落語 「夏の医者」

落語では、おさむらいはもちろんのこと、お殿様も笑いの対象になるぐらいですから、もちろん医者も笑いの対象です。

今日は2代目桂枝雀の「夏の医者」を紹介します。

まくらは、桂枝雀師匠の十八番のお医者さんネタです。

 

まくらのネタを少し紹介しましょう。

 

江戸時代には国家試験などがあったわけではないので誰でも医者になれたそうです。

「いろんなことをやってみたけれど、ひとつうまくいかんので、医者デモやってみようか」という者たちがいたんだそうです。これをデモ医者と言いました。藪医者のことです。

その藪医者というのは、風(=風邪)の時だけお呼びがかかる、風邪ぐらいなら診てもらっても良いというので藪医者というのだそうです。

でも、藪医者と呼ばれるようになれば、まだ一人前だそうで、タケノコ医者というのがあるそうです。

これは、これから成長して藪になろうという医者のこと。

スズメ医者というのは、これから藪に飛んでいこうとする医者のこと。

ほかにも、寿命医者、手遅れ医者、葛根湯医者といういろんな種類の医者があります。

寿命医者は「ご寿命でございます。」この言葉さえ知っていれば医者ができたそうです。「ありがとうございます」とお礼まで言われてしまいます。

手遅れ医者は「なんでもっと早く連れてこなかったんじゃ。ばか!」 そして「手遅れじゃな。」と決めゼリフ。これは天下無敵です。

葛根湯医者というのは、葛根湯という風邪薬だけですべてをまかなわせてしまうお医者さんのこと。

「どうしたんですか?」「先生、頭が痛いんです。」「いけませんなあ。葛根湯!」

「お次の方どうしたんですか?」「お腹が痛いんです。」「いけませんなあ。葛根湯!」

「お次の方どうしたんですか?」「私、あの人についてきただけなんですけど。」「いけませんなあ。ご退屈でしょう。葛根湯!」

 

医者に限らず、あらゆる専門職の所業を笑いの種にするのは、落語の真骨頂ですね。

 
本題の「夏の医者」という落語は上方落語の「地獄八景」のサゲに似ています。

医者の薬箱には下剤が常備されていたのでしょう。

登場人物たちは愛嬌があります。

 

笑いたいときに、ぜひお聞きください。

https://youtu.be/BYmBMbpHowE

 

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