「笑うことは健康に良い」とは昔から言われますが、科学的にその効果を検証したらどうなるのでしょうか?
特に、ストレスフルな環境で学ぶ看護学生に笑いヨガがどのような影響を与えるのかを調べた研究が発表されました。
笑いヨガとは、ヨガの呼吸法と自発的な笑いを組み合わせたもので、「脳は作り笑いと本物の笑いを区別できない」という考え方に基づいています。
その結果には、笑いの力を再認識させられる内容が含まれていました。
研究の背景
看護学生は学業や実習でのプレッシャーに加え、将来の不安などから強いストレスを感じることが多いとされています。
この研究では、笑いヨガ(Laughter Yoga:LY)が以下の3つの点にどのような影響を及ぼすかを調べました:
1. 幸福感(Well-Being)
2. ストレスの知覚(Perceived Stress)
3. 学業自己効力感(Academic Self-Efficacy:ASE)
研究の方法
この研究はトルコの大学で、看護学部4年生83名を対象に行われました。以下の方法が採用されました:
– 対象者をランダムに2つのグループ(介入群:41名、対照群:42名)に分ける。
– 介入群には週一回40分、合計五回の笑いヨガを実施。セッションは次の4つの要素で構成されていました:
1. 手拍子とウォーミングアップ運動 (5分)
2. 深呼吸 (10分)
3. 遊びを通して子どものような心を取り戻す (10分)
4. 笑いのエクササイズ (15分)
– セッションの前後で幸福感、ストレス、自己効力感を測定。
– 対照群には特別な介入は行わず、通常の生活を続ける。
結果
この研究から、笑いヨガがどのような効果をもたらすかが明らかになりました:
– 幸福感の向上
笑いヨガを行ったグループでは、幸福感スコアが 52.20 → 66.93 に上昇(p < .001)。対照群では変化なし。
– ストレスの軽減
笑いヨガグループでは、ストレススコアが 42.24 → 39.93 に減少(p = .006)。対照群では変化なし。
– 学業自己効力感
両グループともに大きな変化は見られませんでした(p > .05)。
考察とまとめ
この結果から、笑いヨガは看護学生の幸福感を高め、ストレスを軽減する可能性があると考えられます。
ただし、学業自己効力感には有意な影響は確認されませんでした。
また、5回のセッションだけでは十分な効果が得られない可能性もあり、さらに長期的なプログラムの効果を検証する必要があります。
「笑い」がもたらす健康効果は、看護学生だけでなく、忙しい現代人全般にとっても興味深いテーマです。
職場や学校で、笑いヨガを取り入れることでストレスフリーな環境を作り出せるかもしれません。
参考文献:
Yas MA, Incesu O. The effect of laughter yoga on well-being, perceived stress, and academic self-efficacy in nursing students: A randomized controlled trial. Appl Psychol Health Well Being. Published online October 16, 2024. doi:10.1111/aphw.12610
