高齢者は「新しい経験」を受け入れやすい

 

新しい経験は人生に刺激を与えますし、多くの場合、私たちの心に思い出として残ります。

新しいレストランでの食事や、初めての仕事の日など、日常は常に何らかの「新しい体験」の場を提供してきます。

しかし、これらの新しい体験が「ワクワク・ドキドキ」だけでなく、時には不安やストレスを引き起こすこともあります。

研究によると、これらが及ぼす感情的影響には、年齢的に違いがあることが明らかになりました。

特に若年層と高齢層で感じ方が異なることが指摘されています。

しかし、大方の予想に反して、高齢者は新しい状況を若者よりも感情的に安定して受け入れる傾向にあるという結果が出ています。

この研究は、サンフランシスコ湾岸地域の18歳から94歳までの375人を対象に行われました。

参加者は自身の健康状態が同年代の平均と同じかそれ以上であると自己報告しています。

これは、健康状態が感情に及ぼす影響を排除するための重要な条件でした。

研究期間中、彼らは一日に五回、その場で感じた感情と状況の新奇性を報告しました。

これによって、個々の感情の変動をリアルタイムで捉えることが可能になりました。

結果として、新しいことや予期せぬ状況は一般的に感情的な挑戦となり、喜びよりもむしろストレスを感じることが多いことが示されました。

しかし、高齢者は若者と比較して、新奇な状況に対してネガティブな反応が少ないことがわかりました。

これは、年齢を重ねるにつれて経験が蓄積されていたことや、感情コントロールによる価値観の変化が影響している可能性があります。

ただし、この研究は自己報告データに依存しているため、実際の感情体験が正確に反映されているかには疑問が残ります。

また、新奇性の種類を区別していないため、状況がポジティブなものかネガティブなものかによって感情的な結果が異なる可能性があることも指摘されています。

しかし、高齢者が新しい状況をどのように捉え、どのように感情的なバランスを取っているのかを知ることは、老化の過程を理解する手がかりとなるかもしれません。

そして、これは私たち全員にとって、年齢を重ねることの意味を再評価する機会となるはずです。

どの世代にも、新しい体験から学び、成長する力が備わっています。

しかし、どのように感じ、どのように反応するかは、個々人の生涯を通じて形成された感情の枠組みによって異なるのですね。

これを理解することは、多世代間での共感と支援を深める一歩となり得ます。

 

元論文:

Chu L, Shavit YZ, Ram N, Carstensen LL. Age-related emotional advantages in encountering novel situation in daily life. Psychol Aging. 2024;39(2):113-125. doi:10.1037/pag0000798