あぶらとコレステロール

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」を5年ごとに改定して発表しています。

これは「国民の健康の維持・増進を図る上で、摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準」を定めたものです。

 

2015年版で話題になったのが、2010年版であった「コレステロールの摂取制限の目標値」がなくなったことでした。

下の図は日本養鶏協会のホームページからのスクリーンショットです。

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つまり、今まで「男性750mg未満、女性600mg未満」とした1日の目標量が2015年版ではなくなったのでした。

 

その理由には、コレステロール摂取量と血中コレステロール値の関係が必ずしも相関しないということがあげられます。

実際、毎日の食事からとるコレステロールは約20~30%に過ぎず、残りは肝臓で必要量の70~80%つくられています。

コレステロールの摂取量を減らしても、肝臓での合成が増加して体のなかで常に一定に保たれるように調節されることがわかっています。

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つまり、食事による脂質摂取においては、コレステロールの量という観点ではいけないということなんですね。

 

問題なのは脂質の構成成分となっている「脂肪酸」の種類です。

脂肪酸とは、炭素の鎖すべてに水素が結合して飽和している「飽和脂肪酸」と、一部飽和されずに炭素どうしが二重結合をつくっている「不飽和脂肪酸」に分類されます。

飽和脂肪酸は動物性脂肪やバターなどに多く含まれ、血中コレステロールの増加や動脈硬化の進行に関与していることが報告されています。

一方、青魚に多く含まれるDHAやEPAは不飽和脂肪酸です。

これらは、冠動脈疾患や脳卒中、糖尿病、乳がん、大腸がんなどにも予防効果を示す可能性が報告されています。

最近では、ポテトチップスやマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」が問題になっています。

これは、悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールを増加させたり、虚血性心疾患のリスクを高めたりすることが知られています。

 

飽和脂肪酸を減らし、n3不飽和脂肪酸を摂るようなバランスの良い食事を心がけたいものですね。

 

 

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