現代社会では、夜間の人工光が至る所に存在します。
ブルーライトといい、なんとなく体に悪いんじゃないかなという予想はあります。
ところが、今回は少し斜め上からきました。
夜間の光暴露が2型糖尿病のリスクを高めるらしいのです。
この研究では、イギリスの約85,000人を対象に、彼らの光暴露パターンと2型糖尿病の発症リスクとの関連を調べました。
参加者は1週間、手首に光センサーをつけて昼夜の光暴露を記録しました。
その結果、夜間に明るい光を浴びることが多い人々は、暗い環境で過ごす人々に比べて、糖尿病になるリスクが1.53倍高いことが分かりました。
なぜ夜の光がこんな影響を与えるのでしょうか?
それは、光が私たちの体内時計、つまり「概日リズム」に影響を与えるからだと考えられています。
概日リズムは、私たちの体が一日のリズムを維持するための生物学的な時計で、これが乱れると、体の様々な機能に悪影響を及ぼします。
また、この研究では、日中に明るい光を浴びると、逆に2型糖尿病のリスクを低減する可能性があることもわかりました。
つまり、夜はできるだけ暗く、昼間は明るい光を浴びることが、健康を保つために重要だということです。
さらに、遺伝的に糖尿病のリスクが高い人々でも、夜間の光暴露を減らすことでリスクを低減できる可能性があるようです。
これは非常に重要な発見かも知れません。
私たちが日常生活で簡単に実践できる糖尿病予防策の一つとなる可能性を秘めています。
私たちの生活環境を少し見直し、夜間の光を減らす工夫をすることで、将来の健康リスクを軽減できるかもしれません。
参考文献:
Windred DP, Burns AC, Rutter MK, et al. Personal light exposure patterns and incidence of type 2 diabetes: analysis of 13 million hours of light sensor data and 670,000 person-years of prospective observation. The Lancet Regional Health – Europe. 2024;42:100943. doi:10.1016/j.lanepe.2024.100943
