医師のストレス障害の調査(COVID-19のさなか)

医師のストレス障害の調査(COVID-19のさなか)

 

COVID-19パンデミック中、医師たちが経験したストレスとその影響について、多くの研究が行われてきました。

その中でも特に注目されたのが、医師における心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発生率です。

この研究では、2019年12月から2022年11月までの期間に発表された57の研究を対象に、28,965人の医師のデータを分析しました。

その結果、医師のPTSDの推定発生率は18.3%(95%信頼区間: 15.2%-22.8%)でした。

以下に、この研究のポイントをまとめてみます。

 

性別 : 女性医師は男性医師に比べてPTSDを発症しやすく、発症オッズ比は1.93(95%信頼区間: 1.56-2.39)でした。

年齢 : 年齢別では、若い医師に比べて高齢の医師の方がPTSDを発症する割合が高いという結果が示されました。

専門分野 : 救急科の医師が最も高いPTSD発症率を示し、続いて家庭医が多く報告されました。

キャリアステージ : 医師の中でも研修医は、専任医師に比べてPTSDを発症するリスクが高く、発症オッズ比は1.33(95%信頼区間: 1.12-1.57)でした。

 

これらの結果は、COVID-19パンデミックが医師のメンタルヘルスに与える影響の深刻さを浮き彫りにしています。

特に女性医師、高齢医師、救急科医師、研修医は、PTSDのリスクが高いため、特別な支援や対策が求められます。

PTSDは、医師のバーンアウトや医療エラーの増加、患者ケアの質の低下、職場の離職率の上昇、さらには自殺リスクの増加など、医療現場に多大な悪影響を及ぼすことが知られています。

これらの知見は、将来的なパンデミックやその他の重大なストレスイベントに備え、医師のメンタルヘルスを守るための政策や介入方法を見直す重要な資料としなければなりません。

 

参考論文;

Kamra M, Dhaliwal S, Li W, et al. Physician posttraumatic stress disorder during COVID-19: A systematic review and meta-analysis. JAMA Netw Open. 2024;7(7):e2423316. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.23316.