兄弟姉妹との関係は、家族の中でも特別なものです。
誰もが兄弟姉妹との間に愛情を感じる一方で、時には衝突も起こります。
世の中の、兄弟姉妹の「仲の良さ」についての一般的なイメージとはどんなものでしょう。
最近の研究では、この兄弟姉妹間の「衝突」が実は一般的であること、そしてそれが男女に関係なくみられることが明らかになりました。
今回はこの研究について掘り下げてみましょう。
研究は、アリゾナ州立大学社会心理学のアマンダ・キルシュ氏によって行われました。
キルシュ氏とそのチームは、特に家族内での「攻撃行動」の性質を探求することを目的としています。
「攻撃行動」というのは、この研究においては、身体的な攻撃(いわゆる「暴力」)だけでなく、相手を傷つける言葉による攻撃も含めています。
あっさり言ってしまえば「兄弟げんか」についてスポットを当ててみたのですね。
研究は3つの部分から成り立っています。
研究1
– 対象: アリゾナ州立大学の619人の学生を対象に調査。
– 方法: 兄弟姉妹、友人、知人との間の攻撃行動について収集。攻撃は「直接的な形式」(殴る、叫ぶなど)と「評判を損なう形式」(ゴシップを広める、権威に報告するなど)に分類されました。
– 結果: 兄弟姉妹間での攻撃行動には男女間の差が見られず、似たような頻度で攻撃行動を行っていました。これは友人や知人との関係とは対照的です。
研究2
– 対象: Prolific調査プラットフォームを通じて募集された451人の参加者。
– 方法: 子供時代(16歳以下)および成人後(18歳以上)の兄弟姉妹間の攻撃行動に関するデータを収集。
– 結果: 兄弟姉妹間の攻撃行動は成人後も継続しており、日常的な接触が減少しても攻撃行動は継続して発生していました。また、兄弟姉妹間での攻撃行動には性別による差が見られませんでした。
研究3
– 対象: アリゾナ州立大学の599人の学生を対象に調査。
– 方法: 学生たちに最も重大な兄弟姉妹、友人、知人から受けた攻撃の具体的なインシデントを記述してもらいました。
– 結果: 兄弟姉妹からの攻撃は多くが故意であると認識され、これは非家族関係での遊び心のある攻撃や偶発的な攻撃とは対照的です。参加者は兄弟姉妹との間で意図的な攻撃が最も頻繁に起こると報告しました。
この研究の興味深い点は、家族という密接な関係がどのようにして「攻撃行動」に影響を与えているのかを探ることです。
一般的に、兄弟姉妹は生涯を通じて協力し合い、支援し合います。
しかしながら、キルシュ氏の研究によると、兄弟姉妹間での「攻撃行動」は友人や知人との間よりも頻繁に発生しており、そのほとんどが意図的なものであると報告されています。
これは、家族内の絆がどれほど強固であっても、です。
また、研究者たちは、この兄弟姉妹間の攻撃がなぜ頻繁に発生するのか、その理由を探りました。
一つの説としては、家族という枠組みが、競争や葛藤を含んでいても、その関係が簡単には断ち切れないという特性を持つからです。
つまり、友人や知人とは違い、一時的な怒りや衝突があっても、兄弟姉妹は次の日も、来週も、来年も変わらず兄弟姉妹であり続けます。
この研究は、兄弟姉妹間の関係の理解を深めるものになるかも知れません。
しかし、自己報告によるデータの使用は、回答者の記憶の正確さや社会的望ましさによるバイアスの可能性を含むため、これらの発見をどのように受け止めるかには注意が必要です。
元論文:
Amanda P. Kirsch, Douglas T. Kenrick, Ahra Ko, Cari M. Pick, Michael E.W. Varnum,
Sibling aggression is surprisingly common and sexually egalitarian,Evolution and Human Behavior,Volume 45, Issue 2,2024,Pages 214-227,ISSN 1090-5138,https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2024.03.001.
