「美人は得をする」とはよく言われますが、それはどの程度事実なのでしょうか?
最新の研究は、AI技術を使った「美顔フィルター」を通して、この「美人バイアス」と呼ばれる現象をより深く掘り下げています。
美顔フィルターで魅力度は上がるのか?
自撮り写真に欠かせない美顔フィルター。
でも、本当に魅力度が上がるのでしょうか?
2,748人の参加者による大規模なオンライン調査で、462名の顔写真に美顔フィルターを適用したところ、96.1%のケースで魅力が向上して見られることが確認されました。
この結果は、フィルターの使用が見た目の魅力に与える影響が非常に強いことを示しています。
美顔フィルターとハロー効果
では、美顔フィルターはどのように人の評価に影響を与えるのでしょうか?
心理学では「ハロー効果」と呼ばれる現象があります。
これは、ある人が魅力的だと、その人の知性、信頼性、社交性、幸福感など、他の特性までも高く評価される傾向を指します。
今回の研究結果によると、美顔フィルターを使用することで、知性や信頼性の評価も向上しました。
つまり、美顔フィルターは「ハロー効果」を増幅させる可能性があることが示されています。
年齢、性別、人種による影響
この研究はさらに、評価者の年齢や性別がハロー効果にどのように影響を与えるかも探りました。
例えば、若い女性の顔は、フィルターを使用した後に特に魅力的と評価されやすくなり、結果として知性や信頼性も高く見られる傾向がありました。
しかし一方で、女性が男性から評価される場合、美顔フィルターを使った後には、知性がやや低く評価されることもあるという興味深い結果が得られました。
美顔フィルターは美人バイアスを軽減する?
興味深いことに、美顔フィルターにはハロー効果を軽減する可能性もあることが示唆されています。
美顔フィルターの適用によって全員の魅力度が底上げされるため、個々の魅力度が他の特性に与える影響が均(なら)される可能性があるのです。
特に、魅力が知性や信頼性の評価に与える影響が減少することで、評価がより公平になる可能性が示唆されています。
結果のまとめ
- 美顔フィルターを使用すると、96.1%のケースで魅力が向上。
- 知性、信頼性、社交性などの評価もフィルター使用後に向上。
- 若年層や女性の顔は特に魅力が向上しやすい。
- フィルター使用後、女性が男性から知性をやや低く評価される傾向も見られた。
- フィルターによる均一化効果で、魅力度の影響が軽減される可能性も。
このように、美顔フィルターの使用が与える影響は見た目だけにとどまらず、私たちの社会的な判断や評価にまで及んでいることがわかります。
フィルターを使うことで自信を持つことは悪いことではありませんが、その影響が私たちの内面的な評価にまで及ぶことを理解しておくことが重要です。
次に美顔フィルターを使うとき、その「効果」がどのように広がるのか、少し考えてみる価値があるかもしれません。
参考文献:
Gulati A, Martínez-Garcia M, Fernández D, Lozano MA, Lepri B, Oliver N. What is beautiful is still good: the attractiveness halo effect in the era of beauty filters. R Soc Open Sci. 2024;11(11):240882. Published 2024 Nov 27. doi:10.1098/rsos.240882
