ゾウのあいさつ

 

アフリカサバンナゾウの仲間うちの「あいさつ」についての研究があります。

コウモリの時(5月20日の記事参照)もそうでしたが、動物たちのコミュニケーションの奥深さには驚かされてしまいます。

ゾウは、音や視覚、触覚を組み合わせた複雑な信号を使ってあいさつを交わすのだそうです。

特に「ルンブル音」と呼ばれる低い音と「耳のフラッピング(耳をパタパタさせる動き)」の組み合わせがよく見られます。

この組み合わせは、特にメス同士のあいさつで多く観察され、これによって強い社会的絆が強調されているようです。

興味深いことに、ゾウは受け手の視覚的注意に応じて信号のモダリティ(形式)を選択します。

例えば、受け手が視覚的に注意を払っているときには、ゾウは視覚的な信号を使い、注意を払っていないときには聴覚や触覚の信号を使用する傾向があります。

まるで人間が合図を送るときのようです。

このような選択的な信号の使用は、ゾウが相手の状態を理解し、それに応じたコミュニケーションを行っていることを示しています。

ゾウのあいさつ行動は、社会的な絆を強化する役割を持っています。

特に強い絆を持つ個体同士が、より複雑なあいさつ行動を見せることがわかりました。

あいさつの際には、ルンブル音や耳のフラッピングのほかに、耳を広げたり、尻尾を揺らしたり、胴体で触れたりする動作も見られます。

また、あいさつ中にはしばしば尿や糞を排出したり、側頭腺から分泌物を出したりすることもあり、これらの行動が互いの認識を助け、絆を強化する役割を果たしていると考えられます。

こうした意図的なコミュニケーションは、ヒトの言語の進化を理解するための重要なヒントになります。

とは言え、あいさつ代わりに相手におしっこをかけるのは、勘弁してほしいと思うのですが。

 

元論文:

Eleuteri V, Bates L, Rendle-Worthington J, Hobaiter C, Stoeger A. Multimodal communication and audience directedness in the greeting behaviour of semi-captive African savannah elephants. Commun Biol. 2024;7(1):472. Published 2024 May 9. doi:10.1038/s42003-024-06133-5