インフルエンザ流行状況 第10週

第10週(3/7~3/13)における沖縄県のインフルエンザ流行状況です。

詳細は「沖縄県感染症情報センター」のサイトをご覧ください。

 

依然として定点あたりの患者報告数は警報レベルを超えていますが、ひと頃の勢いは失われつつあるようです。

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やはり、今シーズンはグラフの傾斜がなだらかですね。流行の時期はまだまだ続いています。

 

最近の診療現場の印象として、今までが1~4歳の幼児がメインだったのが、その子達を看てきた大人たちがうつったケースが増えている気がします。

 

また、保健所管内別ではどのエリアでも減少しています。

特に宮古管内は18で減少していますが、警報レベルの終息基準値が10であるため、警報レベルのままです。

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さらに、今年の特徴はB型が約4分の1ほど混じっているということです。

A型とB型の2つのインフルエンザが流行していると思った方が良いです。

油断せずに、咳エチケットや手洗いを徹底させていきましょう。

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ラジオ収録してきました

浦添市には「FM21」というコミュニティ・ラジオがあります。

そこに、浦添市医師会が週1回「ゆんたく健康トーク」という番組を提供しています。

毎週月曜日の夜8時からの放送です。

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医師会のメンバーや医療関係者が市民の健康について話題提供するというもので、1年に1回、私も出番があります。

放送日は3月21日(月)なのですが、その日は時間がとれないので、昨日ラジオ収録してきました。

 

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開業して約3年4か月になりますから、私も4回目の出演になります。

パーソナリティの城前ふみさんともすっかり顔なじみになって(今ではお友達です)、だいぶリラックスして収録することができました。

 

収録していない雑談の方が楽しかったのですが、医師会提供なのでそういう訳にはいきません(笑)。

皆さんの健康のためになる内容をお話したつもりですので、お時間のある方は是非お聞きください。

 

 

 

あぶらとコレステロール

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」を5年ごとに改定して発表しています。

これは「国民の健康の維持・増進を図る上で、摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準」を定めたものです。

 

2015年版で話題になったのが、2010年版であった「コレステロールの摂取制限の目標値」がなくなったことでした。

下の図は日本養鶏協会のホームページからのスクリーンショットです。

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つまり、今まで「男性750mg未満、女性600mg未満」とした1日の目標量が2015年版ではなくなったのでした。

 

その理由には、コレステロール摂取量と血中コレステロール値の関係が必ずしも相関しないということがあげられます。

実際、毎日の食事からとるコレステロールは約20~30%に過ぎず、残りは肝臓で必要量の70~80%つくられています。

コレステロールの摂取量を減らしても、肝臓での合成が増加して体のなかで常に一定に保たれるように調節されることがわかっています。

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つまり、食事による脂質摂取においては、コレステロールの量という観点ではいけないということなんですね。

 

問題なのは脂質の構成成分となっている「脂肪酸」の種類です。

脂肪酸とは、炭素の鎖すべてに水素が結合して飽和している「飽和脂肪酸」と、一部飽和されずに炭素どうしが二重結合をつくっている「不飽和脂肪酸」に分類されます。

飽和脂肪酸は動物性脂肪やバターなどに多く含まれ、血中コレステロールの増加や動脈硬化の進行に関与していることが報告されています。

一方、青魚に多く含まれるDHAやEPAは不飽和脂肪酸です。

これらは、冠動脈疾患や脳卒中、糖尿病、乳がん、大腸がんなどにも予防効果を示す可能性が報告されています。

最近では、ポテトチップスやマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」が問題になっています。

これは、悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールを増加させたり、虚血性心疾患のリスクを高めたりすることが知られています。

 

飽和脂肪酸を減らし、n3不飽和脂肪酸を摂るようなバランスの良い食事を心がけたいものですね。

 

 

第34回沖縄県人工透析研究会に参加してきました

昨日、13日は沖縄県人工透析研究会がありました。

 

大会の大きなテーマは「高齢者医療」

超高齢社会となった日本の医療について再び考える機会となりました。

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各施設の取り組みも参考になることが多く、また感動的な発表もあったり、勉強になりました。

 

会場では古い友人にも会って近況を報告しあいました。

 

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「トラノオ」と「Hierophant」(教皇)

クリニックの私の診察室の中に「トラノオ」があります。

診察をずっと見守ってくれている私の良き相棒です。

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「トラノオ」にも花言葉があるのですね。

その花言葉は「信頼」「誠実」だそうです。

 

今回も強引に話をすすめますが、「信頼」と「誠実」なら「Hierophant」のカードではどうでしょうか。

 

「ハイエロファントといえば?」と問われて、「花京院典明、スタンドはハイエロファント・グリーン」とすぐに答えることができたら、あなたはジョジョに通じた方ですね(笑)。

今回はジョジョではなく、そのスタンドのもとになったタロットのお話です。

 

ライダー・ウエイト版の図柄は下のようになっています。

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背景には、二本の柱が描かれています。

最下部中央に2つの鍵が交差しています。これはイエスがペテロに授けたとされる鍵で、教皇が天国の扉を開けることができることを示します。

教皇の足元、両側に2人の宣教師が頭を垂れて描かれています。これは三位一体を象徴していると言われ、結束力や人と人との結びつきを表しています。

赤い薔薇と白い百合の模様の着物は、崇高な理念を抱く純粋な心の持ち主であることを表し、教皇の前に進み出ることができるとされます。

教皇が手にしているのはヨコ軸が三重になったパパル十字架です。これはキリスト教の特徴的な概念である「三位一体」を表していて、神に恵みを授けられていることを示しています。

教皇が示すキーワードは「慈悲の精神」「奉仕精神」「温厚さ」「穏やかさ」「協調性」「結束力」。

 

「トラノオ」の花言葉にぴったりではないですか?(笑)

 

明日、第34回沖縄県人工透析研究会があります

毎年、3月には沖縄県人工透析研究会があり、明日13日にコンベンション・センターで開催されます。

 

クリニックからも2題の演題を発表させていただく予定です。

「当クリニックにおける在宅血液透析の経験」

「透析歴40年目を迎えた一症例」

2題ともスタッフの発表ですが、私たちらしい発表ではないかと思っています。

 

毎年、県内の透析医療機関の取り組みを生で聞くことで勉強になることが多く、とても楽しみにしている学会です。

自分たちの医療が正しい方向を向いているかの指標ともなると思うからです。

 

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配置につく

3月11日は日本人にとって大切な日です。

忘れてはならない日だと思っています。

 

遠く沖縄に住んでいますが、そこで自分のできることをしたいと願っています。人としての仕事を果たすために配置につくという思いです。

 

心静かに黙とういたします。

 

 

実家の庭にツツジの花が咲いていました。

ツツジの花言葉は「慎み」「節度」というそうですね。

 

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100分de名著 「アドラー 人生の意味の心理学」

2月、「100分de名著」がアドラー心理学を取り上げるという話を聞いて喜んでいたのですが、テレビを見ない私はやはりテキストを読むだけでした。

けれども、それでもアドラー心理学のエッセンスを感じることができたと思います。

 

アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言います。

 

雨が降っていると仮定しよう。傘を持っていったり、タクシーに乗れる、でも、雨と闘ったり、負かそうとしても無駄だ。今はあなたは雨と闘って時間を費やしている。

これがあなたの力を見せることであり、雨に勝っている、と思っている。でも、実際には、他の誰よりも、あなた自身を害しているのだ。

(第四章 早期回想「早期回想の分析」)

雨そのものを止めることは人間にはできるはずがありません。せいぜい道具をつかって濡れないように避けることができるぐらいです。

同じように感情や力で他者を支配しようとしてもできません。また、できるはずもないのです。

ですから、他の人が自分のことをどう評価するかなどということもどうすることもできません。その人の問題です。

自分の人生の課題は自分自身で解決していくしかない。他者の課題とは分けて考えていかなければならない。

 

一方で、アドラーは同時に「共同体感覚」についても述べています。

われわれのまわりには他者がいる。そしてわれわれは他者と結びついて生きている。

人間は、個人としては弱く限界があるので、一人では自分の目標を達成することはできない。

もしも一人で行き、問題に一人で対処しようとすれば、滅びてしまうだろう。自分自身の生を続けることもできないし、人類の生も続けることはできないだろう。

そこで、人は、弱さ、欠点、限界のために、いつも他者と結びついているのである。自分自身の幸福と人類の幸福のためにもっとも貢献するのは共同体感覚である。

(第一章 人生の意味「人生の三つの課題」)

 

人生の意味は全体への貢献である。

 
人生の意味は、貢献、他者への関心、協力である。

 

 

読むたびに新しい発見が、アドラーにはあります。目からウロコが落ちる感動を経験します。

 

 

インフルエンザ流行状況 第9週

昨日の外来では、久しぶりにインフルエンザ抗原検査が陽性の患者さんは出ませんでした。

またご家族や同僚がインフルエンザで濃厚接触した方の発熱患者さんも受診してきませんでしたので、臨床的にもインフルエンザ感染症と診断をつけた人は「ゼロ」でした。

本当に久しぶりのことです。

今まで「こんな軽い症状でインフルエンザ!?」というような方も陽性で出ていましたから、実感としてインフルエンザの猛威が少しはおさまってきたかなという印象です。

 

ただし、沖縄県感染症情報センターの発表では、まだ警報レベルが続いていますので、油断はできません。

インフルエンザに混じって(陰に隠れて?)、ウイルス性の急性胃腸炎やしつこい「咳かぜ」も流行っている印象があります。

特に咳で夜も眠れない、腹筋が痛くなるほど咳が続く、という症状の方が多くなってきました。
引き続き、十分な手洗いと咳エチケットを徹底していきましょう。

 

下のグラフが第9週(2/29~3/6)のインフルエンザの定点あたりの報告数の推移です。

第9週は41.98人でした。前週の45.91人より減少していますが、依然警報レベルを超えていますので、多少の増減に一喜一憂している状況ではないです。

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保健所管内別に見てみると、八重山が100を超えていますし、那覇は前週より多くなっています。

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3月や4月は人の動きも活発になる時期です。

予防に十分注意をしましょう。

 

 

自分を知ることについて 「預言者」より

以前にも紹介しましたが、カリール・ジブラン著「預言者」を柳澤桂子さんが訳されています。

詩に乗せて語られる預言者の言葉は、時に難解です。

けれども、何となくもやもやとして形にならない思いが、「預言者」の言葉で表現された時、腑に落ちる感覚があります。

 

「自分を知ることについて」の章があります。ご紹介します。

 

あなたのこころは昼夜のすべての秘密を知っているが、

それについては何も語らない。

だがあなたの耳は、そのこころの知識の秘密を聞きたくてしかたがないのだ。

あなたはこころのなかでは知っていることを、

いつも言葉で知りたがる。

夢の衣服を脱がせて夢の裸体に指で触れたいと思う。

 

あなたがそう願うのはもっともだ。

隠されたあなたの魂の泉は、わきいでて、

ささやきながら海に流れていきたいと願っている。

そしてあなたのかぎりない深みにある宝が

あなたの目の前にあらわれるであろう。

しかしその未知の宝を秤にかけてはならない。

そして杖やひもで知識の深さを測ろうとしてはならない。

あなたは、かぎりがない、測ることのできない大海なのだから。

 

「真実そのものを見つけた」というのではなく、

むしろ「一つの真実を見つけた」といいなさい。

「魂の歩く道を見つけた」というのではなく、

むしろ「私の道を歩いている魂に出会った」といいなさい。

魂はあらゆる道を歩くのだから。

魂は一つの線の上を歩くのではなく、

葦のようにまっすぐ伸びるわけでもない。

魂は無数の花びらをもつ睡蓮のように自ら開くのだ。

 

 

一つの線の上を歩くのではなく、睡蓮のように開く。

自分という存在は、決して線で表されるものではなく、幾重にも重なった放射状の灯りのように広がっていくものなのかも知れない。

人と人との出会いは、ちょうど池に落ちた無数の雨滴でできた同心円の波紋のように、重なり合って干渉しあっていくものなのでしょう。

 

ふとそういうイメージが浮かんで、この詩が好きになりました。