首里城下町クリニック 地域むけ医療講演会

首里城下町クリニックの田名毅先生とは首里高校の同期で、比嘉啓先生は大学、中部病院を通じての先輩です。

診療の専門も同じ畑にいますから、いつも助けてもらっていますし、何かとお世話になっているお二人です。

その田名先生から「首里城下町クリニックで定期的に開いている地域むけ講演会で話してもらいたい」と依頼があったのは、7月末ぐらいでした。

同じ専門ですから、私などが今さらお話しすることも…という気もないでもなかったのですが、日頃のお返しができればと思って喜んでお引き受けしました。

琉球新報の「ちょBitコーナー」に掲載予定と言っていましたから、告知記事を見た方もいらっしゃるのかも知れませんね。

今日はスライドの準備のために、ちょっとした実験風景を外来で動画撮影しました。

少しでも皆さんの学びのお役に立てればと思います。

首里城下町クリニック

 

 

夢を描く会議

最近、稲盛和夫氏の「哲学」にはまっています。

今、講演録を読んでいるのですが、腑に落ちることが多く、分野は違いますが、とても勉強になります。

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例えば、「夢を描く」ということに関して、こうありました。

 開発会議などで、ある人が「このようなことをやりたい」と言うと、とかくそれがいかに難しいかということを縷々(るる)述べる人がいます。(略)

夢のようなことを言う人は、陽性で明るく、楽天的なのですが、優秀な技術屋にそれがいかに荒唐無稽で発想であるかということを縷々説明されると、すぐに反論ができないため、同席する役員が聞いていても、「やはり駄目だな」と思ってしまうのです。(略)

 新しいものを開発しよう、クリエイティブなことをやっていこうという場合には、会議の運営方式を変えなければならないと思っています。

そのような理屈っぽい、ネガティブな考え方をする人というのは、会議の場ではおじゃま虫ですから、そのような人にはあまり出てもらいたくないのです。

そこには多少頭がよくないとしても、陽性で明るい人ばかりを集めて、何でも言い合ってもらうことが要るわけです。つまり、新しいことをする場合には、最初はポジティブな考え方をする人だけを集めて、ネガティブな考え方をする人は入れないことが必要だろうと、いつも思っています。

 

このことだけでも、裏表のない正直な方なのだろうと思います。

夢はポジティブで楽天的でなければ描けません。やると決めて、実行の段階になって、ネガティブな要素を集めれば良いのだと思います。

皆のやる気が出る、夢が描けるポジティブなミーティングができれば、素晴らしいですね。

 

「動機善なりや、私心なかりしか」

稲盛和夫氏の言葉に

「動機善なりや、私心なかりしか」

というものがあります。

これは「心を高める、経営をのばす」という本に出てくる言葉です。

 心を高める、経営を伸ばす 稲盛和夫著

私も常にこうありたいと思っていますし、ことあるごとに自問を繰り返すようにしています。

そのまま紹介させてください。

 

「動機善なりや」。私は、企業経営をする上で、こういうことを常としています。

それは、新しい事業に展開する場合などに、「動機善なりや」ということを自らに問うのです。何かをしようとする場合、自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。

善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは、誰から見てもそうだということです。自分の利益、都合、格好などだけでものごとは全うできるものではありません。その動機が自他ともに受け入れられるものでなければならないのです。

また、仕事を進めていくに当たって、「プロセス善なりや」ということを問うています。結果を出すために不正な行為もいとわないということでは、いつかしっぺがえしを食らうことでしょう。実行していく過程も、人の道を外れるものであってはならないはずです。

言い換えれば、「私心なかりしか」という問いかけが必要なのです。自分の心、自己中心的な発想で事業を進めていないかを点検するのです。

私は、動機が善であり、実行過程が善であれば、結果は問う必要はない、必ず成功すると固く信じています。

 

 

「自ら治療する蝶」

今回はTEDからの紹介です。

 

ジャープ・デ=ローデさんは生物学者です。

彼はオオカバマダラの生態を研究するにつれて、大変興味深い事実を発見しました。

 

人間とおなじようにオオカバマダラも寄生虫によって病に冒されることがあるのだそうです。

彼が発見したのは、寄生虫に感染したメスの蝶の産卵行動の不思議でした。

母蝶が産卵場所に選んだのは、やがて生まれる子どもたちを寄生虫から守ることができる薬効性のある種類の葉の上だったのです。

薬草に卵を産み付ける確率は、実に68%でした。あの小さくてきゃしゃな蝶の中に、どういうメカニズムが内在しているのでしょう。

 

そして、これには非常な重要なヒントが隠されているのだと彼は言います。

自然の素晴らしさを教えてくれるだけでなく、私たち人間にとって新しい薬を見つけるためのヒントがあるかも知れないからです。

あまりにちっぽけで、私たち人間が軽んじてしまいがちな昆虫に目を向けることは、新しい道を切り開くきっかけになるかも知れませんね。

 

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必要な情報を必要な人へ届けること

先日面談した方はご自分の伝(ツテ)で「さくだ内科クリニック」を“探し当て”てきた方でした。

幸いに「長時間とかオーバーナイト透析をしている変わった透析クリニックが浦添にあるらしい」という口コミは、実は透析以外の医療関係者からおよそ好意的な意味で出回ってくれているようです。

その方も医療関係者の知人から、こちらの話を聞いてきたのだとおっしゃっていました。

 

「自分だったらどんな透析を受けたいか」という出発点は、これも坂井瑠実先生の受け売りなのですが、自分たちの特色として(強みとして?)間違っていないと確信しています。

ただし、今までは長時間にしろオーバナイトにしろ、「ご縁があれば」というスタイルだったと言えなくもありませんでした。

必要な情報を必要な人に届けたい。

最近は、強くそう思うようになっています。

というのも、沖縄では在宅血液透析の存在はごく一部の方にしか伝わっていないのが事実だからです。

正確に広く発信していくのも私たちの責任だと思いました。

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Some of These Days

時々は私も「哲学」に触れます(笑)。

 

サルトルは小説「嘔吐」のなかで、実在のジャズの曲を登場させました。

パリ行きの列車を待つ主人公がカフェに入り、ジャズのレコードを聴くシーンです。

「嘔吐」 鈴木道彦訳 から引用しますね。

 

私はウェイトレスを呼ぶ。

「マドレーヌ、お願いだからレコードで、一曲かけてくれないか。ぼくの好きなやつを。ほら、Some of these days(いつか近いうちに)だよ」

  Some of these days You’ll miss me honey 

(いつか近いうちに、いとしい人よ私の不在を寂しく思うでしょう)

 いったい何が起こったのか。〈吐き気〉が消えたのだ。 

 

サルトルは「ジャズは自由と必然性の統一」だと言ったそうです。どんな音が飛び出してくるか予想もつかないジャズが、いったん演奏されるとそれが必然性のあるメロディーとして奏でられる。

このジャズのシーンは、すべて意味のない存在として絶望の果てにたどりついた主人公が、喪失の果てに救済を予感させるものとして描かれています。

最後の最後に救済される人間の可能性。そこに流れる曲…。

「Some of These Days」を紹介しますね。

 

 

「医師そのものを処方する」

慢性的な痛みは取り除くことが困難で、原因も複雑で、それさえもわかっていない場合もあります。

痛みそのものが患者さんを絶望的に追い込むことがありますし、その苦しみは極めて人間的だと言われています。

その痛みがいつまで続くのか、治るのか治らないのかが不確実なだけに、将来が不安なのです。

やがては医療不信におちいり、多くの社会的な疎外感の中で生きていくことにもなります。

 

そういうなか、マイケル・バリントは「薬としての医師」の役割の重要性を説きました。

同じく中井久夫氏(神戸大学名誉教授)は「とにかく医師は希望をも処方しなければなりません。「医師」そのものをも処方せねばなりません。そして「祈り」をも。」と言いました。

「薬としての医師」

「医師そのものを処方する」

全人的医療とは、患者を病をもった全人(whole person)として捉えることを前提としていますが、時に医師そのものも全人(whole person)として接することが求められることがあります。

それは、医療が医師と患者の共同作業であるからなのですが、治療のゴールの深度はその関わりにかかっています。

自分自身に対する深い洞察がなければ、到底不可能なことだと思いますし、危険なことだとも思います。

 

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「ヘンな論文」

先週末の朝の出勤途中の車のラジオで、面白い話を聞いて思わず吹いてしまいました。

いつも聞いている「中西哲生のクロノス」という番組です。

その番組の7時20分ごろから始まる『追跡』というコーナーで、その日は「珍論文コレクター」と称するサンキュータツオさんが登場していました。

サンキュータツオさんは「普段は米粒写経という名前で漫才やったりしているお笑い芸人」。

そして、日本語学、文体論や表現論などを研究している学者さんでもあり、一橋大学の非常勤講師などをされているそうです。

その方の趣味が、ユニークでヘンな論文を集めること。そして、それらをまとめたのが、この本「ヘンな論文」なのだそうです。

 
 サンキュータツオ著

 

番組で最初に紹介された論文が、すごくインパクトのあるタイトルでした。

「走行中のブラジャー着用時の乳房振動とずれの特性」

ここでは「乳房振動」という4文字熟語がいかにパワーがあるかを力説し、無条件降伏しかないと言っていました。

しかし、これがすごく真面目な論文なのです。

日本家政学会誌に2005年に発表されています。

下着メーカーと共同でこのような研究をした結果、ブラジャーが日進月歩で進化していくということを、今回初めて思い知らされました。

業界の中では大変真面目な研究も、そこからちょっと外に出ると「ヘンな論文」になってしまうのでしょうね。

 

また、番組内でとりあげた論文がもうひとつ。

「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離」

簡単に言うと、公園の土手に座っているカップルを観察した論文。

内容は、カップルが「人目を気にせず」に座れるのは、「他者」とカップルとの距離はどれくらいかというものだそうです。

これもすごい研究ですね。ざっというとポイントは「5m」だそうですよ(笑)。

これは「日本建築学会環境系」の論文。

 

ほかにどんな論文があるのか、とても気になったのでさっそくこの本を購入してしまいました(笑)。

医療系も実は「ヘンな論文」があってたまに度肝を抜かれたりします。

 

映画「バレエボーイズ」

先日、時間が空いたので久しぶりに映画を観てきました。

バレエに打ち込む少年たちを追ったドキュメンタリー映画「バレエボーイズ」です。

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まだあどけなさが残る3人の少年たちの成長を4年間追い続けただけに、映画全体を通して彼らの姿は見違えるほどに変化していきます。

12歳の時は屈託無く3人でふざけあう毎日。ロッカールームは自分自身をさらけ出せる場所だと言っていました。

やがて成長するにつれて、バレエを続けるか断念するかで大きく揺れることになります。

将来に対する不安の様子をカメラはありのままに描写していきます。

3人の少年のうちの一人トリゲールの言葉です。

「自分の将来は審査員にかかってる。合格か不合格かの、どちらかしかない」

そして、ルーカス1人だけが名門ロンドン・ロイヤル・バレエスクールから招待を受け、3人は人生の分かれ道の選択を余儀なくされることになります。

 

青春って、どうしていつもこう切ないのでしょう。

やりたいこと、望むことを追い求めることは、一方で大切にしていた何かを捨てなければならないから?

自分を大切に生きるってことは、そういうことの連続なんでしょうね。

忘れていた甘酸っぱい気持ちを思い起こさせてくれた素晴らしい青春映画でした。

 

 

バレエダンサーとして、ルーカス君はいずれ世界的なスターになるのでしょうね。

 

 

マッチ棒のパズル あれこれ

昨日はサム・ロイドのマッチ棒のパズルを紹介しました。

マッチ棒のパズルは、「ひらめき」のトレーニングになりますね。

私は図に乗りやすいタチなので(笑)、今日は古典的なマッチ棒のパズルをいくつかまとめて紹介しようと思います。

 

問題1 最小限の移動で正方形をつくってください。

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問題2 魚を反対向きにするには、何本のマッチを動かせばよいでしょうか。

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問題3 最小限のマッチを取り除いて、いまある三角形と同じ大きさの三角形を八つから四つに減らしてください。もちろん、残ったマッチは全部使わなくてはいけません。

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問題4 グラスの中のチェリーをグラスの外に出すには何本動かせばよいでしょうか。最終的にグラスはどちらを向いていてもかまいませんが、チェリーを動かすのは反則です。

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問題5 豚さんが歩いています。反対向きにするには何本動かせばよいでしょうか。

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問題6 マティーニのグラスから、オリーブを取り出してください。チェリーの問題と同じで、グラスはどちらを向いていてもかまいませんが、オリーブを動かすのは反則です。

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いかがでしたか?

ひまつぶしにはなったでしょうか?

 

 

下の方に何本動かせばよいのかのヒントを書いておきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒントは何本動かせばよいかを示したものです。問題6などは大好きなパズルです。

問題1:1本

問題2:3本

問題3:4本

問題4:2本

問題5:2本

問題6:ゼロ