日本のコロナ禍3年間の学校での行動制限と生徒のメンタルヘルス

 

ご存知の通り、コロナ禍の3年間、日本の学校では厳しい対策が実施されました。

この期間中、子供たちのメンタルヘルスにどのような影響があったのかを調査した研究があります。

この研究では、学校行事の中止や日常の変化が子供たちに与える影響について詳しく分析されました。

まず、学校行事の中止がメンタルヘルスに与える影響が明らかになりました。

特に、修学旅行の中止は抑うつ症状の増加と関連していました。

全体の約20%の子供たちが抑うつ症状を示しており、この割合は特に高校生と中学生で高く見られました。

また、他の学校行事の中止も、全体の学校生活や友情に対する満足度の低下と関連していました。

次に、学校での「無言給食」という対策も調査されました。

コロナ禍では、給食時の会話が禁止され、静かに食事をすることが求められましたが、この対策自体は直接的に不満や抑うつ症状と関連していないことがわかりました。

しかし、部活動への参加が友情の満足度を高める要因であることが確認されました。

特に、日本の子供たちは部活動を通じて親しい友人を作ることが多く、これがメンタルヘルスにプラスの影響を与えていると考えられます。

また、学校での対策に懐疑的な態度を持つ子供たちは、抑うつ症状を示す可能性が高いことも判明しました。

特に、男子や部活動に参加していない子供たち、中学生でその傾向が顕著でした。

この結果は、対策の効果に対する理解や納得が不足していることが、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性を示しています。

地域ごとの違いも見逃せません。

例えば、東京ではほとんどの修学旅行が中止された一方で、大阪では2020年に52%、2021年には100%実施されました。

このような地域差は、地方の特性や各地の首長の方針によるものであり、同じ国でも対策が一様ではなかったことを示しています。

 

結論として、この研究から以下のポイントが示されました:

– 修学旅行や他の学校行事の中止は、子供たちの抑うつ症状の増加と関連している

– 部活動への参加は、友情の満足度を高め、メンタルヘルスに良い影響を与える

– 学校での対策に対する懐疑的な態度は、抑うつ症状の増加と関連している

– 地域ごとに学校行事の中止率が大きく異なる

 

この研究結果を踏まえ、将来のパンデミック時には、子供たちのメンタルヘルスを守るための対策が取られることを願います。

 

参考文献:

Takaku R, Shobako N, Nakata T. Three years of COVID-19-related school restrictions and mental health of children and adolescents in Japan. Sci Rep. 2024;14:16707. doi:10.1038/s41598-024-67138-y