読み込み中

  • 12月, 土, 2024
マインドフルネス瞑想で起こる脳波の変化

 

マインドフルネス瞑想と聞くと、「リラックスするための方法」と考えがちですが、実は、脳の中ではもっと複雑な変化が起こっているようです。

最新の研究によって、瞑想中の脳波変化は単なるリラックス状態だけでは説明できないことが明らかになりました。

 

この研究では、18歳から35歳の健康な若者52名を対象に、安静時とマインドフルネス瞑想中の脳波(EEG)と皮膚電気伝導度(SCL)を測定しました。

参加者は瞑想中、「呼吸に集中」し、その間の脳波とSCLを記録しました。

その結果、アルファ波とシータ波に特に興味深い変化が見られました。

 

瞑想中は安静時に比べて、脳のアルファ波(8-13 Hz)の振幅が減少することがわかりました。

一般的に、アルファ波はリラックスや集中に関連する脳波と考えられていますが、今回の研究では、瞑想によってむしろ集中が強化され、その過程でアルファ波が減少している可能性が示唆されました。

 

さらに、fPCAというデータ駆動型の解析手法を用いた結果、瞑想中に「デルタ-シータ-アルファ」という複合的な脳波成分が増加していることがわかりました。

このことから、瞑想はただ静かに過ごす時間ではなく、脳内で活発な神経活動の変化を引き起こしていると考えられます。

 

興味深いことに、皮膚電気伝導度(SCL)は、安静時と瞑想時で有意な変化が見られませんでした。

SCLは通常、身体のリラックスや緊張を示す指標です。

今回の結果から、瞑想中の脳波変化は、身体的なリラックスとは異なる「脳の活動的な静寂」を示していると考えられます。

 

研究結果のポイント

  • アルファ波の減少: 瞑想中、アルファ波の振幅が安静時に比べて減少。
  • 複合成分の増加: デルタ-シータ-アルファの複合成分が瞑想中に増加。
  • 皮膚電気伝導度(SCL)の変化なし: 瞑想中も安静時と同様に、SCLに有意な変化はなし。

 

これらの結果を総合的に見ると、マインドフルネス瞑想は、単にリラックスするだけでなく、「リラックスしたまま覚醒している」状態を脳に作り出すと考えられます。

瞑想中、脳はただ休んでいるのではなく、新しい注意の形を探索しているのかもしれません。

このことが、瞑想が持つ「単なるリラクゼーションとは異なる効果」を引き出しているのでしょう。

 

次に瞑想を試す際には、脳内で何が起こっているのかに意識を向けてみてください。

普段の静けさの裏には、実は多くの「静かな活動」が秘められているはずです。

 

参考文献:

Duda AT, Clarke AR, Barry RJ. Mindfulness meditation alters neural oscillations independently of arousal. Int J Psychophysiol. 2024;205:112439. doi:10.1016/j.ijpsycho.2024.112439

 

  • 10月, 日, 2024
スマートスピーカーが不眠治療をサポート:認知行動療法の新しい形

 

乳がんサバイバーの約30%から50%が不眠症を抱えていると言われています。

これは、治療の副作用や精神的ストレスが関係しているためです。

従来、不眠症に対しては認知行動療法(CBT-I)が効果的とされていますが、専門家との対面治療には制約があり、すべての患者が受けられるわけではありません。

 

ここで、新たな治療法として注目されているのが、スマートスピーカーを使った音声対応のCBT-Iプログラムです。

スマートスピーカーとは、音声を通じて操作できるデバイスのことです。

AmazonのEchoやAppleのSiriが代表的で、日常生活の中で天気を確認したり、音楽を再生したりするだけでなく、さまざまなアプリやサービスと連携して、健康管理や学習のサポートなどにも活用されています。

このスマートスピーカーを使った治療プログラムでは、ユーザーが「Echo、Faster Asleepを開始して」と話しかけることで、不眠症改善のためのプログラムがスタートします。

 

プログラムは、睡眠に関するデータや日常的な行動パターン(睡眠時間、カフェイン摂取、運動習慣など)を集め、それに基づいて個別のアドバイスを提供します。

このアプローチは、従来の対面療法のような柔軟な対応を実現し、日々の進捗に応じて適切な調整を行います。

 

この音声対応のプログラムを検証するため、76名の乳がんサバイバーを対象に6週間の臨床試験が実施されました。

スマートスピーカーを使用したグループと、従来の教育的ウェブサイトを参照するグループに分かれ、それぞれの効果が比較されました。

 

結果は、以下の通りです。

  – 音声対応CBT-Iグループは、8.4ポイントの改善を示しました。 

  – コントロールグループでは、2.6ポイントの改善にとどまりました。 

  – この結果から、音声対応CBT-Iの有効性が顕著に現れました。

  – 入眠までの時間が平均で8分短縮。 

  – 途中覚醒後の再入眠までの時間9分短縮。 

  – 睡眠の質0.56ポイント改善しました。 

  – 睡眠効率は微量ながら改善し、睡眠の質向上が確認されました。

  – スマートスピーカーを使用したグループの85%が、家族や友人にこのプログラムを勧めたいと答えました。

 

この音声対応CBT-Iプログラムの特筆すべき点は、毎日自宅で実施できる手軽さに加え、個別の睡眠データに基づいて治療が行われる点です。

たとえば、ユーザーが夜間に寝つきが悪い場合、そのデータをもとに次の日に具体的なアドバイスが音声で提供されます。

また、ストレスを緩和するためのリラクゼーションコンテンツも組み込まれており、これによって心身のリラックスを促します。

 

総じて、この試験結果は、音声対応のCBT-Iが不眠症に効果的であることを示しており、特に治療へのアクセスが難しい人々にとっては、有望な選択肢となるでしょう。

今後、音声技術を活用した医療支援がさらに進化し、より多くの人々が日常生活の中で利用できるようになることが期待されます。

 

参考文献:

Starling CM, Greenberg D, Lewin D, et al. Voice-Activated Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2024;7(9):e2435011. Published 2024 Sep 3. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.35011

 

 

  • 8月, 火, 2024
デジタルマインドフルネスが心を癒す

 

「マインドフルネス」と聞くと、静かな場所で瞑想する姿を思い浮かべるのが普通ですね。

けれども、スマホアプリで「マインドフルネス」と検索すると、それこそ星の数ほどアプリがあがってきます。

「デジタル・マインドフルネス」とでも言うのでしょうか。

そしたら、やはりその効果を確かめたくなるのが研究者というものなのでしょうね。

 

この研究には、91か国から1,200人以上が参加し、デジタルマインドフルネスが私たちの心理的健康にどのように影響を与えるかを調査しました。

参加者は、スマホアプリを使って30日間、毎日10分間の瞑想を行うグループと、対照として『不思議の国のアリス』のオーディオブックを聞くグループに分けられました。

 

結果は予想通りでした。

瞑想を行ったグループでは、ウェルビーイングのスコアが平均で2.34ポイントも向上し、うつ症状や不安症状もそれぞれ1.47ポイント、0.77ポイント低下しました。

これらの改善は、1か月後だけでなく、その後のフォローアップでも持続しており、デジタルマインドフルネスが長期的な効果を持つことが示されました。

 

さらに、この研究では、マインドフルネスが健康行動に対する態度や意図を改善することも明らかにされました。

瞑想を行った人々は、健康を維持するための行動に対する意欲が高まり、その結果として心理的健康が向上したのです。

具体的には、健康維持に対する態度スコアが0.33ポイント、行動意図が0.26ポイント改善されました。

 

この結果から、デジタルマインドフルネスは、忙しい現代人でも手軽に(?)取り入れられる有望なツールであることがわかります。

デジタルツールを活用することで、心の健康を守る新しい習慣を始めてみるのも良いかもしれませんね。

 

参考文献:

Remskar M, Western MJ, Ainsworth B. Mindfulness improves psychological health and supports health behaviour cognitions: Evidence from a pragmatic RCT of a digital mindfulness-based intervention. Br J Health Psychol. Published online August 21, 2024. doi:10.1111/bjhp.12745

 

 

  • 4月, 水, 2024
「触れること」の希薄な世界

 

仏教では五感こそが苦の原因であるとする教えがあります。

「五蘊苦」と呼ばれるものですね。

五蘊とは、色(視覚)、受(触覚)、想(嗅覚)、行(味覚)、識(聴覚)の五つの要素を指します。

これらの要素は、私たちが世界を認識するために必要なものですが、同時に、これらの要素は苦しみの原因にもなります。

なぜ五感が苦しみの原因になるのでしょう?

それは、五感を通して得られる情報は、常に変化するものだからです。

例えば、美味しいものを食べていると、最初は幸せを感じます。

しかし、食べ続けていると、飽きてしまったり、胃がもたれたりして、苦しみを感じるようになります。

五感を通して得られる情報は、常に変化し、苦しみを生み出してしまいます。

ですから、仏教では、この苦しみから逃れるためには、五感に執着しないことが重要であると説きます。

五感に執着しないためには、五感を通して得られる情報を客観的に観察すること。

例えば、美味しいものを食べていると感じたら、その味をただ味わうのではなく、「これは美味しい」という考えが頭に浮かんでいることに気づくようにします。

このように、五感を通して得られる情報を客観的に「観察する」。

これがマインドフルネスにつながるものですね。

しかし、現代は「触れることを忘れた世界」とも言えます。

デジタル化が進む中で、私たちの生活はますます便利に、そして快適になっていきました。

人間はこの世に生を受けた瞬間から、周囲の世界を五感で捉え、体験を通して学んでいくものです。

子どもの頃、泥だらけになりながら遊んだり、木に登ったりした経験は、単に楽しい時間を過ごすだけでなく、重要な学習過程でもありました。

それは、世界を直接「触れる」ことによって得られる、貴重な知識と経験の蓄積です。

しかし、現代社会では、この「触れる」機会が減少しています。

「二次元」のお話だけでなく、バーチャルの世界や1日中変化しない人工照明の下で過ごす時間。

これらは、私たちの(特に「触れる」という)感覚を鈍らせてはいないでしょうか。

「触れる」ことの価値を、逆に再認識する必要があるかも知れません。

 

 

  • 2月, 月, 2024
瞑想と腸内環境(細菌叢)

 

いろいろな文献を読んでいると、「マジか?」と思えるようなものに出くわします。

研究の発想が面白いものや、「そこまでやるか!」と唸ってしまうようなものもあって、研究者たちの偉大な知識欲に脱帽するばかりです。

今日紹介する研究は、どちらかというと「そうなのか!」の後に「だけど、なんで?」と、謎が謎を呼ぶような感じでした。

例えば、「長期間の瞑想が、『お通じ』にどんな影響を与えるか」という命題を与えられたら、どんな予想をたてますか?

瞑想は、自律神経に良い影響を与えるでしょうし、きっと「お通じ」にも良いはずだと思いますよね。

私も思いました。

ただ、この研究チームの着手方法と着地点が違っていました。

彼らは、チベットの僧侶たちの腸内細菌叢の構成を調べたのです。

最近は、腸内細菌叢を調べるのが流行りではあるのですが、この発想はなかったです。

研究者たちは、腸内の微生物群に、長時間の瞑想がどのような影響を与えるかにフォーカスしました。

上海交通大学医学院の孫穎(Ying Sun)率いる研究チームは、チベットの遠隔地にある修道院を訪れ、37人のチベット仏教僧と19人の瞑想を行わない近隣住民から便のサンプルを収集しました。

僧侶たちは平均約19年間瞑想を続けていました。

研究者たちは、便のサンプルから細菌のDNAを分析し、サンプルに存在する細菌を識別・比較するために一般的に使用される16SリボソームRNA遺伝子に焦点を当てました。

この方法により、腸内の異なる細菌の多様性と豊富さを決定することができました。

さらに、腸内細菌の違いが健康にどのような影響を与えるかを探るため、参加者の血液中のさまざまな生化学指標を測定しました。(つまり健診をしたのです。)

分析の結果、瞑想を行う僧侶とそうでない人々の間には、腸内細菌の構成に違いがあることが明らかになりました。

特に、僧侶の腸内細菌は多様性が少ないものの、健康に良い影響を与える特定の細菌がより多く存在していました。

例えば、プレボテラ属の細菌は僧侶の腸内細菌の42.35%を占め、瞑想を行わない対照群では29.15%でした。

これらの細菌は、うつ病のリスクを減少させたり、脳の報酬反応に影響を与えたりすることが知られています。

さらに、瞑想は、腸のバリアを維持し、免疫反応を調節する代謝経路を確立させていました。

これは、瞑想が抗炎症プロセスを強化して、免疫機能を向上させる可能性があることを示しています。

もちろん、チベットの僧侶と近隣住民との違いは瞑想だけでなく、高地での生活の様式も違いますし、何より食生活が違います。

もしかしたら、飲み水も違っているかも知れません。

私などはへそが曲がっていますから、「瞑想じゃなくて、禅寺の精進料理が理由じゃないの?」と思ってしまいます。

瞑想(マインドフルネス)のメリットは、精神的・身体的に多くの例があがっていますが、これはさすがに我田引水が過ぎるんじゃないのと思ってしまうのです。

けれども、「腸脳力」というぐらいですから、瞑想が腸の細菌叢に影響を与えるというのは、もしかしたら「あり」なのかも知れません。

 

元論文:

Sun Y, Ju P, Xue T, Ali U, Cui D, Chen J. Alteration of faecal microbiota balance related to long-term deep meditation. Gen Psychiatr. 2023;36(1):e100893. Published 2023 Jan 3. doi:10.1136/gpsych-2022-100893

 

 

  • 2月, 土, 2024
若者の孤独感への対応策

 

誰もが「孤独」を感じる時があります。

そして、私のような昭和の人間は「孤独をどうこうするのはその人次第」という態度をとりがちなのも事実です。

もちろん、そういう認識でいること自体が、浅薄です。

近年の研究によると、「孤独感」は特に10代後半から20代の若者たちにとって、全体の約40%にものぼると言われています。

これは、ただの一時的な感情ではなく、精神的、身体的健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、公衆衛生上の優先事項となっています。

孤独は、うつ病や不安、自殺念慮のリスクを高めると広く知られています。

しかし、この感情を軽減するための介入は、これまで主に高齢者を対象に行われてきました。

そこで、マサチューセッツ総合病院の研究チームが、若者を対象とした新しいアプローチを試みました。

それが「レジリエンストレーニング(RT)」と呼ばれるプログラムです。

このプログラムは、自己評価の低さや社会的拒絶への敏感さといった、孤独と関連する問題に焦点を当てています。

RTは、感情調整、自己認識、社会的相互作用の改善を目指し、マインドフルネス、自己共感、メンタライゼーションといったエビデンスに基づくスキルを教える4回のセッションから構成されています。

このプログラムの効果を検証するためのランダム化比較試験では、RTが参加者のレジリエンス関連能力を向上させました。

そして、精神病理学的症状を減少させることが確認されました。

二次分析によると、RTが孤独感の減少にも効果があることが示されました。

具体的には、RTを受けたグループは、待機リストにあったグループに比べると、孤独感が顕著に減少しました。

これは、レジリエンス、マインドフルネス、自己共感の増加が孤独感の減少と有意に関連していることからも裏付けられています。

しかし、この研究はいくつかの限界も持っています。

今まさに問題を抱えている対照群を用意できなかったことや、長期的な効果を評価するためのフォローアップ評価が行われていない点などです。

ただし、この研究はひとつの突破口になる可能性があります。

孤独という闇に包まれた時、私たちは自分自身をより良く理解し、感情を管理する方法を学ぶことで、その闇を少しでも明るくすることができるわけです。

自分自身や周りの人が孤独を感じた時、それに対峙する方法はいくつかあります。

自己共感を育む、マインドフルネスを実践する、そして何よりも、私たちは一人ではないということを思い出すこと。

「思い出す」ことができるかどうかが、大きな鍵にはなりますね。

 

元論文:

DeTore NR, Burke A, Nyer M, Holt DJ. A Brief Resilience-Enhancing Intervention and Loneliness in At-Risk Young Adults: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2024;7(2):e2354728. Published 2024 Feb 5. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.54728

 

 

  • 1月, 水, 2024
「禅」への憧れ

私のブログを読まれている方は薄々勘づいておられると思いますが、私は「禅」に憧れがあります。

まず、禅の基本は「サンガ」、つまり「コミュニティ」です。

これは、私たちが他者との関係性を通じて自己と相手を理解することが可能となるためです。

禅と言ったら、すぐに瞑想をイメージするかも知れません。

けれども、瞑想だけでなく、日常生活の中でつながる人との関わりは、自己を理解する鍵です。

それらを含めた禅の実践が、私の人生観や振る舞い、患者との関わり方に大きな影響を与えているのだと思います。

次に述べるのは、禅に対する私なりの理解なので、多少ずれていると思いますが、どうか鵜呑みになさらず、読んでください。

私が思う禅の中心的な教えは「無常」の概念です。

すべてが常に変化しており、何も永遠には持続しないという考え方です。

これは一見恐ろしく感じられるかもしれませんが、実は大きな安堵感をもたらします。

私たちはしばしば自分自身や世界に対して固定観念を持ちがちですが、無常の真理を受け入れることで、これらの固定観念から解放されます。

すべてが変わりゆくことを理解すると、他者への共感も深まります。

また、「四諦」についても触れなければなりません。

これは、生きることの苦しみや不満足を理解し、それらと共存する方法を提案するものです。

禅は、苦しみから逃れるのではなく、それと向き合い、受け入れることを教えます。

これは人間関係の調和においても重要な要素です。

さて、「マインドフルネス」についてですが、これは現在の瞬間に意識を向けるシンプルな実践です。

例えば、今この瞬間に感じるイスの感触や空気の温度に意識を集中することです。

マインドフルネスは、日々の生活の中でいつでも実践できるものです。

次に、禅は「執着」について教えています。

固定観念に固執することを避け、より柔軟な考え方を受け入れることが、苦しみを減らす鍵となります。

これは人間関係においても同じで、他者を自分の思い通りにしようとするのではなく、彼らをありのままに受け入れることが大切です。

また、「慈悲の心」の概念も代表的なものです。

これは、他者に対する思いやりや平和を願う実践を通じて、自分自身の苦しみや怒り、不安な思いにも気づき、共感と愛情を育むプロセスです。

例えば、瞑想中に「あなたが幸せでありますように」と心の中で唱えることで、他者への感情が変わっていきます。

最後に、禅における「初心者の心」という教えがあります。

これは、自分が持つ確固たる物語や先入観を手放し、常に新鮮な視点で物事を捉えることを意味します。

初心者の心を持つことで、人間関係においても新たな発見や交流が生まれます。

禅の教えが私たちの日常生活、特に人間関係の理解と深化にどのように役立つかに思いを馳せます。

無常の理解、苦しみとの共存、マインドフルネス、執着の手放し、慈悲の心、初心者の心といった禅の教えは、私たちがより平和で満ち足りた人生を送るための貴重なツールとなります。

日々の生活の中でこれらを実践することで、私たちは自分自身だけでなく、周囲の人々にもより深い理解と共感を示すことができるようになります。

だからこそ、私は「禅」に憧れるのです。

もちろん、なかなか実践できているわけではないのですが。

 

 

  • 12月, 火, 2023
「ステージフライト」への備え

「ステージフライト」という言葉は、英語の「stage fright」から来ています。

つまり、舞台や人前でのパフォーマンスに対する不安や恐怖を指します。

具体的には、人前で話す、演奏する、演技するなどで緊張し、あがってしまう状態です。

「ステージフライト」は誰にでも起こり得る自然な反応ですし、特に初めての経験だったり、大勢の観客の前だったら、なおさらアガリまくってしまいますね。

「あがってしまっている」時には、心拍数が増加するものです。

息切れを起こしますし。手汗がにじみ、背すじが冷たく感じ、顔がほてり、声や膝の震え、口の渇き、胃腸の不調などの身体的症状が伴うものです。

そこまで冷静に自分の体の状態を観察できるはずがなく、頭はパニックです。

「ヤバイよヤバイよ」を通り越して、失神寸前だったという経験をした方もいるかも知れませんね。

多くの本やサイトには、「ステージフライト克服法」が紹介されているものですし、だいたい以下のポイントが挙げられています。

 

イベント前の準備

  • 事前準備:資料をよく理解し、覚え、質問に備える。
  • 運動しながらの練習:運動すると心拍数が上昇し、息切れや発汗が起こります。それを利用して、本番の状態を模擬体験するのです。不安な状態でもプレゼンテーションができるようにするわけです。
  • ビジュアライゼーション:ステージに立っている自分を想像し、不安を感じながらもそれを乗り越えること。
  • 自信の構築:自分に自信を持てる服装やマニキュアをします。
  • 「成長している自分」に焦点を当てる:「良いスピーカーになっている」と自分に言い聞かせる。
  • 目的に焦点を当てる:自分の発表が聴衆にとって有益であることを意識する。
  • 事前に聴衆の前で話す機会を得る:本番前に聴衆の前で話す機会を作る。

 

イベント中の戦略

  • ダブレット呼吸:2回吸って2回吐く。ゆっくりと深呼吸をして、緊張を和らげる。
  • グラウンディングオブジェクト:お守りや小石など、手に握れるモノを準備して、それに触れることで呼吸を整える。
  • 不安を受け入れる:不安を隠さず、それを受け入れる。
  • 感謝の気持ちを持つ:感謝の気持ちを表現し、不安を和らげる。

 

そうは言うものの、「ステージフライト」をこれで克服したという経験はあまりありません。

ただ、「ステージフライト」でぐちゃぐちゃになって、聴衆の皆さんに迷惑をかけてはいけないと思うので、事前の準備はちゃんとするようにはしています。

 

  • 12月, 土, 2023
看護師とペットとの絆

現代社会で、私たちはさまざまな形で心のケアを求めています。

一方で、ペットとの交流は幸福感を高めると言われていますし、実際、多くの人がペットとの時間を過ごしています。

では、このペットとの絆が、特に看護師のような心身ともに厳しい職業に就く人々にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

最近の中国での研究によると、看護師の間でペットを飼うことは珍しくなく、実に約17%が家庭でペットを飼っているのだそうです。

 

元論文はこちら→

Jiang H, Mei Y, Wang X, et al. The influence of pet ownership on self-compassion among nurses: a cross-sectional study. PeerJ. 2023;11:e15288. Published 2023 May 3. doi:10.7717/peerj.15288

 

彼らの多くは犬や猫といった身近な動物たちと生活を共にしています。

この研究は特に、ペットの飼育が看護師の「自己共感」に与える影響に焦点を当てています。

「自己共感」とは、自分自身に対して優しく、理解を示し、ストレスや困難な状況においても自己受容の姿勢を持つ能力です。

看護師にとって、この能力は日々のストレスや感情的な負荷に対処する上で非常に重要です。

研究では、ペットを飼うことが、自己共感やマインドフルネスの高さに関連していることが示されました。

では、なぜペットはこんなにも私たちの心に良い影響を与えるのでしょうか?

ペットは無条件の愛と支援を提供し、看護師が仕事で直面するストレスや圧力を和らげる役割を果たしているのかもしれません。

また、ペットとの時間はマインドフルネスを促し、日常の忙しさから一時的に離れる機会を提供しているのでしょう。

この研究はオンライン調査によるもので、特定の看護師グループに限定されているため、結果を一般化することには慎重さが求められます。

しかし、看護師に限らず、私たち一人一人がペットからどのような支援を受けているのか、またそれが私たちの心の健康にどのように影響しているのかを考えるきっかけになるかもしれませんね。

心を癒す、ペットとの深い絆。

この研究は、私たちがペットとの関係を見直し、新たな価値を見出す機会を提供してくれるかもしれませんね。

 

  • 9月, 土, 2023
「達成意識」と「覚醒意識」

 

「達成意識」と「覚醒意識」という対の言葉があります。

「達成意識」とは目標に向かって突き進むもの、「覚醒意識」とは人生の指針を見つけるものとして捉えてください。

この二つの意識は共存していて、バランスを取りながら、私たちを導いています。

しかし、現代社会では、私たちは達成意識に囚われすぎてしまって、覚醒意識を忘れがちです。

目標を立て、それを達成することに固執するあまり、人生の深い部分との関係を疎かにしてしまうのです。

コロンビア大学の心理学教授であるリサ・ミラー博士は、この問題について深く探求しています。

彼女によれば、私たちの精神的な側面を無視することが、うつ病や絶望の増加につながっていると言います。

では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?

答えは、「覚醒意識」にあります。

覚醒意識は、人生が今、自分に何を示しているのかを感じ取る意識のことです。

覚醒意識を高めるためには、周囲の人々への愛情や利他的な行動が重要だと言われています。

自分以外の人のために食事を作る、道路を掃除するなど、ちょっとした親切な行動が、覚醒意識を刺激するのです。

このような行動を通じて、私たちは自分自身の覚醒意識を取り戻し、精神的な健康を回復することができます。

人々が達成意識に囚われる現代社会において、覚醒意識を高めることは、私たち一人ひとりにとっての救いとなるでしょう。

そして、それは私たちが忘れていた、人生の深い部分とのつながりを取り戻す道となるはずです。