筋力も持久力もアップさせる血流制限トレーニング

筋力も持久力もアップさせる血流制限トレーニング

 

スポーツ店内を巡視していると、「加圧シャツ」なるものを見たことがあります。

それを使った加圧トレーニングというものがあって、体力を効果的に向上させる方法らしいです。

今日紹介するのは、加圧トレーニングに似た、「血流制限(BFR)トレーニング」についての論文です。

この2つのトレーニングの違いは、圧のかけ方のようです。

加圧トレーニングでは200~300mmhgの圧をかけますが、BFRトレーニングでは80~150mmhgと低圧です。

BFRトレーニングの具体的な効果として、まず筋力の向上が挙げられます。

アイソキネティック筋力と1RM(1回の最大反復回数)において、中程度から大きな効果が見られました。

また、持久力の向上も顕著で、最大酸素摂取量(VO2max)やランニングパフォーマンスが大幅に改善されました。

さらに、BFRトレーニングの効果はトレーニングパラメータによって大きく左右されることが分かっています。

例えば、トレーニング頻度が週3回以上、カフ圧力が160 mmHg以上、加圧時間が10分以上の場合、効果がより顕著に現れます。

BFRトレーニングはまた、その安全性と広範な適用範囲でも評価されています。

従来の高負荷トレーニングと比較して、低負荷で筋力を増強できるため、関節や軟部組織への負担が少なく、リハビリテーションにも適しています。

具体的なトレーニング方法としては、例えば、太ももにカフを巻き、一定の圧力をかけながらスクワットやレッグカールを行います。

筋肉内の血流が一時的に制限されるので、酸素供給が減少します。

これが筋肉にストレスを与え、トレーニング効果を高めるのです。

トレーニング後には、筋肉の成長や修復を促すホルモンが多く分泌され、筋力が向上します。

この論文では、適切な条件下で実施することで、安全にそして効果的に体力を強化することが可能だと結論付けています。

スポーツの世界やリハビリテーションの世界では、トレーニングの方法もどんどん科学的に進化していきますね。

 

参考文献:

Yang, K., Chee, C.S., Abdul Kahar, J. et al. Effects of blood flow restriction training on physical fitness among athletes: a systematic review and meta-analysis. Sci Rep 14, 16615 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-67181-9