感謝する人は退屈してるヒマなんてない?

 

「感謝」が。私たちの生活にもたらす影響は多岐にわたりますし、その効果はさんざん耳にしてきました。

最近の心理学の研究によれば、感謝は単にポジティブになるというだけでなく、「退屈」という一見避けられない感情の予防や軽減にも効果的であることが示されています。

この研究結果は、私たちが自分の生活を振り返るときに、新たな視点を与えてくれます。

退屈は「満足できる活動に従事したいができないという不快な体験」と定義されます。

この感情は、環境や行動からの刺激が不足していると感じるときによく現れ、不満や無気力へとつながることがあります。

しかし、感謝の感情を持つことで、これらの感情がどのように軽減されるのでしょうか?

研究者たちは、感謝が人生に意味を見出す助けとなり、その結果として退屈を感じにくくなるという仮説を立てました。

この理論を証明するため、5つの異なる研究が行われました。

1の実験:

感謝の感情と退屈感の関連性を探りました。81名の参加者が「感謝恨み評価テスト改訂短縮版」と「退屈傾向尺度」を使用して感謝と退屈のレベルを自己評価しました。この研究では、感謝の感情が強いほど、退屈を感じる度合いが低いことが確認されました。

2の実験(2a2b):

2aでは、別の感謝の尺度「感謝アンケート」と「退屈尺度」、さらに「人生の意味アンケート」を使用して120名の参加者を調査しました。この実験では、感謝が人生に意味を与え、それが退屈を減少させる可能性が示されました。

2bでは、230名の参加者が前述の尺度に加えて、「ポジティブ・ネガティブ感情尺度」も使用し、感謝、人生の意味、退屈感の関連をより詳細に分析しました。感謝が退屈を減少させる経路において、ポジティブおよびネガティブな感情も考慮することで、分析の正確性が高められました。

3の実験:

200名のMTurkワーカーを対象に、現在の退屈感と感謝の感情の関連性を評価しました。この実験では、以前の尺度に加えて、「現在どれだけ退屈か」という直接的な質問を含めました。結果は、感謝の感情が強い人は現在の退屈感が低いことを示し、感謝が即時の退屈感にも効果があることを示しました。

4の実験:

244名のMTurkワーカーを対象に、現在の感謝の感情とその時点での退屈感の間の関連性を調べました。この実験は、感謝が現在の退屈感に及ぼす影響の詳細を掘り下げ、感謝の感情と人生の意味、そして現在の退屈感の間に相互作用があることを確認しました。

 

ここに挙がっているMTurkワーカーとは、Amazonが提供するクラウドソーシングのプラットフォームAmazon Mechanical Turk(MTurk)を利用して仕事をする人々のことを指します。

このプラットフォームでは、世界中の個人がインターネットを通じて、一般にコンピューターでは難しいが人間にとっては比較的簡単なタスクで、例えばデータの入力、画像の識別、アンケートの回答、短文の書き込みなどが含まれます。

MTurkワーカーは独立したフリーランサーであり、自分の都合に合わせて仕事を選び、短時間で完了できるタスクを行うことが多いです。

したがって、MTurkワーカーは多様な背景を持つ人々から成り、彼らの多様性は研究データの収集において広範な視点を提供することができる一方で、特定の人口統計学的特徴に偏っている可能性もあるため、その点は研究結果を解釈する際に考慮する必要があります。

とは言っても、この研究は、「感謝」が私たちの精神的な健康に及ぼすプラスの影響を再確認する機会を提供しています。

毎日の生活の中で感謝を育むことは、より充実した生活への一歩となるかも知れません。

 

元論文:

O’Dea, M.K., Igou, E.R. & van Tilburg, W.A.P. Preventing boredom with gratitude: The role of meaning in life. Motiv Emot 48, 111125 (2024). https://doi.org/10.1007/s11031-023-10048-9