「インドラの網」

「インドラの網」というのは、宮澤賢治の童話のタイトルですね。全文は青空文庫で読むことができます。

もともと華厳経の中に出てくる言葉だそうです。

 

インドラとは「帝釈天」のこと。インドラの網とは、帝釈天の宮殿を飾っている網のことを指しています。

インドラの網の結び目一つひとつには宝石が輝いていました。すべての結び目に宝石があって、それらが互いに照らし合うことによって、一つひとつの宝石が輝いているのだというのです。

自分も一つの宝石として周りを照らす存在であると同時に、他の宝石から照らされる存在でもあるわけです。

 

宮澤賢治は童話の中で、インドラの網をこう描写しています。

…そしていきなり私にぶっつかりびっくりして飛びのきながら一人が空を指して叫びました。

 「ごらん、そら、インドラの網を。」

  私は空を見ました。いまはすっかり青ぞらに変ったその天頂から四方の青白い天末までいちめんはられたインドラのスペクトル製の網、その繊維は蜘蛛のより細く、その組織は菌糸より緻密に、透明清澄で黄金でまた青く幾億互いに交錯し光ってふるえて燃えました。

 

話は唐突に飛びますが、「双曲幾何」の図って、単に私の思い込みなのですが、このインドラの網を思い出してしまいます。

Order-3_heptakis_heptagonal_tiling

ついでに言えば、以前に紹介したポアンカレの球体模型など、まるで宗教的で曼荼羅のようだと思いませんか?

現代のインターネットの「網の目」のつながりといい、単に「似ている」というだけですが、とても面白いと思ってしまいます。

Hyperb_icosahedral_hc

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA