以前に「戦国策」からのお話を引用しました。→「恐れの本質」
この「戦国策」は、思わず唸ってしまう説話にあふれていますが、その中に
百里を行く者は九十を半ばとす |
という言葉があります。
文字通り、百里を旅する者は九十里をもって半分の行程だと心得なさいというものです。
最後の詰めこそが大切であると教えた言葉ですね。
長く辛い道のりを歩き通して、やっとゴールが見えてきた。心の中は喜びに満ちるでしょうし、安心もするでしょう。
その時にこそ、なお半分の距離を歩き直しても良いぐらいの覚悟を持ちなさいということです。
考えてみれば、人間って人生をよりよく生きようとするならばゴールを設定しない方が良い生き物なのかも知れませんね。
ドラッカーは「どれが最高の作品か」という質問に対して、常に「次の作品」というのが変わらぬ答えだったと言います。
その時、ドラッカーは19世紀の作曲家ヴエルディの言葉を引用しました。ヴェルディは年老いてもなお挑戦を続け、80歳になって最後のオペラを書いた方だそうです。
「人間だけが失敗から学ぶことができる。私は多くの失敗をしてきた。したがって、私は努力を続けなくてはいけない」
百里を行く者の九十里。それはまだ半ば。
私も、常に歩き続ける努力を惜しまない人になりたいものです。