科学や数学のトピックを扱うQuanta Magazineに興味深い記事が載っていました。
「昆虫の記憶は変態の壁を超えられるか?」というものです。
原文はこちら → 「Why Insect Memories May Not Survive Metamorphosis」
昆虫の変態と言えば、一般的には、幼虫がサナギに包まれて静かに時間を過ごし、やがて美しい蝶に変わる、というイメージです。
しかし、そのプロセスは実は非常に激しいもので、昆虫の体のほとんどが溶けてしまい、新たに成虫の体が形成されます。
そして、その中で最も驚くべき変化が起こるのが、脳です。
昆虫の脳は、変態の過程で一度「溶けて」しまいます。
その後、新たに配線が組み直されて成虫の脳となるのです。
この過程は、まるで古い家を解体して、新たに建て直すようなもの。
しかし、その中でも、一部の神経細胞は「再利用」されます。
つまり、幼虫の時代から存在していた神経細胞が、成虫の脳で新たな役割を果たすのです。
このような変態の過程は、昆虫が生存競争を勝ち抜くための戦略とも言えます。
幼虫と成虫が異なる形態を持つことで、食物資源の競争を避けることができるのです。
つまり、昆虫の変態は、生存のための巧妙な戦略とも言えるのです。
しかし、この過程で一つの大きな疑問が浮かび上がります。
それは、「記憶」です。昆虫の脳が一度「溶けて」再配線されるということは、その過程で幼虫の時代の記憶が失われてしまうのではないか、ということです。
しかし、この疑問については、まだ明確な答えは出ていないのだそうです。
さて、ここで私のような昭和40年生まれのオジサンは、いらん考えを持ち出してきます。
「じゃあ、あのイナズマンは、変身のたびに記憶を失っていたんかい!」
「イナズマン」とは、1973年から1974年にかけて放送された特撮テレビドラマで、主人公の渡五郎が「ゴーリキショーライ」の掛け声でサナギマンに、そして「チョーリキショーライ」の掛け声でイナズマンに変身する、という二段変身が特徴的な作品です。
もちろん、この二段変身は、昆虫の変態をモチーフにしています。
五郎 → サナギマン → イナズマンは、幼虫 → サナギ → 成虫に対応します。
サナギマンは防御優先のキャラクターで、敵によく攻撃されていたものでした。
それによってイナズマンに変身したときのカタルシスが得られるのですが、飛び級ができないもどかしさもありました。
昆虫の脳と同様に、サナギマンの脳が一度「溶けて」再配線されるのであれば、イナズマンに変身したときに倒すべき敵が誰なのか、なぜ戦っているのか、まったく事情がわからないことになってしまいます
しかし、実際には、「イナズマン」では、五郎がサナギマンになっても、そしてイナズマンになっても、彼の記憶は失われていませんでした。
けれども、この「変身したら記憶を失う」という設定を加えて作り直しても、面白いかも知れませんね。
そういうハンディキャップ戦が、よりドラマを盛り上げてくれると思うのです。
誰かリメイクしてくれないものでしょうか(笑)。
下の動画は元の記事から。