高血圧治療において、薬を飲む時間を調整することで、治療の効果が変わるかもしれません。
現在、薬の服用時間は「朝食後」や「夕食後」といった食事の時間に基づいて決められることが一般的です。
この方法は、服薬の習慣を確立しやすくし、薬を飲み忘れることを防ぐために効果的です。
また、食事と一緒に薬を摂取することで、胃腸への負担を軽減し、副作用を抑える効果もあります。
一方、今回の研究では、薬の服用時間を患者個人のクロノタイプ、つまり生体リズムに合わせて調整する方法を提案しています。
クロノタイプとは、個人の朝型・夜型といったサーカディアンリズムの特性を指します。
具体的には、夜型の人は夜に、朝型の人は朝に薬を飲むことで、治療効果を最大化しようというものです。
この研究では、5,358人の参加者が、朝に薬を飲むグループと夜に薬を飲むグループに分けられました。
参加者は事前に質問票に回答してもらい、夜型か朝型かを判断されました。
結果として、夜型の人が朝に薬を飲むと、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることがわかりました。
一方、夜に薬を飲むと、このリスクは低くなりました。
朝型の人は、朝に薬を飲むことでリスクが低く、夜に飲むと逆にリスクが高くなりました。
つまり、薬を飲む時間を自分のクロノタイプに合わせることが重要だということです。
具体的には、夜型の人が朝に薬を飲むと、非致死性心筋梗塞(MI)のリスクが1.62倍に増加しますが、夜に飲むとリスクは0.66倍に低下します。
比較
- 効果の違い:
- 食事時間に基づく方法では、一般的な患者全体に対して効果的であるとされていますが、個々のリズムに最適化されていないため、治療効果にばらつきがある可能性があります。
- クロノタイプに基づく方法は、個々のリズムに合わせることで、より効果的な治療が期待できます。研究では、特に夜型の人が夜に薬を飲むことで、心筋梗塞のリスクが低減することが示されました。
- 習慣化のしやすさ:
- 食事時間に基づく方法は、日常の食事と結びつけることで、薬を飲み忘れるリスクが低くなります。
- クロノタイプに基づく方法は、患者が自分のリズムに合わせて服用時間を調整するため、習慣化するまでに時間がかかるかもしれません。
- 実用性:
- 食事時間に基づく方法は、既に広く実践されており、特に追加の手間がかからないため、実用性が高いです。
- クロノタイプに基づく方法は、個々のクロノタイプを評価する手間があるため、医療現場での導入には工夫が必要です。しかし、これにより得られる治療効果の向上を考えると、その価値は高いと言えます。
このように、従来の方法とクロノタイプに基づく方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
どちらの方法がより適しているかは、患者個々の状況や医療現場の環境によって異なるでしょう。
将来的には、クロノタイプに基づく方法が広く普及することになるかも知れません。
