私たちの身体は、エネルギーを生み出すために多くの化学物質を必要としています。
その中でも「コエンザイムQ10(CoQ10)」という物質は、エネルギーの生成と細胞の保護に重要な役割を果たしています。
CoQ10は一般に化粧品や美容関連の製品に含まれ、肌の若返りやアンチエイジング効果が期待される成分として知られています。
しかし、CoQ10の効果はそれだけに留まらないようですね。
最近の研究では、特定の肝臓病や心臓病の治療にも役立つ可能性があることが示されました。
この研究では、代謝異常関連脂肪肝(MASLD)という肝機能障害を持つ60名の患者を対象に、二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験が行われました。
患者たちが6ヶ月間、毎日240mgのコエンザイムQ10か偽薬を摂取し、摂取前と6ヶ月後にいくつかの健康指標が測定されました。
その結果は以下の通りです。:
– 末梢血管の健康状態:
– 灌流境界領域(PBR)が2.29から2.18ミクロンに改善
– 脈波伝播速度(PWV)が10.2から9.5メートル毎秒に減少
– 血管の拡張能力:
– 流量依存性拡張(FMD)が4.3%から6.1%に増加
– 心臓の健康状態:
– 左心室全体の縦方向ストレイン(GLS)が-18.8%から-19.6%に向上
– 冠動脈の血流予備力(CFR)が2.8から3.1に増加
– 肝臓の健康状態:
– 肝脂肪量を示す制御減衰パラメータ(CAP)が304.8dB/mから280.9dB/mに減少
– 副作用:
– 試験期間中に重大な副作用は記録されず、安全性が確認された
このように、高用量のコエンザイムQ10を6ヶ月間補給することで、MASLD患者において肝臓や心臓、血管の機能が改善されることが示されました。
一般的に、美容目的で使用されることの多いCoQ10ですが、その効果は美容に留まらず、内臓の健康改善にも寄与することがわかりました。
今後は、さらに大規模な研究が行われることで、コエンザイムQ10の多岐にわたる効果についてさらに詳しく理解できるようになるかも知れませんね。
参考文献:
Vrentzos E, Ikonomidis I, Pavlidis G, et al. Six-month supplementation with high dose coenzyme Q10 improves liver steatosis, endothelial, vascular and myocardial function in patients with metabolic-dysfunction associated steatotic liver disease: a randomized double-blind, placebo-controlled trial. Cardiovasc Diabetol. 2024;23:245. doi:10.1186/s12933-024-02326-8
