育児中の親御さんにとって、毎日のミルク作りは大切な仕事です。
しかし、粉ミルクや水の量を正確に量ることは簡単ではありません。
特に、赤ちゃんが泣いているときは焦ってしまい、正確に作れているか心配になることもあるでしょう。
今回は、そんなミルク作りの正確さに関する興味深い研究をご紹介します。
この研究では、84人の保護者を対象に、粉ミルクと水を正確に測ってミルクを作る能力が評価されました。
興味深いのは、赤ちゃんが泣いている状況を再現するために、人形と泣き声の録音を用いて実験が行われたことです。
その結果、泣いている赤ちゃんがいるかどうかに関わらず、ミルクの計量誤差には大きな変化は見られませんでした。
つまり、泣き声のストレスがあっても、保護者は比較的正確にミルクを作ることができたという結果です。
しかし、注意が必要なのは、全体の約3分の1のケースで粉ミルクや水の量に10%以上の大きな誤差が生じていた点です。
10%の誤差とは、例えば約120mLのミルクを作る場合、約12mLの差が生じるということです。
この程度の誤差でも、赤ちゃんの健康に影響を及ぼす可能性があります。
特に、粉ミルクを正確にすくうことは水の計量よりも難しく、誤差が生じやすいことが分かりました。
ミルクの濃度が薄すぎると、赤ちゃんが必要な栄養を十分に摂れず、発育に影響が出る可能性があります。
逆に濃すぎると、消化不良や脱水症状などの健康リスクが高まります。
主な結果
– 泣いている状況でも、保護者は比較的正確にミルクを作ることができた。
– 粉ミルクの計量は水の計量よりも誤差が大きい傾向が見られた。
– 全体で約3分の1のケースで、10%以上の計量誤差が生じていた。
では、どうすればミルクを正確に作ることができるのでしょうか?
今回の研究では具体的な方法までは示されていませんが、基本的なことを丁寧に行うことが重要です。
例えば、計量スプーンをしっかりすり切る、目盛りを確認して水を正確に注ぐなど、小さな注意が赤ちゃんの健康を守ることにつながります。
また、ミルク作りに集中できる環境をできるだけ整えることも意識した方がよいかも知れません。
参考文献:
Rosenkranz RR, Acosta C, Gonzalez-Alvarez A, et al. Accuracy in Measurement of Infant Formula Powder and Water by Caregivers With and Without a Crying Baby Present. JAMA Netw Open. 2024;7(12):e2447362. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.47362
