チャールズ ファジーノ

 

「お父さん、お父さん。この絵すごいよ。」

私が家に帰宅するなり「おかえり」もそこそに次女が手提げ紙袋のデザインを見せに部屋から出てきました。

この人の絵って3Dアートって言って…と説明を始めましたが

何を感動しているのか最初はわかりませんでした。

その日の昼に、娘たちは沖縄三越のギャラリーを訪れたらしいのです。

 

CHRLES FAZZINO

ん?なんて読むの。ちゃーるず… ふぁつぃー…

チャールズ ファジーノ

 

三越の展示場で、その3D Pop Artと呼ばれる作品を目の当たりにして

娘は見事心の琴線に触れたらしいのです。

 

お父さんにこれあげる。つかって。

2014年版のアートカレンダーまでゆずってもらいました。

 

「今度、チャールズさんに会いに行ってこようか。」

「ええ!沖縄にいないよ。日本にもいないはず。」

「いや。アートは行動力だぜ。」

「え。アメリカに会いに行くの? そんな。恐れおおいっすよ。」

「感動したら会いに行く。うん。そうしよう。」

いつの日か親子でご挨拶に行ってくることにしました。

(と引き寄せよう(笑))

 

 

アンチエイジング医学会の講習会に参加してきました。

 

13日(日)は日本抗加齢(アンチエイジング)医学会の講習会に参加してきました。

 

朝から夕方までの講演会でしたが、充実した内容だったと思います。

例えば、朝の部の「機能性医学の臨床応用」というタイトルのLectureは今まで知識の整理ができていなかった分野でしたし、勉強になりました。

機能性医学というのは、慢性疾患の疾患概念、従来の病態への新しい概念を導入しようとするものです。

例えば、広く知られたものに「メタボリック症候群」があります。

高血糖、高血圧、脂質代謝異常など、それまで単独の疾患と考えられていたものを

内臓脂肪蓄積に伴う酸化ストレスの亢進として理解することで

メタボリック症候群は生体機能のトラブルなのだと再評価することができました。

 

最近では腸内環境の変化と全身疾患の関係が取り上げられるようになっています。

「腸肝循環」や「腸脳相関」などがそうです。

(いわゆる“腸脳力”(ちょうのうりょく)です(笑))

 

また午後の部には金沢医科大学 梅原久範先生の「IgG4関連疾患ー21世紀に日本で確立された新たな疾患概念」のLectureは刺激的なお話でした。

さらに学習意欲をかきたてる内容で、ワクワクしながら聞き入っていました。

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「治療的自我」

柳田邦男著「元気がでる患者学」の中に「治療的自我」についての説明と考察があります。

 

 

「治療的自我」とは、治療を施す者には治療効果を促すことができる、ある種の人格や人柄が備わっているものだとするものです。

人に信頼され心を開いてもらえるような、心を耕す目標としての人柄です。

その中に桂載作先生の論文『治療的自我の昂揚をめざして』が紹介されていて
クライエントに心を開いてもらうために望まれる医療者のあり方や態度についての4つの要点がまとめてありました。

私にとってもとても参考になるものでしたので、是非ここで紹介させて下さい。

 

(引用ここから)

1)相手に好かれていること。

相手を批判したりするのでなく、まずは相手の話を受け容れ、共感的に理解するとともに、無条件の積極的関心を持つこと。

2)信頼されていること。

専門家としての知識と技術にとともに、人間的なあたたかみが必要。

3)尊敬されていること。

謙虚さと感謝の念を常に持つこと。
患者の病気がよくなった場合、医療者である自分が治したのだろうか。
必ずしもそうではない。患者自身が治した、あるいは治るエネルギーを発揮したと言うべき部分が多いはずだ。
自分の位置や行為について、思い上がりがないかどうかの反省が、謙虚さを身に着けるには必要だ。
そのように自分の価値観を変えることのできるのは、自分だけだということについて、深い認識が必要だ。

4)相手の心を打つものがあるか。

あたたかい思いやりが必要。
ただし、ただ情に流されるだけでは駄目で、“Medicine is art.”と言われるように、科学性と芸術性の両面が求められる。
相手の心を打つような芸術性の要素としては、
一生懸命であること、
信念を持ち燃やし続けていること、
あくまでも患者の幸福を願っていることなどの度合いの強さが重要。

(引用ここまで)

 

1)の文中にある「無条件の積極的関心」という言葉にはとても共感するものがあります。

この項目のタイトルは「相手に好かれていること」ですが、好かれる好かれないはこちらの方からどうなるものでもありませんね。

では医療者ができることは何かというと、ここにある「無条件の積極的関心」に尽きると思うのです。
マザー ・テレサの有名な言葉を持ち出すでもないかも知れません。

他には4)の「信念を持ち燃やし続けていること」という言葉にはいつも強い憧れがあります。

 

 

運命の三女神 ギリシャ神話から

 

何を隠そうオカルト映画は大好きです。

海外ドラマの「スーパーナチュラル」などは食いつくように見てしまいます。

 

先週、台風が立て続けに近づいてきたので、TSUTAYAでDVDを借りてみました。

沖縄の大多数の人間がそうなのでしょうが、鉢植えなどを片づける真面目な「台風対策」のほかに

「DVDを借りてくる」というのも立派な台風対策なんですよね。

外に出ず、じっと家にこもる準備というわけです。

 

シーズン6 第17話「沈まぬタイタニック号」には

ギリシャ神話から「運命の三女神」のうちのひとりアトロポスが登場していました。

 

三女神のことをモイラ(複数形ではモイライ)とも呼びます。

普通、「運命の糸」という表現をすると、男女の縁を表す赤い糸のイメージなのでしょうが

ギリシャ神話では違います。

人生の尺の長さを「糸の長さ」ととらえ、運命はその糸の長さによって決まってしまうのだと考えられていました。

Strudwick-_A_Golden_Thread

 

運命の糸は金色をしています。

糸巻き棒から糸を紡ぐ者=クロトー(Klotho)

運命の図を描くもの=割り当てる者=ラケシス(Lakhesis)

そして、割り当てられた糸を切る者=不可避の者=アトロポス(Atropos)

この3人の女神の働きによって人間の寿命は決まると考えられていたのです。

あの万能の神ゼウスまでも彼女たちの決定にしたがっていますから、絶対的な万物の摂理に等しい存在なのでしょう。

 

話は変わりますが、腎臓学の領域で「Klotho遺伝子」という遺伝子がトピックです。

 

この遺伝子は、これを欠損したマウスは短命で多彩な老化症状をもたらします。

一方で、Klothoが過剰にあるマウスは平均寿命が2年から3年に延長することがわかっています。

つまり、長寿遺伝子として老化を制御すると考えられているのです。

 

ちなみにこの遺伝子、腎臓でカルシウム代謝やリン排泄に深く関わっています。

解釈を拡大して、実は腎臓そのものが老化を制御する臓器なのかも知れないとも言われているんですよ。

 

Klotho遺伝子は、お察しの通り、モイライ=運命の三女神のひとり「糸を紡ぐ者」=クロトー(Klotho)がその名前の由来ですね。

寿命の長さを紡ぐ遺伝子。

名付け親のセンスの良さに感動してしまいます。

 

英祖てだこ伝説 「球陽」から

 

さくだ内科クリニックは浦添市と那覇市の市境いに位置しています。

ちょうど透析室の一角を境界線が横切っている感じです。

 

ちなみに浦添市は「てだこの街」と呼ばれています。

「てだこ」というのは、「太陽の子」という意味です。

沖縄の方言で太陽のことを「てぃだ」と言いますが、その子ども、つまり「てぃだ」の「子」→「てだこ」というわけです。

 

今日はその「てだこ」にまつわるお話。

 

12世紀から14世紀頃の琉球王国は浦添城を中心に栄えていました。

その時の王が英祖王で、その人こそ「太陽の子」伝説がある人物です。

 

琉球王国の正史として編纂された史書『球陽』から。

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以下原文のまま

「恵祖世主(えそよのぬし)は乃ち天孫氏の後裔なり。

当時、恵祖は伊祖按司為り。

善を行ひ徳を積む。然れども結婚の後、まったく生育なし。

晩天に至り、其の妻、日輪飛び来たりて懐中に入るを夢む。

既にして酸を喜び飯を悪む。

恵祖おもへらく、それ前夢の徴あらんと。

月すでに満ち足り、臨月の日、祥光異彩、屋中より雲端に直透するを見、並びに異香屋に満つるや、早や已に一男子を生得す。

恵祖、満心喜悦し、之れを愛し之れを惜しむこと異宝の如く一般なり。

当時の人、以て天日の子と為す。

英祖、生まれて聖明、賢と親しみ道を崇び、其の徳大いに著はる。

歳二十五、義本の世飢疫並行し民憂に勝へず国勢将に危からんとするに会ふ。

英祖、命を奉じ、登りて国政を摂するに、飢疫ともに止み、人心始めて安し。

政を摂すること七年、国人之れを仰ぐこと父母の如し。

ついに義本の禅を受け君と為る。」

 

内容は以下の通りです。

 

恵祖世主は天孫氏の子孫である。当時、恵祖は伊祖按司であった。

善を行い徳を積んだけれども、結婚後子供が生まれなかった。

老境にさしかかってからのこと。 その妻が、懐に日輪が飛びこむ夢を見て、そして懐妊した。

恵祖は、これは夢が現実となったことだと思った。

月が満ち、出産の日、めでたいきざしの光が、屋内から雲に達するまで発し、さらに不思議な芳香が屋内に漂うかと思うと、男児が生まれた。

恵祖は大変喜び、宝物のように育てた。名前を英祖とした。

当時の人々は、その子を「天日の子」とたたえて呼んだ。

英祖は聡明で、道を尊んで、徳が高い。

二十五歳の時、義本王の世は、飢饉が起こり、疫病が流行し、国が大いに危機に直面した。

英祖は王命を受けて国政をあずかるようになった。

間もなく飢饉も疫病もやみ、国も治まった。

七年間の摂政中、国民もこれを父母のように尊敬した。

三十二歳の時(1260年)ついに義本王から王位をゆずり渡され、国王となった。

 

 

実は私事ですが、高校から大学時代、英祖にまつわる伝説をもとに小説を書こうかと思った時期がありました。

琉球の歴史は文献に残っていないけれども伝承が数多く、題材が豊富なんですね。

実在するのかわからない禅僧のお話など、空想力が刺激されてワクワクしてきます。

 

 

 

「意志力革命」

 

 

私が座右の書としている本があります。

(と言っても、本はみんな好きなのでどれもが座右の書と言っているぐらいなんですが。)

 

 意志力革命 目的達成への行動プログラム

 

「ルビコン川を渡る」という言葉の意味を学んだのはこの本でしたし

「目的意識を伴う行動」や「アクティブ・ノンアクション(行動的な不行動)」について考察させてくれたのもこの本でした。

例えば、第三章 エネルギーを引き出し、集中力を高める

68ページには「エネルギーを取り戻すには 」というまとめがあります。

 

エネルギーを取り戻すには

 

目標を明確に定義する

次のように自問してみる

  • 自分には大局を見渡せるように手助けをしてくれるメンターが必要だろうか。(略)目標や目的について思慮深く考えた上で納得した選択ができるよう、情報収集を行い必要なデータを集めるのはどうだろうか。
  • 自分の目標は明確で具体的だろうか。その目標は具体的にどのような要素からなっているのだろうか。目標を達成する上でどんな潜在的な障害があるのか把握しているだろうか。
  • 個人的に目標に共感できるだろうか。自分自身の価値観と組織のそれとに照らし、それは追求する価値のある目標だろうか。
  • 目標は自分にとって挑戦しがいがあるだろうか。達成可能だろうか。自分が押しつぶされない範囲で、精一杯背伸びをして頑張れる目標だろうか。

 

目標達成のための自分の能力に対する自信を深める

次のように自問してみる

  • 同じような目標の達成や課題の克服をこれまでにも経験しただろうか。それをもう一度できるだろうか。
  • 目標を達成するには何が必要かを理解する上で、役に立つようなロールモデルが存在するだろうか。
  • 自分に目標達成能力があるかどうかを評価する上で、誰か自分にフィードバックをくれ助言してくれるだろうか。自分にはどのような能力があるのだろうか。また成功を確信できるためには何を学ばなければならないのか。
  • 目標を追求しながら、その中の重要な任務について試行錯誤を行い練習することは一体可能なのだろうか。

 

マイナス思考を克服し、前向きな考え方や感情を育てる

次のように自問してみる

  • 自分はどのような感情を抱いているのか、何がその引き金になるのか。仕事や目標を変えることでストレスを軽減すべきだろうか。これらの感情を定期的に吐露できる健全なはけ口―趣味や友人のネットワーク―を持っているだろうか。
  • 自分の仕事は、情熱、楽しさ、興奮といったものを自分自身にもたらしているだろうか。自分は何をするのが本当は好きなのか。仕事において常に感情を前向きに利用するにはどうすればよいのか。自分はどのような活動を楽しいと感じるか。どのような人と一緒に働きたいのだろうか。仕事以外に、心のバランスと強さを得るために定期的に活用できる「自分だけの泉」とは何だろうか。

どれもウチアタイするんですよね。

思い出してはこの本に戻って、振り返るようにしています。


「ニーバーの祈り」

 

 

アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーが作者として知られている詩(祈り)があります。

私は神学に通じている訳ではありませんが、この詩は時々どこかで引用されているのを見たことがあります。

形は違っていても、内容としては同じような意味をもって広く使われているのでしょう。

 

God,

 Give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed,

 Courage to change the things which should be changed

 and the wisdom to distinguish the one from the other.

  Reinhold Niebuhr(1943)

 

【ここから和訳】

神よ

変えることのできるものについて

それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては

それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを

識別する知恵を与えたまえ。

(翻訳者:大木英夫)

 

「変えることのできるもの」と「変えることのできないもの」の解釈は、人それぞれなのかも知れませんが

私はこう捉えました。

 

他人は変えようと思っても変えられない。

「私」が変えられるのは「私」だけ。

そして、自分を変えるには勇気が必要。

そして、変わらない他人に対しては冷静さが必要。

それを識別するのは、やはり知恵なのだということ。

 

我田引水になってしまっているのは否めないのかも知れませんね(笑)

この詩のタイトルが「祈り」であることが、人の永遠のテーマなのだと思ってしまうのです。

 

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フィートウとダナス

 

週末から昨日までにかけて、沖縄は台風23号(フィートウ)と24号(ダナス)に翻弄されっぱなしでした。

特に週末は、23号の影響で各地のイベントの中止が次々と発表されました。

残念な思いをした方がたくさんいらっしゃったことでしょう。

 

24号は24号で、台風情報を追いかけていくと沖縄本島最接近のころには935hPaの非常に強い台風に発達していましたし

停電するんじゃないかとか、窓ガラスが割れるんじゃないかとか、昨年の苦い思い出が一瞬よぎるほどでした。

実際に本島北部には大きな被害が出たようです。

とにかく透析患者さんは無事に帰ってもらうのが大前提だと、風雨が強くなる前に透析時間を短縮して終了しました。

ちょうど雲の切れ目?だったのか、思ったよりも風が強くなくて良かったです。

 

10月の台風は油断ができませんね。

もう今年は台風は終わりにしてほしい。

素直にそう思います。

 

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新聞に掲載されました

 

台風23号が過ぎ去ったと思ったら、今日は朝から24号(ダナス)が接近中です。

午前7時現在、すでに沖縄本島に暴風警報が発表されています。

午後からは公共交通機関の運行も休止する予定のようですね。

外来診療は、本日は午前の診療のみ、午後からは休診となりますのでご了承ください。

 

さて、今日は新聞記事の紹介をします。

10月3日付けの沖縄タイムスで、オーバーナイト透析について取り上げてもらいました。

初日の取材でしたので、私を含めて少々バタバタ感が否めませんでしたが、小さなクリニックをよく取りあげてくれたものだと感謝しています。

さっそく、この記事を見たという問い合わせの電話が何件かありました。

また、知り合いの医療関係者からも激励の応援メッセージが多く寄せられました。

ありがたいことだと思っています。

 

実際、オーバーナイト透析について関心のある方々は少なくないのだというのが実感です。

 

以前にも書きましたが、私たちがしていることは透析治療のオプションを増やしただけなのだと思います。

これからは、注目に値するような透析医療の質をいかに高めていくか。

それこそが課題なのだと肝に銘じたいと思います。

 

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「喜びは創りだすもの」 ターシャ・テューダ

NHKのテレビで放送されたものを以前に観たことがあって

同じものをまた観たいと思わせるような内容でした。

 

  喜びは創りだすもの ターシャ・テューダ四季の庭

 

自然の素晴らしさを描いたドキュメンタリー映画はたくさんありますし、それももちろん感動しますが

自然の掟に生きる野生動物や、そこに立ちはだかる自然の雄大さや荘厳さなどが前面に描かれていると

畏怖(おそれこわい)の念だけが心にあふれてしまいます。

 

残念なことですが、私の日常とは遠くかけはなれた存在として捉えてしまいます。

 

「ああ、そういう世界も地球上にはあるんだよな。」

自然との距離が隔たってしまっているのは仕方がないことだと思います。

 

けれども、ここに別のアプローチがありました。

ターシャ・テューダはガーデニングを通して、手をかけ愛でて

美しい自然を創りだしていきました。

自然をより身近に手元にぐいっと引き寄せる感じです。

それでいて、畏敬(おそれうやまう)の念にあふれています。

 

タイトルにあるように「喜びは創りだすもの」として、自然と対峙しています。

「喜びは創りだすもの」

含蓄のある深い言葉ですね。

 

このDVDを観ていると、楽園に対する郷愁というか憧れというのか

きっと本来自分が持っている気持ちが思い出され湧いてくるようです。

いい気持ちです。

 

ターシャが言いました。

 

「人は悲しい話、暗い話が好きだけど、

 この美しい世界にいられる時間は短いのよ。

 それを最大限に楽しまなくては、もったいないわ。

 わたしはそうしています。」