小説「いのちの初夜」 2021/11/18Posted in詩・文学 著者の北条民雄は1914年生まれ。 若くしてハンセン病を患った北条民雄は、絶望を抱え、半ば強制的に収容施設に入所させられます。 自分の運命を呪い、一度は自殺すら考えた絶望の淵から救い出したのは、文学に対する止めど…
詩「窓の下」 2021/11/17Posted in詩・文学 詩人 高田敏子さんの作品を読むと、懐かしい気持ちで心が満たされます。 自分が小学生の頃の空気感を、勝手に重ね合わせて共感しまくるのです。 「懐かしい」のは、その描写に体験を重ねながら、自分が子どもの頃の感覚を思い出し…
予言の妖怪 2021/11/15Posted in詩・文学 日本には、昔から「アマビエ」のように大異変を予言したり疫病退散の力を発揮する妖怪や予言獣と言われるものがいくつか存在しています。 肥前国の「神社姫」や平戸の「姫魚」。アマビエと同類と考えられている「アマビコ」など。 …
「ましての翁」 2021/11/11Posted in詩・文学 鴨長明は平安時代末期から鎌倉時代にかけての歌人・随筆家として知られています。 「方丈記」の作者として、私などは学生時代に国語か社会の教科書でしか目にしたことがない名前ですが、ほかにも仏教説話集である「発心集」などがあ…
「ものぐさハインツ」 2021/11/10Posted in詩・文学 グリム童話には、ちょっと思い出しただけでも「カエルの王様」「狼と7匹の子やぎ」「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」「シンデレラ」など、よく知られた作品がたくさんあって、知らない話はないんじゃないかと思うほどです。 そ…
「小さき者へ」 2021/11/05Posted in詩・文学 有島武郎の「小さき者へ」を何十年ぶりかに読みました。 「小さき者へ」は、有島武郎が母を失ったわが子に贈った悲痛な覚悟を綴った宣言文です。 2段落目の冒頭に、わが子にこんな言葉を突きつけています。 「お前たちは去年…
「迷うことが好きだ」 2021/11/04Posted in詩・文学 パパっと決めて、ササっと済ませてしまう人は、確かに颯爽としています。 いつまでも決めきれないと自分で自分に「優柔不断」の烙印を押してしまいがちになるので、自己嫌悪に陥ってしまうものです。 でも、迷わない人生なんてある…
詩「喪のある景色」 2021/10/29Posted in詩・文学 山之口貘さんの詩はどれも面白く、獏さんが詩を編み出したその時の表情や心情を思い浮かべながら読みます。 詩を構成する言葉の裏側にきっと何かを潜ませているだろうという思い込みがあって、「沖縄の人」という前提も、おおいに関…
「上善如水」 2021/10/20Posted in詩・文学 老子に「上善如水」という言葉があります。 日本酒の銘柄が有名になりすぎて、なんとなく字面から「清水のように善い感じ」というニュアンスで受け取っていました。 後に続く言葉を含めて訳すと、だいぶ違うようです。 「最上の善…
カタツムリの歩み 2021/10/14Posted in詩・文学 私が中学の頃の修学旅行は、九州を周回するコースでした。 今の学生さん達には想像もつかないでしょうが、沖縄から最初の目的地の長崎までは海路でした。みんなでフェリーで一泊して、朝になるのを待って甲板に上ったのを覚えています。…
闇は晴れる 2021/09/12Posted in詩・文学 小林多喜二の有名な言葉です。 闇があるから光がある。 そして闇から出てきた人こそ、一番ほんとうに光の有難さが分かるんだ。 世の中は幸福ばかりで満ちているものではないんだ。 不幸というものが片方にあるから、幸福ってもの…
カフカの手紙 2021/09/08Posted in詩・文学 カフカの父への手紙に、こんな一節があります。私はあまりに身につまされて、自分の過去の煩悶がフラッシュバックしてしまいました。 たとえば、 ここにAとBがいて、 Aは階段を一気に5段あがっていくのに、 Bは一段しか…
「ラジオからビートルズが流れていた」 2021/09/06Posted in詩・文学 文章が上手な人の職業というのは「見る、見つめる」職業の人だということを聞いたことがあります。 画家しかり。 グラフィックデザイナーの横尾忠則さんも、小説「ぶるうらんど」や、Twitterの文章をそのまま本にした「ツイッタ…
詩「見るために生まれ」 2021/09/05Posted in詩・文学 ゲーテ「ファウスト」の第二部の第五幕「深夜」の章から。 塔守リュンコイスが美しい詩を歌いあげます。 この詩は、夜中に塔守の見張り番をしていたリュンコイスが自分の目に映る世界の美しさを自らの言葉によって高らかに歌い…
宮本武蔵「兵法行道九箇条」 2021/09/04Posted in詩・文学 宮本武蔵著「五輪書」の「地の巻」に兵法の心がけを九箇条に掲げています。 第一に、よこしまなき事を思ふ所、 第二に、道の鍛錬する所、 第三に、諸芸にさはる所、 第四に、諸職の道を知る事、 第五に、物毎の損得をわきまゆる…
詩「顎」 2021/08/30Posted in詩・文学 井伏鱒二の詩は、どこかユーモラスで思わずニヤリとしてしまうものです。 例えば「散文が書きたくなるとき、厄除けのつもりで」書いたという「厄除け詩集」 あの有名な訳詩の一節「「サヨナラ」ダケガ人生ダ(勧酒 于武陵)」…
絵本「このよで いちばん はやいのは」 2021/08/26Posted in詩・文学 この絵本で、昔べつの本で読んだ、こんな会話を思い出しました。 「今、この世界で一番速いものは何でしょう」ある人がたずねました。 「それは光とか、素粒子とかいうものじゃありませんか」相手は答えます。 「じゃあ、光は…
「笑う能力」 2021/08/12Posted in詩・文学 茨木のり子の詩集「倚りかからず」に「笑う能力」という詩が収められています。 これが小噺集のような詩で、ついにんまりしてしまいます。 「笑う能力」は大事にしたいです。確かに笑うのは能力がいります。 どんな時でも、笑…