「相手が変われば」

「この状況が悪いのは相手のせい。相手が変わらなければ、良くならない。」

「迷惑を被っているのは私。わかっているのも私。わかっていないのは相手。」

「相手にわからせてやるしかない!」

当然のように、人はそう考えがちですね。

 
ある本にこういう言葉がありました。

「相手が変わっても人間関係は変わらない。」

他人を意味づけしているうちは、どうやってもその轍から抜け出せないというのです。

自分が変わるしか、人間関係を心地よくする方法はないんですね。

 
「ホ・オボノボノ」のような幸せを呼ぶ4つの言葉にしても、相手を変えようとする言葉ではありません。

「ありがとう」

「愛しています」

「許してください」

「ごめんなさい」

これらはみな、他人を変えるのではなく、自分が変わることによって初めて発することができる言葉です。

「自分が変わる」というのは、「自分の心の状態を自分で決めて行動する」ということですね。

例えば、自分の心を機嫌良くすると決めたなら、それにしたがって動いてみることです。

 
相手は変わらない。(本当にそう思います。変わったら奇跡です。)

「変わった私が世界と新しい関係を結んでいく。」

自分の内側に視点をうつして、自分を成長させていくことを目標にしたいですね。

 

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憧れの人生

ある日、高齢の患者さんの思いがけない言葉に驚いたことがありました。

「思いがけない」と言ったら失礼ですね。

私の偏見と思い込みが間違っているのだと、後で反省しました。

 

私はその91歳の女性にひと通りの問診をしながら、「夜はよく眠れますか」と訊ねました。

「はい。よく眠れます。でも、朝は起きるのがつらいですね。」

「何時に眠るのですか?」

その女性は、車いすに小さな体を沈ませて少し微笑みながら「夜は寝床で本を読むので、いつの間にか眠ってしまいます。だから何時に眠っているのか分からないです。」と答えました。

私は最近、本を読む高齢者の方を知らなかったので、「え。読書されるのですか?」と大げさに反応してしまいました。

「はい。好きな本はよく読みます。だけど、興味のない本はそのすぐ前の文章をすぐに忘れてしまうので、意味がわからなくなります。」と朗らかに笑いました。

 

以前に100歳以上の俳句百選に選ばれて、自分の句が専門誌に掲載されたと嬉しそうに報告してくれた100歳の女性がいました。

「それがね。先生。笑っちゃうのよ。私ね、最年少。うふふ。」

その時の笑顔が今も忘れられません。

 

年齢を重ねて、読書や俳句に親しむなんて、とても憧れます。

そういう歳の取り方ができたら、幸せですね。

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幻の「Seria(セリア) B6 フリーノート」

文具ファンの間ではかなり前から話題になっていましたので、その存在は知っていましたが、なかなか目にすることも、ましてや手にすることもできませんでした。

100円ショップのSeria(セリア)の「B6 フリーノート」。368ページ。

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品薄状態で、一部ではすでに入手困難な「幻のノート」とされていました。

 

網をはっていた娘が(笑)、美浜のドラゴンパレス店で見つけて、私の分も買ってきてくれました。

368ページというのは手に持つとなかなかのボリュームです。これで108円ですから、品薄になるものわかります。

1日1ページでほぼ1年間使える、あの「ほぼ日手帳」と似ているということでも有名になりました。

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写真は、左からほぼ日手帳カズン、SeriaのB6 フリーノート、ほぼ日手帳avecです。

 

中には右上に年月日。下にチェックリストがついています。

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娘はマスキングテープでシンプルな表紙を飾りつけしていました。

こういうノートは使い方を考えるだけでも、楽しいですよね。

108円以上の価値はあります。

 

 

「高齢者に対する適切な医療提供の指針」

今年の3月に、日本老年医学会が「高齢者に対する適切な医療提供の指針」を発表しました。

この指針は、医療従事者が高齢患者に対して適切な医療提供を行えるよう支援することを目的として作成されたものです。

 

確かに、高齢患者さんの診療は難しいものです。その一つには、若い人に比べると予備力に乏しいことがあげられます。

この指針にも触れられていますが、若い人では一過性ですむことが、高齢者では一度落ちてしまうとなかなか元に戻らないことが多く、そうならないように、予防したり機能を保持するという視点が大切になってきます。

 

簡潔に基本的な要点をならべた指針ですので、非常に読みやすい構成になっています。

以下にその要件を並べてみますね。

 1 .「高齢者の多病と多様性」
・高齢者の病態と生活機能、生活環境をすべて把握する。
2 .「QOL維持・向上を目指したケア」 
・生活機能の保持、症状緩和などによりQOLの維持・向上を目指す。
 3 .「生活の場に則した医療提供」
・患者のQOL維持に生活の場の問題は重要であり、適切な医療提供の場を選択する
・医療提供の場を変更する際に生じる問題を理解し、予防に努める
 4 .「高齢者に対する薬物療法の基本的な考え方」
・有害事象や服薬管理、優先順位に配慮した薬物療法を理解し、実践する。
 5 .「患者の意思決定を支援」
・意思決定支援の重要性を理解し、医療提供の方針に関して合意形成に努める。
6 .「家族などの介護者もケアの対象に」
・家族をはじめとした介護者の負担を理解し、早期に適切な介入を行う。
7 .「患者本人の視点に立ったチーム医療」
・ 患者もチームの一員であることを理解し、患者本人の視点に立った多職種協働によるチーム医療を行う。

 

ひとつひとつの項目がどれも大切ですし、これは「高齢者」に限ったことではなく、全ての年齢層に通じることなのでしょうね。

 

 

 

熱中症の警戒レベル(沖縄県)

環境省の熱中症予防情報サイトには暑さ指数(WBGT)が発表されています。

実況と予測のコーナーでは、現時点での暑さ指数の推計値(実況予測値)を知ることができますので、作業や運動などを予定している時には、おおいに役に立ちます。

 

実は、昨日、今年初めての熱中症の方が外来に受診してきました。

重度の脱水で、通常に比較して約2.0Kgの体液の減少がみられていました。

その方は、現場まで一応行ってみたものの、体があまりにもだるいので途中で引き返して受診する気になったとのことでした。

受診してもらって本当に良かったです。熱中症が重症化すると、命に関わりますから。

 

例えば、6月10日の暑さ指数(WBGT)の予測では、以下の通りになっています。

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ほとんどの地域が「警戒」、あるいは「厳重警戒」レベルだということをおわかりいただけたでしょうか。

そして、明日11日の予測がこれです。

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伊是名、久米島、宮古島、伊原間(石垣)、波照間、南大東島では「危険」レベルですね。

 

日常生活に関する指針は以下の通りです。

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運動に関する指針も以下のようになっていますので、参考にされてください。

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「目的」の再設定

今年も透析医学会学術総会の分厚い抄録集が届きました。

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学会に申請すれば、抄録集の配布はストップされるシステムなのですが、私はずっとこの形での抄録集配布を希望しています。

いろいろな書籍が電子化されていくのが時代の流れですが、いまだにこの形態を好んでいるのは理由があります。

もちろん、学会に参加する際にはこの嵩張りは筋トレの道具や枕にはなっても、実際的ではないので、iPadのアプリを使うようにしています。

 

紙媒体の抄録集が良い理由。

まず、「全体を見通す」ことができること。

年に一度の学術総会です。学会の概観をとらえるには、多少分厚くてもぱらぱらとめくる冊子の方が良いのです。

全体像を見るには、この形態が適していると思います。

 

それから、「変化の状況を理解すること」

今、世の中がどのように動いているのか。それに対して学会がどう変化しようとしているのか。

一昨年、昨年の抄録集と並べて眺めてみると、変化の経緯を理解することができます。

 

「傾向を予測すること」

私たちは技術職の一面も持っています。技術開発の最前線で、新しい技術がどのように生かされているのかを知ることは、ある程度の未来の技術のあり方を予測することができます。

また、高齢社会への突入は、医療のあり方の意味合いを考えることになりました。

災害対策、感染予防なども普遍的ですが、表立って活発に議論されるようになりました。

 

「問題を再構成すること」

医療は慣例や慣習にしばられやすい体質を持っています。業務を改善するには、今まで慣れ親しんできた方法を捨てて、新しい方法を再構成しなくてはなりません。

広く行われている慣習に疑問を持つことは、とても重要なことです。

抄録集には、各施設の「問題の再構成」がちりばめられています。

 

「目的を取り戻すこと」

私たちクリニックの目的を再設定するヒントが、この抄録集にはたくさんあります。

社会の現状やニーズ、それに対する学会の対応や姿勢、そしてそれらの問題をいちはやく察知し、実際に世の中の潮流に応えている医療機関の存在を知ることができます。

達成目標のモデルがごろごろしているのです。

 

学会に参加し勉強する意義は、この「目的の再設定」に集約されるのかも知れませんね。

 

勝手な想像

今回は(今回も?)どうでもいいようなお話です(笑)。

 

ウルトラマンの初期の企画・立案、脚本家は沖縄出身の金城哲夫氏でした。

 

そういうこともあって、例えば「ウルトラセブン」に登場するキングジョー( ≒ 金グ・城)やチブル星人(沖縄方言で“頭”を意味する)など、沖縄ゆかりのネーミングは有名ですね。

 

さて、これからは私の勝手な想像ですが、ピグモンのモデルはキジムナーではないかと思っているのです。

ピグモンというのは、「ウルトラマン」に2回出ています。そのほかにも何度もウルトラシリーズに出ている小型珍獣で、人間に友好的な子どものような怪獣です。

特に「ウルトラマン」第37話「小さな英雄」では、デパートのおもちゃ売り場でガラモンの人形を見て大喜びしたり、その後眠り込んでしまったり、愛嬌のあるエピソードを残しています。

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全身が赤いギザギザで覆われていたり、憎めない性格とか、沖縄のガジュマルの妖精キジムナーを想像してしまうのです。

私の脳にキジムナーの姿が刷り込まれたのが、幼い頃に読んだ儀間比呂志さんの絵本「へこき三良(さんらあ)」

へこき三良

こういう空想の生き物のことで、「似てる・似てない」の話など、まったく意味がないものとはわかってはいるのですが…。

でも、似てなくもないでしょう?(笑)

 

 

 

 

通りぬけるコイン 100円マジック

このマジックは古くからテンヨーさんが「NEW コインマジック」という商品を出していますから、目にした方も多いかも知れませんね。

 NEWコインマジック 

このパッケージは3種類のマジックができます。その中の一つに「通り抜けるコイン」が入っています。

簡単に現象を説明すると、ゴムの布の上に置いた100円玉を指で押すと100円玉は瞬間的にゴム布を通りぬけてコップに落ちてしまうというマジックです。

 

この「通り抜けるコイン」が、ダイソーのマジック・シリーズにありました。100円マジックは何度も紹介していますが、本当にあなどれません(笑)

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観客に一瞬でも、「おっ」と思わせることができれば大成功のマジックで、タネがどうのというのでもないのですが、個人的には好きなマジックのうちのひとつです。

「どうなってるの?やらせて」と言われるのはいつものことで、一緒になって遊ぶおもちゃのような感覚でしょうか。

地味に何度も繰り返しやってしまうんですよね。

  

 

高齢者の「クスリのリスク」 学会から

高齢者では若年者と比較すると基礎代謝が低下し、腎機能や肝機能などもダメージを受けやすいという特徴があります。

 

最近、日本老年医学会が中心となって「高齢者の安全な薬物療法指針」が改定され、その中に高齢者への使用の中止を考慮すべき薬、約50種類のリストが作成されました。

若い人になら問題ない薬でも、高齢者に使用すると副作用が多いという事例は数多く存在します。

今回のリストが特徴的なのが、「ストップ」と明確に表現していることです。より強く警告を発している形になっています。

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おおまかに分類したリストは以下の通りです。

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ただし、リストに載っているからと言って、急にやめると症状が急激に悪化することもありますから、絶対に自己判断で中止しないでくださいね。

必ず、医師や薬剤師と相談してください。

 

 

「インドラの網」

「インドラの網」というのは、宮澤賢治の童話のタイトルですね。全文は青空文庫で読むことができます。

もともと華厳経の中に出てくる言葉だそうです。

 

インドラとは「帝釈天」のこと。インドラの網とは、帝釈天の宮殿を飾っている網のことを指しています。

インドラの網の結び目一つひとつには宝石が輝いていました。すべての結び目に宝石があって、それらが互いに照らし合うことによって、一つひとつの宝石が輝いているのだというのです。

自分も一つの宝石として周りを照らす存在であると同時に、他の宝石から照らされる存在でもあるわけです。

 

宮澤賢治は童話の中で、インドラの網をこう描写しています。

…そしていきなり私にぶっつかりびっくりして飛びのきながら一人が空を指して叫びました。

 「ごらん、そら、インドラの網を。」

  私は空を見ました。いまはすっかり青ぞらに変ったその天頂から四方の青白い天末までいちめんはられたインドラのスペクトル製の網、その繊維は蜘蛛のより細く、その組織は菌糸より緻密に、透明清澄で黄金でまた青く幾億互いに交錯し光ってふるえて燃えました。

 

話は唐突に飛びますが、「双曲幾何」の図って、単に私の思い込みなのですが、このインドラの網を思い出してしまいます。

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ついでに言えば、以前に紹介したポアンカレの球体模型など、まるで宗教的で曼荼羅のようだと思いませんか?

現代のインターネットの「網の目」のつながりといい、単に「似ている」というだけですが、とても面白いと思ってしまいます。

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