嫌いなこと

 

「月と六ペンス」の作者、サマセット・モームの言葉だそうです。

― 毎日、自分の嫌いなことを2つずつ行うのは、魂のためにはよいことだ。 ―

 

今の世の中の風潮とは、少しかけ離れた価値観に立っているかも知れません。

どちらかと言うと、最近は「好きなことをやろう!」「弱点よりも強いところを伸ばそう!」「良い事を思って引き寄せよう!」という感じですから、あえて「嫌いなこと」をすすめるのは今風に流行らないことでしょう。

けれども、モームの名言として、今でもわりと多くの方がこの言葉を引用しています。

なぜでしょうか。

 

なんとなく、親が幼い子どもに嫌いな食事をすすめる言葉に似ていますね。

「これを食べると体に良いよ。」「頭が良くなるよ。」「視力が良くなるよ。」「骨が丈夫になるよ。」「背が伸びるよ。」

嫌いなものを食べる代わりに、何か得する見返りがあるという、いわば交渉のようなものです。

モームが「嫌いなことをやるのは魂のためによい」と言ったのは、きっとそれが魂の成長を促す栄養のようなものになると思っていたのでしょう。

 

面白いのは、嫌いなことを好きになりなさいとは一言も言っていないということですね。

親が子どもに嫌いな食べ物をすすめる時は、食べてくれたら、もしかしたら好きになってくれるかも知れないという期待が(少しは)あります。「食わず嫌い」を期待しているのですね。

けれども、モームは「嫌いなこと」は「嫌いなこと」として、そのままです。

 

嫌いなことは嫌いなままで良いから、それをありのままに受け入れて、それを淡々と行ってみなさい。

そういう行いは、気持ちが揺るがず、安定していて、微笑みを保つことができる。

 

モームの言葉を、私なりに勝手に解釈してみました。

 

 

 

休むこと

 

外来でも夏バテで体調がなんだかスッキリしないという方が多くなってきました。

以前にも書いたのかも知れませんが、「疲れている」と自覚した時は、どうか思い切って休むことも考えてみてください。

 

 

先日、「先生、疲れをとる薬ってないですか?」と言われました。

私はそういう時は「そういう薬はないですよ。休む以外にないです。」と答えます。

 

 

「Hさん。自分の働きぶりを客観的に見て、『疲れて当たり前だよね』って思うでしょう?」

「…思います。」

「そういう働き方をしていても、薬で疲れない心と身体を求めているってことだからね。それって怖いことじゃない?」

「でも、休めないんですよ。せめて休まずに働ければと思っているんです。」

「いきなり燃料切れで、パタンって倒れてしまいますよ。お願いだから、休んで。」

 

 

Hさんはそこでふと思い出したらしく、大声で笑い出しました。

「先生と去年もこの時期に同じことを話した気がする!」

私は、「疲労を感じさせずに不眠不休で働かせる薬があったら、それは危ない薬だ」と言ったらしく、それと「体が休んでって言うサインは聞き逃さないであげて」とも言ったのだと言いました。

「この時期はいつも忙しいから、そんなことを思って仕事しているんですね。」

 

 

気軽に休めないのはわかっています。けれども、体調が悪いなと思ったら、思い切って休むことも考えてみてください。

 

 

「病牀六尺」

 

正岡子規が病床において執筆した随筆集として知られる「病牀六尺」

死の2日前まで書き綴ったということですから、その凄絶さに言葉もありません。

1回目の随筆の書き出しがタイトルの説明にもなっています。

 

 

〇病牀六尺、これが我世界である。しかもこの六尺の病寐が余には広過ぎるのである。僅

(わず)かに手を延ばして畳に触れる事はあるが、蒲団(ふとん)の外へまで足を延ばして体をくつろぐ事も出来ない。

(略)

 

 

特に心打たれるのが、六月二日の日付がついた文章です。

 

二十一

〇余は今まで禅宗のいはゆる悟りといふ事を誤解して居た。悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思つて居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた。

〇因(ちな)みに問ふ。狗子(くし)に仏性(ぶつしよう)有りや。曰(いわく)、苦。

 また問ふ。祖師(そし)西来の意は奈何(いかん)。曰、苦。

 また問ふ。………………………。曰、苦。

(六月二日)

 

 

どんな時でも、どんな局面であっても、平気で生きていること。

病に冒されつつも、その苦痛さえもありのままに、生き通すという凄まじいまでの境地。

それを悟りと呼ぶ彼の気迫が感じられます。

 

 

「病牀六尺」は青空文庫で読むことができます。

こちら → 「病牀六尺」

 

 

ゆっくり時間をかけて、読み返してみたくなりました。

 

 

琉大ミュージカル2017

 

昨日は琉大ミュージカル2017を観てきました。

「Catch Me If You Can」

 

公開リハーサルの時とは別人かと思うほど、若い人たちの成長ぶりには目を見張りました。

もちろん観客は「ミュージカル」を観に来ますし、「良かった」「感動した」という感想も演劇に対してのものですが、琉大ミュージカルの魅力は表も裏も含めた「プロセス」にあるのだと思いました。

演目の選定から渉外、準備、練習、宣伝、公演、すべてのプロセスのことです。

絵画や写真のように残るものではなく、舞台芸術であることも、演じる人も観る人も、その瞬間瞬間、プロセスを共有しています。

それを感じているからこそ、大きな舞台装置が現れると「おおっ」という大歓声と拍手が沸き起こるのでしょうし、キャストのセリフにのめり込み、笑ったり泣いたりするのでしょう。

 

偉そうなことは言えませんが、個人的にはアンサンブルキャストの皆さんの弾けぶりに感動していました。

若い人たちのエネルギーは素晴らしいです。

 

 

ドラゴンフルーツの花

 

「これ、何のつぼみ?」

実家で、鉢からニョキっと這っているサボテン(?)のような植物からつぼみがついていました。

結構な大きさです。

 

「月下美人?じゃないよね?まさかね?」

「これね~。これはドラゴンフルーツだよ。」

母が嬉しそうに言いました。「そろそろ咲きそうだよね。」

「今まで育ててきたけれど、初めて花が咲くよ。」と続けました。

 

「花が咲いたら、ちゃんと写真を撮って送ってね。」とお願いしていたのですが、昨日「花咲いたよ」と画像が送られてきました。

 

ピンボケは仕方がないとして、見事な花が咲きました。

いい香りがしていたそうです。

 

またひとつ、楽しみが増えました。

 

旧盆中の休診のお知らせ

 

今日は8月5日です。

ちょうど1ヶ月後の9月5日のお知らせをいたします。

 

今年の旧盆はウンケーが9月3日(日)。

ウークイが9月5日(火)となっています。

 

例年通り、ウークイ(9月5日)の外来診療は終日休診です。

(透析業務は平常通り行います。)

 

予約枠はすでに休診としていますので予約されている方はいませんが、予約外で受診される方にはご迷惑をおかけします。

どうぞ、よろしくご了承ください。

 

 

インフルエンザ注意報が解除されました

 

第30週(7月24日~30日)のインフルエンザ流行状況の報告では、定点の患者報告数が注意報レベルの10人を下回っており、8月2日付で注意報が解除されました。


ただし、那覇市、南部保健所管内は引き続き注意報レベルを超えているのと、八重山保健所管内の7.67人から19.67人への増加が気になるところです。

実は、昨日もインフルエンザ迅速検査でA型が陽性であった患者さんがいらしていて、実感覚としては「まだまだ」という印象なのです。

 


グラフのように、例年の傾向を見ても、「0にはならない」という意識が必要かも知れません。

体調を管理することや、手洗いや咳エチケットなどは、流行シーズンでなくても、習慣として身に着ける必要があります。

 

タイプ別にみると、一時期B型が多かったのですが、ここにきてA型の勢いも増してきました。


熱中症とインフルエンザ、そしてその影に隠れて感染性腸炎もちらほらみえています。

 

暑い日が続きます。

体調管理をしっかりとしていきましょう。

禅の言葉「主人公」

 

面白いことに「主人公」というのは禅語のひとつなのだそうです。

「主人公」という言葉は「アニメドラマの主人公」というように、中心となる登場人物を指し示して使いますね。

 

禅の世界では、「主人公」というのは、「本来の自分の姿」「真実の自分」のこと。

「瑞巌主人公」からの出典で「瑞巌の師彦和尚、毎日自ら主人公と喚び、復た自ら応諾す」とあるそうです。

 

瑞巌寺の師彦和尚は、毎日自分で自分に「おーい、主人公よ、師彦よ。ちゃんと本来の自分でいるか?」と呼びかけ、「はい!」と答えていたそうです。

 

自分の中に主人公がいる。本来の自分が眠っているという感覚なのでしょうね。

傍から見たら滑稽な印象もありますが、本来の自分というのは、実は毎日呼び出さなければ、きっと流されてしまって失ってしまうものなのでしょう。

 

本来の自分=主人公を目覚めさせていきましょう。

 

 

台風5号(Noru)

 

台風5号(ノル-)の予想進路が、日に日に変化しています。

迷走を冠する台風の特徴ではあるのですが、7月21日に発生してから、すでに10日を超えています。

あとで発生した10号も既に消滅していますから、5号はかなり長い期間勢力を保っていると言えます。

 

確かにあの距離から、いつの間にか週明けには沖縄本島に迫ろうかという感じですから、かなり厄介な台風です。

 

週明けに沖縄・奄美地方に接近する予報ですが、まだ予報円が大きく、今後の進路に十分に注意する必要があります。

 

ちなみに米国JTWCでは、より北側の進路を予想しているようです。

 

いずれにせよ、現在中心気圧が940hPaの非常に強い勢力です。

台風の目が不気味なほどくっきりとしています。用心に越したことはなさそうです。

 

 

迷走台風

 

台風5号(ノル-)が迷走しながら、太平洋上に残っています。

「残っている」という表現を使いましたが、中心の気圧は935hPaで、中心付近の最大風速は50m/sですから、非常に強い台風です。決して小さな台風ではありません。

瞬間の最大風速は、なんと70m/s。

北に進路を変えていっているようなので、油断ができません。

 

 

「迷走台風」と言って思い出すのは、昨年の台風10号(ライオンロック)が記憶に新しいです。

太平洋から沖縄に向かってきて、ヨーヨーのように北上したかと思うと、最後は岩手県に上陸した台風でした。

 

 

この台風5号(ノル-)が、そうならないようにと願うばかりです。

 

最近は、よっぽど海の水温が高いのでしょう。

熱帯低気圧がどんどん発生し、それが台風に発達していっています。

台風情報を集めていく必要があります。