「医師そのものを処方する」

慢性的な痛みは取り除くことが困難で、原因も複雑で、それさえもわかっていない場合もあります。

痛みそのものが患者さんを絶望的に追い込むことがありますし、その苦しみは極めて人間的だと言われています。

その痛みがいつまで続くのか、治るのか治らないのかが不確実なだけに、将来が不安なのです。

やがては医療不信におちいり、多くの社会的な疎外感の中で生きていくことにもなります。

 

そういうなか、マイケル・バリントは「薬としての医師」の役割の重要性を説きました。

同じく中井久夫氏(神戸大学名誉教授)は「とにかく医師は希望をも処方しなければなりません。「医師」そのものをも処方せねばなりません。そして「祈り」をも。」と言いました。

「薬としての医師」

「医師そのものを処方する」

全人的医療とは、患者を病をもった全人(whole person)として捉えることを前提としていますが、時に医師そのものも全人(whole person)として接することが求められることがあります。

それは、医療が医師と患者の共同作業であるからなのですが、治療のゴールの深度はその関わりにかかっています。

自分自身に対する深い洞察がなければ、到底不可能なことだと思いますし、危険なことだとも思います。

 

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