糖尿病は世界的に増加しており、重要な健康問題となっています。
最近、中国南西部の重慶市で行われた研究で、辛い食べ物を摂取することが2型糖尿病の発症リスクを低減させる可能性があることが示されました。
重慶市は、辛い料理が多いことで知られています。
2型糖尿病は生活習慣と深く関連しているため、食生活の見直しは予防に有効です。
この研究は、中国特有の食文化を反映した興味深い研究と言えるでしょう。
この研究では、30歳から79歳までの約2万人の住民を対象に、辛い食べ物の摂取頻度と2型糖尿病の発症リスクとの関係を調査しました。
そして、約4年間の追跡調査の結果、182人(約1.1%)が新たに2型糖尿病を発症しました。
興味深いことに、辛い食べ物を定期的に食べる人々は、そうでない人に比べて糖尿病の発症リスクが34%も低いことがわかりました。
特に、週に3〜5日辛い食べ物を摂取していた人は、糖尿病リスクが55%も減少しており、最も効果的であることが示されました。
また、辛さの程度についても調査され、「適度な辛さ」を好む人ではリスクが36%低下していることが確認されました。
一方、週に1〜2日だけ辛い食べ物を摂取する人や、「激辛」を好む人では、リスクの減少は明らかではありませんでした。
辛い食べ物の効果の背景には、カプサイシンという成分が影響していると考えられています。
カプサイシンは、血糖値を下げ、インスリンの働きを助ける効果があるとされています。
また、腸内細菌の働きを変化させ、血糖値を調整するホルモンの分泌を促すことが分かっています。
さらに、辛い食べ物は満腹感を高め、エネルギー消費を促進し、脂肪の蓄積を抑制する効果も期待できます。
結果のまとめ:
- 辛い食べ物の消費は、2型糖尿病の発症リスクを34%低減する可能性がある。
- 特に週に3〜5日辛いものを食べると、発症リスクが55%低減する。
- 「適度な辛さ」の食べ物を食べると、発症リスクが36%低減する。
- 週に1〜2日や、「激辛」の食べ物では有意な効果は確認されなかった。
この研究結果から、辛い食べ物を日常的に取り入れることで糖尿病の予防に役立つ可能性があることが示唆されています。
ただし、この研究は特定の地域で行われたものであり、他の地域でも同様の効果があるかどうかはさらなる研究が必要です。
また、これは当然のことなのですが、辛さに対する感受性には個人差があるため、過度な摂取は避け、適度に楽しむことが重要です。
参考文献:
Chen L, Wu X, Zhang R, et al. Consuming spicy food and type 2 diabetes incidence in Southwestern Chinese aged 30-79: a prospective cohort study. Nutr J. 2024;23(1):142. Published 2024 Nov 11. doi:10.1186/s12937-024-00996-4
