL-Cが低くなります。
HDL-Cは「善玉コレステロール」とも呼ばれ、血管を健康に保つ役割を果たすものです。
この善玉コレステロールが低いことは、血管の健康にとって良くないサインです。
この研究は、UACRが単に腎臓の健康を示すだけでなく、血液中の脂質バランスとも深く関連していることを示しています。
つまり、簡単な尿検査で心血管疾患のリスクを予測できるかも知れないということです。
腎臓の健康を保つことが、全身の健康維持に繋がる重要なポイントであることを、改めて理解しましょう。
参考文献:
Hwang SW, Lee T, Uh Y, Lee JY. Urinary albumin creatinine ratio is associated with lipid profile. Sci Rep. 2024;14:14870. doi:10.1038/s41598-024-65037-w.
