「誰もいない森で木が倒れたら音はするのか?」

 

 

ドラッカーの本を読んでいたら、「哲学上の有名な問いかけ」として紹介されていました。

「誰もいない森で木が倒れたら音はするのか?」

 

答えは「しない」だそうです。

後に続く説明がこうでした。

空気が振動して音波は発生しますが、音波というものは知覚されてはじめて「音」になるのです。

ですから、「人」がいない森では木が倒れても音はしません。

 

これは、コミュニケーションについてドラッカーの考えを示すために用いた例えでした。

コミュニケーションとは、発し手ではなく、受け手に成功のカギがある。

先ほどの「音」と同じでコミュニケーションも、相手に知覚されなければ意味がないと言っています。

つまり、受け手が関心を持っていること、理解できる言葉で語ることが大切であると説きました。

コミュニケーションとは、意見を押し付けるのではなく、お互いに理解を共有しあうこと。

そのためには、相手にわかる言葉を使うことが何よりも重要なんですね。

 

「どう行動するか」の前に、「行動するべきか、いや行動しなくても良いのではないか」から話し合うことが必要なんだと言います。

 
Fagus japonica 02
 

 

 

「肝心かなめなもの」

 

まど・みちおさんの詩に「根」というタイトルの詩があります。

根

 

この詩を読むと、なかなか「肝心かなめなもの」だけで生き切れない自分と重ねてみて「こう生きていけたら素晴らしいだろうな」と思います。

肝心なものはいつだって、目に触れていない。

それは表面に表れていないだけで、本当は大切なところで下支えとして「あっけらかんと」存在している。

決して「ワンガ、ワンガ」というタイプの人間ではないつもりですが、自分がもっている傲慢さを指摘されている気持ちです。

 

 

 

絵画はむなしい?

 

 

パスカルの有名な言葉があります。

絵画とは、なんと空しいものだろう。原物には感心しないのに、それに似ているといって感心されるとは。 (『パンセ』)

 

「似ているといって感心する」というのはなるほどと思いますが、前半の「絵画とは空しいもの」という文句に私の頭に「はてなマーク」がつきました。

「絵画が空しい」ということが理解できないのです。美しい絵画を見ると、心が揺さぶられるものです。興奮します。感動するものです。

パンセは絵画をおそらく現実のコピーとしてとらえ、オリジナリティや創造性を認めなかったのかも知れません。

画家の側に立つというよりも、絵画を評価する批評家の視線のような気がします。

 

「評価する」という視点は、解釈し意味を与える行為です。

感動が何に起因しているのか分析しようとすることです。感情や気持ちを理屈や数値、データで表記変換するようなものです。

確かに、そういう行為は「空しい」かも知れません。

 

私は現物を超えた絵画は存在すると思います。

Blaise_pascal

肖像画は、不在と現存とを、喜びと不満とをもたらす。実物は、不在と不満とを取り去る。 (『パンセ』)

 

沖展は今度の日曜日までですね。

 

 

 

 

 

 

チームワークとは?

 

4月1日です。新年度が始まりました。

私たちのクリニックも、今日から新しいスタッフを迎えます。

慣れるまで緊張の連続かも知れませんが、皆でカバーしていきたいと思います。

 

組織で働くと、チームワークとはいったい何だろうかと考えます。具体的にはチームワークとはどんな行動をいうのでしょうか?

どんなことをすれば「チームワークが良い」と言えるのでしょうか?

こんな定義を示してくれた方たちがいました。ディッキンソンとマッキンタイアが定義してくれたものです。

 「チームワークとはチーム内の情報共有や活動の相互調整のためにメンバーが行う対人行動全般である」

言葉が少し分かりにくいですが、おそらく平たく言うとこんな感じだと勝手に解釈しています。

メンバー同志のコミュニケーションがよくとれていること。そして、自分の役割の境界から少しだけはみ出してお互いを助け合う協力の風土があること。 

私は、この「境界をはみ出す」ということが、人が自分を成長させ利他の心を育む大事なポイントだと思っています。

 

そういうこともあって開業の時から、人に教えてもらって院長として心がけていることがあります。

院長はクリニックの用務員さんの役割も担うものであること。

 

業務の中には境界がはっきりしすぎていると、必ず隙間が出てきます。

そこを埋める人が必要です。そして、一番ヒマなのは院長ですから(笑)

 

だんだんとチームワークが育ってきて、その境界がぼんやりしてきてその隙間が見えなくなってきたように思います。

 

実はこんなことがありました。

季節も春を迎え、クリニックの裏のスペースで雑草が生い茂ってきました。

さすがに自分では刈れないよなあと思っていたら、休日に出てきてきれいに刈ってくれたスタッフがいました。

もう、うれしくて感激です。

 

 

rose

 

 

惑星の名前 ローマ神話から

 

今日は惑星の名前のお話です。

 

太陽系の惑星にはローマ神話の神々の名前をつけるのが通例でした。

例えば、木星はジュピターだと皆が知っていますが、ギリシア神話では全知全能の神として知られるゼウスのことです。

一覧表をつくってみました。

惑星  英語名 ローマ名 ギリシア名
 太陽  アポロ(Apolo)  アポロ  アポロン
 水星  マーキュリー(Mercury)  メルクリウス  ヘルメス
 金星  ヴィーナス(Venus)  ウェヌス  アフロディテ
 火星  マーズ(Mars)  マルス  アレス
 木星  ジュピター(Jupiter)  ユピテル  ゼウス
 土星  サターン(Saturn)  サトゥルヌス  クロノス
 天王星  ウラヌス(Uranus)  ウラヌス  ウラノス
 海王星  ネプチューン(Neptune)  ネプトゥヌス  ポセイドン
 冥王星  プルート(Pluto)  プルトン  ハデス

ローマ神話とギリシア神話では、神々の呼称が似ても似つかぬものに変化してしまっています。日本人に広く親しまれているのはローマ名の英語読み(=英語名)ですね。

ただ、天王星のウラノスだけは、ちょっと違います。

ウラノスはローマ神話ではカエルス。

なぜか惑星の名前はウラヌス(ウラノス)のままなのです。

 

そういえば、太陽のアポロン(アポロ)もそうですね。 

彼らはローマに渡っても、知名度が高かったのでしょうか。 

The_Mutiliation_of_Uranus_by_Saturn 

 

 

 

 

この時期、沖縄から本土へ出張に行くと、やはり桜の花が目にとまります。

沖縄の桜は1月2月の寒い時期に満開となるので、「新年」という気分にはなっても「春」という実感はありませんが、この時期の桜は春の到来を象徴します。

昨日はあいにくの曇りでしたが、目の保養となりました。

もっと上手に写真がとれたらよかったのですが、通りすがりの一枚…だったので、ごめんなさい。

ほとんど満開に近いのでしょうね。良いタイミングで出張しました。

sakura

sakura2

 

 

 

移動時間の楽しみ

出張の移動で楽しみにしているのは、読書のためにまとまった時間が取れることです。

空港の待合ロビー、飛行機の中、駅のホーム、電車の中、あるいはホテルの部屋。

沖縄から東京への出張なら、移動する初日でだいたい1冊を読了することができます。

 

昨日から今日にかけて、東京への出張がありました。

今回、少し違うのは「紙の本」ではなく、電子書籍を持って行ったことです。

写真の通り、ほぼ日手帳とだいたい同じ大きさです。

kindle hobonichi

どんなにページ数が大きい本を持って行こうが(あるいは何冊持って行こうが)、この手軽さのままに移動することができます。

難点は、欲しいと思う本がまだまだ電子書籍化されていないこと。何冊も持っていくことになるので、同時に読み進める本の数が増えてしまったこと。

良い点は、今までよりももっと細切れの時間を読書にあてることができること。

不思議なのは、紙の本がますます好きになってしまったこと。

目的地への道すがら目にとまった本屋に立ち寄り、やっぱり本っていいなあとぱらぱらページをめくりながら思います。

 

読書は人生を助けます。

それ以前に本を読むことは面白い。

 

100分de名著 「マネジメント」

 

ドラッカーの「マネジメント」はずっと以前に読みました。

とても面白くて、蛍光ペンでラインを引いたり、余白に「ひらめきメモ」を書き込んだりしていました。

そして、じっとしていられなくなって部屋中を歩き回ったことを覚えています。

今でも「基本と原則」に立ち還りたいと思った時には、それに関連する本を読みたくなります。

 

先日、息子と本屋に立ち寄った時「100分de名著ブックスシリーズ」に「マネジメント」があることを知りました。

値段も1000円でしたので、衝動買いしてしまいました。

 

さっそく拾い読みしたのですが、そのなかでも面白いエピソードがありましたのでご紹介しますね。

よく知られる「一位二位戦略」の裏話です。

ゼネラルエレクトリック(通称GE)の最高経営責任者(CEO)ウエルチがドラッカーにコンサルトを依頼しました。

その時に交わされた議論の末に生み出されたのが、一位あるいは二位になるつもりの事業だけを残して、そこにすべての人材や資材を投入するというものでした。

これによってGEは、活気を取り戻し、急成長を遂げることになったそうです。

 

ところが、このお話には後日談がありました。

ドラッカーの死後、ある女性伝記作家がウエルチのもとに再度取材に訪れました。

すると、この「一位二位戦略」の言葉のニュアンスが少し違っていたことが明らかになったのでした。

実際には、ドラッカーはこう尋ねたといいます。

「あなたの会社のやっている仕事は、すべてワクワクドキドキするものばかりか?」

ウエルチは「すべてがそうだとは限らない。なかには淡々とやっているものもある。」と答えました。

それを聞いてドラッカーは、「ワクワクドキドキしてやっている事業以外は、すべて止めたらどうだろう」と言ったそうです。

 

ドラッカーは「本気で取り組む仕事は、ワクワクしていてしかるべきであって、そうでないものには取り組むべきではない」と考えていたのでした。

喜びを感じながらやれる仕事をこそ本業とすべき。

思わず、自分たちのしていることを振り返りたくなります。

 

「ワクワクドキドキ」はいつでも仕事をするうえで尺度になりますね。

 

 

新しいアイデア

 

 新しいアイデアを生むために、それこそ面白いアイデアを披露してくれた方がありました。

 

2013年のTEDx Tokyo。

日本の高橋晋平さんがアイデア発想法「アイデアしりとり」を提唱しています。(日本語でのプレゼンです。)

2004年に彼はおもちゃ会社に入社しました。そこでのおもちゃづくりのための苦労と、それを打開した「発想法」について語ってくれています。

 

おもちゃ会社で開発者として働き始めた時、その出発点としてデータを使うよう強いられて創造力が枯れてしまうのを感じたそうです。

その時、彼は立ち止って考えました。そして、アイデアが再びあふれ出たいきさつを語ります。

誰もが見たことがある「むげんプチプチ」や「むげんエダマメ」は彼が発案した商品だそうですよ。

 

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「初心」

 

私は「初心」であり続けたいと思っています。

「何かを得た」とも思ってもいないし、「どんな評価」をも気にしていない頃の自分です。

初心者であることを自覚し、全てが学びで、全てを受け入れている広い心でいる自分です。

 

「先の者が後になり、後の者が先になる。」

この言葉を知った時から、私は常に「後の者」でいたいと思いました。

何も達成していない。何も分けていない。どんなことも受け入れる。どんなことにも開かれている。

 

そして、初心者なら、何にでもワクワクしています。新しい心で興味と関心を持つからです。

初心者であれば、何にでも感謝することもできます。

 

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