「カード遊びをする人々」

フランスの印象派画家ポール・セザンヌが描いた油絵「カード遊びをする人々」は、構図のパターンが複数ある絵です。

どれも決して華美でなく、シンプルで、絵の鑑賞者も登場人物たちのカードプレイを邪魔したくない思いに駆られます。

 

これらの絵には声をあげるようなドラマチックな展開を期待するような雰囲気もありません。

淡々とカードをめくり、自分の手札を改めるだけです。

興奮も喧騒もなく、もしかしたらプレイヤーたちは相手のことすら視野に入っていないのかも知れません。

祈りにも似た静寂さが特徴的です。

男たちはカードを持たず、教会の中にいるとしても不思議でないたたずまいです。

 

カードを扱っているというだけで、私は好きです(笑)。

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イソップ物語「雄牛とヤギ」 と ピージャーオーラサイ

イソップ物語に「雄牛とヤギ」というタイトルのお話があります。

こんなお話です。

 

ライオンに追いかけられた雄牛が、ようやくのことで洞穴を見つけて逃げ入ってきました。

そこにたまたま一匹の山羊が先に入っていて、雄牛が洞穴の中に入った途端に、頭を低くして2つの角でつきかかってきました。

ライオンが洞穴の外でまだうろついているので、雄牛は山羊のされるがままにおとなしくしているしかありませんでした。

雄牛は静かな声で、山羊に言いました。

「気のすむまでつくがいい。お前の卑怯なやり方に黙っているのは、お前を恐れているからではないのだ。怖いのはライオンだけだ。あの化け物が行ってしまったら、お前に山羊と牛ではどちらが強いか思い知らせてやるからな。」

 

このお話の教訓は「他の人の苦しみにつけいるのは良くないことだ。」だそうです。

ヤギは、逃げてきた雄牛に対してつきかかっていくのではなく、弱者同士、牛と力をあわせるべきだったのだということなのでしょう。

でも、特に沖縄の人間はヤギの実力も知っているので、心情的に素直にこの物語からこの教訓を得るのは簡単なことではない気がしています。

雄牛は本気を出さないと、ヤギにやられてしまうのではないかという心配です。だから、どこかモヤモヤとした感じが、この物語には残ってしまいます。

ピージャーオーラサイの様子を見ると、雄牛もヤギに対して決して油断できないと思うのです。

 

https://youtu.be/CQV1n7N9_4E

 

ナゴラン(名護蘭)

実家に顔を出した時に、母が「いいものを見せようか」と家の裏に案内してくれました。

辺り一面にとても強い香りがしていたので、「いい香りだね。何かの花?」と問うと、「そう。これ。ナゴランだよ。」と教えてくれました。

 

ナゴランは沖縄自生の蘭で、愛好家も多いと聞きます。

花が咲くのが5月から6月ということですから、まさしくこの時期なのでしょう。

芳香剤をまき散らしたような、素敵な香りがしていました。

 

蘭を育てたことがないので、実は通じていないのかも知れませんが、母の嬉しそうでちょっと自慢気な表情で何となくその価値を推し量ることができました。

 

 

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100分de名著 「歎異抄」

4月の100分de名著は「歎異抄」を取り扱ったようです。

後で知って、興味があってテキストを買い求めました。

NHK 100分 de 名著 2016年 4月 『歎異抄』  釈徹宗著

 

「歎異抄」の名称は、「異義を歎く」というところから来ているのだそうです。

親鸞が亡くなった後に、師の教えとは異なる解釈が広まっていることを歎いた弟子の唯円が、親鸞の真意を伝えようと書き記した書物なのだそうです。

 

テキストを書いた釈徹宗さんがこう呼びかけています。

「できれば、「歎異抄」は声に出して読んでもらいたいと思います。たとえ内容がよくわからなくても、声に出してみる。」

「宗教の言葉というのは、本来は「語り」のなかにあります。」

「「聖書」や「クルアーン」にも同様のことが言えますが、繰り返し声に出して唱えるうちに、書かれたことが身体に蓄積されていきます。」

「そうすると、生きていくなかで、たとえば絶対絶命のピンチに陥ったと感じる瞬間、宗教の言葉が浮上してきて私たちを助けてくれるのです。」

 

歎異抄には常識を覆すような言葉が繰り返されているのだと言います。

「善人なをもて往生をとぐ…」という言葉に代表されるように、信仰のパラドックスをつきつけてきます。

自己の善の否定。偽善への嫌悪。

「いいカッコしたいだけじゃないの?」

中二病のようなどす黒い情念の塊を、人は心の奥にしまいこんでいます。そういう私がそうです。

これを隠すことなくさらけ出す潔い決意を感じました。それに勇気づけられるのです。

 

今回、入手したのはこのテキストでしたが、近いうちに「歎異抄」そのものを手にとって、じっくりと読んでみたいと思いました。

 

春の熱中症に注意しましょう!

昨日、熱中症で救急搬送された方の人数が多く、注意を呼びかけるニュースを聞きました。

 

総務省消防庁の発表した緊急搬送人員数が以下の通りです。(消防庁 熱中症情報サイトより)

syouboutyo

暑熱環境に慣れていない今の時期、実は熱中症の発生しやすい季節とも言えます。

 

熱中症予防には環境省が熱中症予防サイトで暑さ指数(WBGT)を発表しています。

例えば、明日12日の沖縄県の暑さ指数では各地域で警戒から厳重警戒、大東島では危険のレベルが予想されています。

WBGT

 

熱中症には以下の3つの要因がからんでくると言われています。

環境

からだ

行動

 

「環境」

気温が高い

日差しが強い

湿度が高い

風が弱い

急に熱くなった

閉め切った部屋の中

 

「からだ」

下痢や風邪などで脱水状態になっている

二日酔いや寝不足

疲れがとれていなくて無理をしている

 

「行動」

長時間の屋外作業

激しい筋肉運動や長時間の慣れない運動

水分補給できない状況

 

そういう状況の中では、汗や皮膚温度で体温調整ができずに体温がどんどん上昇していき熱中症を引き起こしてしまいます。

 

予防策としては

決して無理をしないこと

室内でも油断しないこと

涼しい服装を心がけること

日傘や帽子を着用すること

日陰を利用すること

そして、水分と塩分を補給すること

睡眠をよくとって体調を良くすること

 

 

お互いに声をかけあって、熱中症の予防に心がけたいものです。

特に咽喉が渇いてから水分を補給するのでは遅いです。

咽喉が渇かないように水分を補給するのが、正しい補給の仕方です。

 

 

「犬のことば辞典」

人に「これは哲学かも知れない」と薦められて読んでみたのですが、何度読んでも飽きません。

確かに、とても面白くて考えさせられる辞典です。

 

犬のことば辞典 きたやまようこ著 ポチ監修

 

例えば、【あまえる】の項

あまえると 犬と 子どもは からだを

おしつける。

大人は いろんなものを おしつける。

たとえば、なやみ、くろう、犬、子ども。

 

最後の二つに思わず吹き出してしまいました。挿絵がとてもかわいいのです。



それから、【あとで】の項

大人は しばらくしたらの意味

子どもと 犬には

ダメという意味

 

その状況を想像して、大人としてかなりウチアタイしてしまいます(笑)。

 
【わるいこと】

子どもは 大人が いやがること

大人は じぶんが されると

いやなこと。

犬は 人が いやがること

 

 

善悪の基準は絶対的なものではなく、その時々の相対的な価値観で決まる…を地で行くような言葉ですね。

思わずうなって納得してしまいました。

 

シナリオライター

最近は2人の著作(主にシナリオ集)を読んでいます。金城哲夫氏と上原正三氏の作品です。

 

金城哲夫氏は、言わずと知れたウルトラマンを生み出した男。

上原正三氏はその金城哲夫氏に誘われて円谷プロに参入した同郷の1歳違いの同僚。

 

その実績を並べるだけで、実は私たちテレビっ子世代は2人のヒーロー世界観で育ってきたのがよくわかります。

もちろん全部ではありませんが、下に上原正三氏の作品群を並べてみます。私には懐かしいタイトルばかりです。

 

1966年
ウルトラシリーズ ウルトラQ
ウルトラマン

1967年
ウルトラセブン
柔道一直線

1971年
帰ってきたウルトラマン
シルバー仮面

1972年
ウルトラマンA

1973年
ウルトラマンタロウ
ロボット刑事
イナズマン
流星人間ゾーン
走れ!ケー100
ドロロンえん魔くん

1974年
電人ザボーガー
ゲッターロボ
がんばれ!!ロボコン

1975年
秘密戦隊ゴレンジャー
少年探偵団
ゲッターロボG
UFOロボ グレンダイザー

1976年
大空魔竜ガイキング
宇宙鉄人キョーダイン

1977年
ジャッカー電撃隊

1978年
がんばれ!レッドビッキーズ
宇宙海賊キャプテンハーロック

1982年
宇宙刑事ギャバン

1983年
宇宙刑事シャリバン

1984年
宇宙刑事シャイダー
北斗の拳
1987年
仮面ライダーBLACK

1996年
ウルトラマンティガ

1997年
ウルトラマンダイナ

 

およそ30分間という制約があり、当時の技術で映像化ができなければ採用できないという中で、よくこんな多くのファンタジーを描き切ったと感動します。

とても懐かしかったのは1973年の「走れ!ケー100」でした。

沖縄に到着するのを今か今かと楽しみにしていて、実際のケー100を見に、放送終了後のイベントで親にグランドパークまで連れて行ってもらったのを覚えています。

 

https://youtu.be/k2yBwnuQJwE

 

 

 

母の日に

今日、母の日に両親を食事に誘って出かけました。

いくつになっても心配ばかりかけてしまう息子です。

日頃の感謝の気持ちを込めたつもりでしたが、こんなものじゃ多分足りないだろうなと思いました。

 

母の写真を撮って見せたら「写真見ると、自分も歳取ったなって思うね。」と笑いました。

「いつの間にかだよね。」

人はいつの間にか、老いるものです。

だからこそ、一緒に過ごす時間を大切にしたいと思います。

 

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落語 「夏の医者」

落語では、おさむらいはもちろんのこと、お殿様も笑いの対象になるぐらいですから、もちろん医者も笑いの対象です。

今日は2代目桂枝雀の「夏の医者」を紹介します。

まくらは、桂枝雀師匠の十八番のお医者さんネタです。

 

まくらのネタを少し紹介しましょう。

 

江戸時代には国家試験などがあったわけではないので誰でも医者になれたそうです。

「いろんなことをやってみたけれど、ひとつうまくいかんので、医者デモやってみようか」という者たちがいたんだそうです。これをデモ医者と言いました。藪医者のことです。

その藪医者というのは、風(=風邪)の時だけお呼びがかかる、風邪ぐらいなら診てもらっても良いというので藪医者というのだそうです。

でも、藪医者と呼ばれるようになれば、まだ一人前だそうで、タケノコ医者というのがあるそうです。

これは、これから成長して藪になろうという医者のこと。

スズメ医者というのは、これから藪に飛んでいこうとする医者のこと。

ほかにも、寿命医者、手遅れ医者、葛根湯医者といういろんな種類の医者があります。

寿命医者は「ご寿命でございます。」この言葉さえ知っていれば医者ができたそうです。「ありがとうございます」とお礼まで言われてしまいます。

手遅れ医者は「なんでもっと早く連れてこなかったんじゃ。ばか!」 そして「手遅れじゃな。」と決めゼリフ。これは天下無敵です。

葛根湯医者というのは、葛根湯という風邪薬だけですべてをまかなわせてしまうお医者さんのこと。

「どうしたんですか?」「先生、頭が痛いんです。」「いけませんなあ。葛根湯!」

「お次の方どうしたんですか?」「お腹が痛いんです。」「いけませんなあ。葛根湯!」

「お次の方どうしたんですか?」「私、あの人についてきただけなんですけど。」「いけませんなあ。ご退屈でしょう。葛根湯!」

 

医者に限らず、あらゆる専門職の所業を笑いの種にするのは、落語の真骨頂ですね。

 
本題の「夏の医者」という落語は上方落語の「地獄八景」のサゲに似ています。

医者の薬箱には下剤が常備されていたのでしょう。

登場人物たちは愛嬌があります。

 

笑いたいときに、ぜひお聞きください。

https://youtu.be/BYmBMbpHowE

 

こいのぼりたち

昨日は朝からずっと書類整理の仕事をしていて、帰りも遅かったのですっかり世間に取り残されていました。

今朝、出勤途中に内間西公園のこいのぼりたちを見て、昨日が子どもの日だったことを思い出しました。

今日は曇り空で少し湿った空気なので、心なしかこいのぼりたちもしっとりとしています。

休みの日にでも、今度は元気で明るいこいのぼりたちを写真に残そうと思いました。

 

今日からクリニックは通常通りの業務になります。

 

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