平成22年 都道府県別平均寿命が発表されました

 

2月28日に厚生労働省から、国勢調査をもとにした都道府県別の平均寿命が発表されましたね。

 

正式には「2010年都道府県別生命表」というらしいです。

「長寿県 沖縄」をキャッチフレーズにしていた沖縄が、男女別で男性が26位に転落してから久しくなります。

(いわゆる「26ショック」。平成12年のことです。すでに13年の月日が経過しています。)

 

今回の報告には、さらにショッキングなことが含まれていました。

沖縄の女性が3位に転落したのです。

-survival ranking-

「生命表」についての説明を加えます。

「生命表とは、ある人口集団の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに

各年齢の者が死亡する確率や 平均してあと何年生きられるかという期待値などを

死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したもの」だそうです。

そのうえで

「平均寿命」というのは0歳の平均余命のことで

その地域の保健福祉水準を総合的に示す指標とされています。

1位は男女いずれも長野(男性80.88歳、女性87.18歳)

沖縄は男性30位、女性3位でした。

 

 

昭和50年から発表され、平成7年から5年に1回発表されています。

今までの沖縄の順位をグラフにしてみました。

寿命の経緯

ほかの項目では

三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)での死因別の割合が最も高かったのは

男性が岩手(56.83%)、女性が北海道(53.85%)。

老衰の割合が最も高いのは男女とも静岡で、男性が4.57%、女性は13.13%でした。

 

 

「ビル・エヴァンス」

Jazz が好きで、無性に聞きたくなって時々聞きます。

気取ってお酒を飲みながら…というわけではなく

「あじゃず」で肉野菜そばを食べながら…というわけでもありません。

 

特にピアノ・トリオが好きなのは、ビル・エヴァンスの影響が強いからです。

 

ファースト・トリオであるスコット・ラファロとのインタープレイは

その後の悲劇を知っているだけに、後から知って聴く者としてすごく心が揺れ動いてしまいます。

 

ビル・エヴァンスの、内省的な演奏スタイルが特に好きです。

 

「規則のあるロマンチシズムは最も美しい美の中のひとつなんだ。」

彼の言葉を聞いて、高校時代の佐久田は感銘を受けていました。

(そう訳された日本語で覚えていました。)

 

 

長い間、その言葉の原文を知らずに過ごしていたのですが、ふとしたきっかけで見つけることができました。

yasさんのサイト 「our thoughts about bill evans」 が愛深くビル・エヴァンスのことを紹介してくれています。

 

その中に、ビル・エヴァンスの名言集がありました。

 

 

Discipline and freedom have to mix in a very sensitive way.

I believe all music is romantic,

but if it gets schmaltzy, romanticism is disturbing.

On the other hand,

romanticism handled with discipline is the most beautiful kind of beauty.

 

修練と自由は極めて繊細な方法でまじり合わなければならない。

音楽はすべてロマンティックだと僕は信じるが、

感傷的になり過ぎてはロマンティシズムも煩わしい。

その一方、

修練をもって処理されたロマンティシズムは最も美しい類の美だ。

 

 

そうだったのかあと、今更ながら思いました。

 

「規則のあるロマンチシズム」と訳していた元の言葉は

「romanticism handled with discipline」という言葉だったのですね。

 

 

最近読んだ「学習する組織」(ピーター・M・センゲ著)の中に、ちょうど「discipline」という言葉の説明がありました。

 

「ディシプリン」というのは

実践するために勉強し、習得しなければならない理論と手法の体系

だと説明しています。

 

 

独創的で、即興性に富んだジャズ・ピアニストである彼だからこそ

深く実感のこもった言葉になるのでしょう。

 

基本を大切にしながら、自分達の本当に大切なことを明確にしていくこと。

目的やヴィジョンを持って進もうとしたとき

習得しなければならない知識や技法が本当は何かを理解することになります。

 

 

どの世界にも通じる言葉ですね。

 

 

理屈はさておき、今日はビル・エヴァンスの曲をBGMにしながら、これを書いています。

名曲 ワルツ・フォー・デビイ です。

 

「意志力」について

 

「意味がありそうで、つながっていそうな偶然の一致」のことをシンクロニシティと呼ぶそうですが

私には最近、気がついたらよく目にしている言葉があります。

 

(「シンクロニシティ」という言葉を提唱した心理学者のユングが、どうもオカルトに傾いたっぽい人だったということを知ったのは、実は最近なのですが。)

 

よく目にする言葉というのは「意志力」という言葉です。

 

「シンクロニシティ」という言葉を持ち出さなくても

私の場合は、簡単に説明がつくかも知れません。

単純に「意志力」という言葉に憧れをもっているからなのだと思います。

 

本屋さんで何となく手にして、それこそ何となく購入した後に、

帰宅後に妻から「あなたが好きそうな本を買ってきたよ。」と言われて、見ると同じ本でした。

 

 

スタンフォードの自分を変える教室(ケリー・マクゴニガル著)です。

 

彼女のスタンフォード大学での

「意志力 ― 注意力や感情や欲望をコントロールする能力」

についての講義をまとめたものです。

 

冒頭で、意志力には3つの力

「やる力」

「やらない力」

「望む力」

があると説明しています。

 

「やる力」と「やらない力」がせめぎあい自己コントロールをしていく中で

自分が本当に望むものを思いだす力「望む力」を駆使して、目標を達成していく。

言葉では簡単ですが、それがなぜできないのかを考察し、明らかにしてくれています。

 

たとえば、次の言葉にはなるほどと思いました。

 

「意志力のチャレンジに取り組むにあたり、道徳的によいことをしているような気分になると

よいことをした分、わるいことをしてもかまわないような勘ちがいを起こしてしまう。

自己コントロール力を向上させるには、道徳的な善し悪しよりも

自分の目標や価値観をしっかりと見つめること。」

 

人は何かいいことをすると、いい気分になり、自分の判断を信用しがちになるそうです。

たしかに、健康に良いと言われている食品を、ついついカロリーオーバーで食べ過ぎてしまう人はたくさんいますよね。

 

また、一度失敗するともっとダメになりたくなる心理についても書いてありました。

 

「実際に失敗を経験したときは ― それは避けがたいことです ― 失敗したことを許すのが大事で

なげやりになって誘惑に負けたり、目標をあきらめたりしないことです。

こと自己コントロールに関しては、自分を責めるよりも

自分への思いやりをもつほうがずっとよい戦略です。」

 

失敗を繰り返すのは、罪悪感のせいで「どうにでもなれ」と思ってしまうから―。

自分に厳しくしても意志力は強くならないばかりか

自己批判はモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招いてしまうそうです。

 

これは面白い話だと思います。

人は気づかないうちに、まるで反対のことをしています。

 

間食をやめたり、カロリー制限、禁煙、運動を続けること。

つまり、習慣を変えようとすることは

すべて自己批判こそ自己コントロールに必要不可欠の要素だと思っているフシがありますから。

 

自己に常に厳しい人こそ、意志の力が強いというイメージですよね。

 

また、この本にも自分をセルフモニタリングする重要性が書いてありました。

自分の感情や思いを見つめること。

すべてに通じることですが

それが第一歩のようですね。

 

 

 

 

男性はご注意! カルシウム・サプリメント 文献から

サプリメントが好きな方というのはいらっしゃいますね。

足りないものを補うのがサプリメントの役割ですが

いつの間にかサプリメントを摂ること自体が目的になってしまって

何で摂ることになったのか、そのきっかけさえもわからなくなってしまっている方もいらっしゃいます。

 

補うにしても、よく調べて、よく吟味してからの方が良さそうだというお話です。

 

2月4日の報告で、少し前になるのですが、カルシウム・サプリメントが男性では心疾患のリスクを引き起こしてしまうという報告がありました。

 

 

カルシウムを多く含む食品や、カルシウム・サプリメントは、特に閉経後の女性にとって骨粗しょう症を予防するものとされています。

いくつかの研究では、高血圧や脳卒中もカルシウム摂取量に比例して予防されるという報告もあります。

そのことから、カルシウム・サプリメントは、心血管疾患(CVD)を減少させるかもしれないと推測されてきました。

 

 

しかし、心血管疾患の死亡リスクに対するカルシウム摂取量の影響を調べる研究では

カルシウムを大量に摂取することが死亡リスクを減らすという結論にはいたりませんでした。

むしろ、最近の解析データでは、カルシウムを多く摂取することが心筋梗塞のリスクを高める可能性を示しています。

 

 

カルシウム・サプリメントが心筋梗塞のリスクをなぜ増加させるのかは、正確にはわかっていませんが

冠動脈の石灰化の進行を早めてしまうのではないかと予想されています。

というのは、腎不全の患者さんでは血管石灰化と死亡リスクを高めてしまうということがすでに知られているからです。

 

 

最近のガイドラインでは、成人の場合、毎日1000mgから1200mgのカルシウム摂取をすすめています。

乳製品やカルシウムを多く含むような食事に気をつけている人は、それだけのカルシウム摂取が可能でしょう。

しかし、骨粗しょう症を予防するためにビタミンDと一緒に摂取している人は、血清カルシウムレベルがかなり高くなる可能性があります。

そして、カルシウムレベルが高いと、血管の石灰化がすすんでしまう可能性もあるのです。

 

 

今回、紹介する報告は、このようなカルシウム摂取量と心筋梗塞の間の関連を明らかにしようとしたものです。

Dietary and supplemental calcium intake and cardiovascular disease mortality: the National Institutes of Health-AARP Diet and Health Study.
JAMA Intern Med. 2013 Feb 4:1-8. doi:10.1001/jamainternmed.2013.3283. [Epub ahead of print]

 

計388,229人の成人を調査したもので、1年間にわたって、マルチビタミンの使用、カルシウムを含んでいる胃薬までも記録してもらいました。

フォローアップの平均期間は12年間。

その間、不幸にして心疾患によって死亡した方は、男性の7904人、女性の3874人でした。

そのデータをもとにカルシウム・サプリメントが心疾患による死亡リスクを解析したところ

(1000mgのカルシウム・サプリメントを飲む人々と全く飲まない人々を比較)

 

女性では因果関係はありませんでしたが、男性には、カルシウム・サプリメントを摂取すると

19%死亡リスクが高まるという結果が得られました。

0225グラフ

脳血管死亡リスクはカルシウム・サプリメントとの関連ありませんでした。

 

0225グラフ2

 

カルシウムのサプリメントは、十分な量の食事が摂れない方に限るなど

食事で補えない方に限定するべきだということです。

 

 

特に男性では心疾患による死亡リスクの危険性があり、慎重にすべきということですね。

 

 

「マギの聖骨」

出張の時の楽しみは、往復の飛行機の中での読書です。

那覇空港2階のコンビニ横の本屋さん(宮脇書店)に入って、文庫本を物色して飛行機に乗り込みます。

帯のアピールを参考に、できるだけ没頭できるような本を選ぶようにしています。

 

あとがきを見て、故・児玉清さんが推薦文を寄せているのを発見したら、すぐに買います。

 

ジェフリー ディーヴァーの「リンカーン・ライム」シリーズもそうでしたし

百田 尚樹さんの「永遠の0」もそれで遭遇しました。

 

児玉さんの推薦ではありませんでしたが

最近では「マギの聖骨」に興奮しました。

まるで映画を見ているかのようなアクション描写と謎解きの連続で、物語の展開にずっと引きずり込まれていました。

主人公たちのピンチの迎え方、その乗り切り方が尋常ではなかったです。

著者のジェームズ・ロリンズはエンターテイメントに徹する方でした。

 

 

これはハリウッドがきっと映画化するのだろうと思います。

(もうしているのでしょうか。)

シグマ・フォースシリーズとして、続きそうな予感がします。

 

「マギ」というと、最近では少年サンデーに連載中の漫画かTVアニメのことを指すようですね。

でも、言葉の意味としては遠くないのでしょうが、あまり関係なさそうです。

 

漫画の方は「千夜一夜物語」をモチーフにした魔法使い(アラジン)ですが

「マギの聖骨」の方はイエスゆかりの東方三博士のことでした。

 

もちろん、「magic」の語源ですね。

 

 

「ブルーライト問題」

「ブルーライト問題」というものがあります。

パソコンのディスプレイやスマホの画面にLEDが普及するにつれて、その影響が強く言われるようになってきています。

bluelight 

ご存知のように可視光線の色にはそれぞれ波長があります。

長い波長と短い波長では屈折率が違うために、可視光線はプリズムを通すと波長にしたがって分かれていきます。

虹は、太陽光が分光された自然現象ですし、すべての光を含むので、赤から紫までまんべんなく同じ量で注いでいます。

一般的な白色LEDはというと、380~465mmの波長で、それはちょうど青色ということになるそうです。

分光分布にすると、ちょうどそのあたりだけ大きな山になっています。

白色に見えていて、実は青い光(ブルーライト)を多く含んでいるらしいのです。

 

ブルーライトは

「散乱しやすい光」であること

「高エネルギー」であること

の2つが特徴であるといわれています。

 

人体に与える影響は、これからの研究課題ではっきりとしたことはまだわかっていませんが

生活していくうえでサーカディアンリズム(1日のリズム)を狂わせるだろうということや

網膜や調節機能に悪影響を与えるのではないかと言われています。

 

夜に明るい光があふれているというのは、人類の長い歴史の中でも、日本では蛍光灯が普及して50年。

LEDができて20年の間の出来事なのです。

 

ブルーライトに限ってのことではありませんが

2012年には、アメリカ医師会が夜間照明の健康への影響について声明を発表しています。

 

2012.6.20 American Medical Association AMA Adopts New Public Health Policies at Annual Meeting

「夜間照明の健康への悪影響」
夜間、過剰な照明にさらされることは、睡眠障害を悪化させること、また車の運転にも支障を引き起こす可能性があります。

サーカディアンリズムへの影響を最小限にするための照明技術を開発しなければなりませんし、夜間の照明に関するリスクについての研究が進むことを期待します。

Alexander Ding氏は

「自然界は本来24時間の中で明暗を繰り返しています。

そのサイクルがサーカディアンリズムを正常に保ち、体内のバランスを保っています。

夜間に大量の照明にさらされると、これらのバランスが乱されて、

健康に深刻な悪影響を及ぼしたりする可能性があります。」

と述べています。 

医療従事者をはじめ、運転手など、夜勤のあるタイムシフトワーカーにも、その影響はもちろんあるでしょう。

 

夜寝る前にスマホの画面を見たり、パソコンで作業をしている方は

少し自分の生活を修正した方が良いかも知れません。

 

また、最近眠りが浅いなあと思う方がいたら、もしかしたら「ブルーライト」の影響を考えた方がいいかも知れませんね。

 

 

 

芯の太さ

「文具マニア」という言葉があります。

 

いや。

「文具マニア」という言葉を強調するのは間違いで

そういうマニアの方々がいらっしゃるということを強調すべきですね。

 

そのマニアの方々のお話を聞くと

ある一定の知識や情熱のレベルを超えること

そして、文具をこのうえなく愛する愛情を持たなければ

「文具マニア」と呼んではいけない気がしてきます。

「マニア」を自称するにはとても自信ないので、私は「文具ファン」のレベルです。

 

特に画材道具と筆記用具には、手にとるだけで癒されることがあります。

(これも「コーピング・レパートリー」に入れています。)

 

画材道具に関しては失敗談もあって、想いも深いのですが、それはいつかお話するとして

今回は「シャープ・ペンシル」のお話です。

 

北星鉛筆株式会社が制作した「大人の鉛筆」シリーズというシャープペンシルがあります。

まず、そのコンセプトに共感しました。

 

「鉛筆を使う事が少なくなった

大人の方々に幼い頃からなれ親しんだ

鉛筆で書く楽しさと素晴らしさを

再び感じてもらいたい。

そんな鉛筆屋が心を込めて作った

筆記具が『大人の鉛筆』です。」

 

本体が木材。芯の太さが2mm。

なので、とても手になじんで、まるで鉛筆で書いているかのようです。

 

sharppen

右から2番目が「大人の鉛筆」です。

 

気がつけば、芯の太いシャープ・ペンシルが集まってしまいました。

 

製図用やスケッチ・デッサン用のシャープ・ペンシルが相性が良いようです。

ビタミンC は一般人には風邪予防にならない !? 文献から

一般的な風邪薬に「ビタミンC」が入っているものを多く見かけますね。

 

ビタミンC は、風邪薬として効果があるものなのでしょうか?

そういう疑問をもとに、コクラン・レビューが調査報告をまとめてくれました。

 

Vitamin C for preventing and treating the common cold.
Hemila” H, Chalker E. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Nov 29;1:CD000980. DOI: 10.1002/14651858.CD000980.pub4. (Review)

背景:

ビタミンC(アスコルビン酸)が風邪の予防や治療に効果があるかどうかということは結論が出ず、実に70年間の論争の対象となっているそうです。

ここではビタミンCの風邪に対する次の効果

予防効果

治療効果

について明らかにしようとするものです。

 

目的:

ビタミンC が風邪の発生率、あるいは罹病期間や症状を軽くさせるかどうかを調べました。

服用の方法としては

普段からビタミンC を毎日飲み続けていた方が良いのか

あるいは風邪の症状が出現してから飲んでも大丈夫なのか

を検討しています。

 

選択基準:

ビタミンC を1日あたり0.2gよりも少ない量を使用した研究は除外しています。

また比較対照のない研究も除外しています。

比較対照のある研究のみを調査しました。

 

データ収集と分析:

「普段からビタミンC を飲むことは風邪を予防するか」という評価は、1回以上の風邪をひいた人を調べることで検討しました。

「風邪がすぐ治るかどうか」は風邪をひいている平均日数で比較しました。

 

主な結果:

全体として1万1千306人を対象にした29の研究によって風邪をひきやすいリスクについて分析しました。

 

 

〔ビタミンC は風邪の予防効果はあるか?〕

1万708人の一般人を対象にした調査では、ビタミンCをとっていない人のリスクを「1」とした場合、とっている人は「0.97」でした。

つまり、あまり差がなかったということ、とりたてて効果があるとはいえなかったようです。

しかし、598人のマラソン選手、スキーヤー、兵士など、普段から体を鍛えている人たちを対象にした5つの調査では、リスクは0.48にまで減少していました。

つまり、体を鍛えている人たちには、ビタミンCは予防効果があるようなんですね。

 

 

〔ビタミンC は「風邪ひきの日数」を短くさせるか?症状を軽くさせるか?〕

いつもビタミンC を飲んでいる人の「風邪ひきの日数」を調べました。(31の調査)

成人の場合、約8%の日数が短縮し、子どもは14%短縮していました。

 

特に子どもの場合、1~2g/日のビタミンC をとっていると、18%まで短縮されることがわかりました。

風邪の重症度もビタミンC 投与により減少していました。

 

 

〔ビタミンC は風邪の治療薬として使えるか?〕

風邪に対して、治療薬としてビタミンC が効果があるかどうかは、7つの調査で検討されました。

結果は、ビタミンC を使用しても、風邪の期間や重症度の改善に効果はみられませんでした。

 

 

レビューアの結論:

【予防効果について】

風邪を予防するために、ビタミンC を補給することは、一般の人たちに対してはあまり効果はみられませんでした。

しかし、日ごろから体を鍛えている人たちにはビタミンC は役に立つかも知れないということを示しています。

 

【治療効果について】

普段からビタミンC をとっていれば、風邪をひいている日数を短縮させることが示されました。

 

風邪をひいてから、ビタミンC をとることが有益かどうかについては

比較的安いものであること、安全であることを含めて

風邪をひいている期間が短くなるかも知れないですし

重症になりにくいということを考えると、価値があると考えた方が良さそうです。

 

アスコルビン酸

 

ただし、やはりいろいろと結論づけるには、もっとたくさんの調査研究が必要になってくるだろうとまとめていました。

 

 

個人的には、食欲が落ちている風邪症状のある発熱の患者さんには、ビタミンC は良いのではないかと思っています。

食事も摂れないほどに弱っている患者さんには、十分な水分とともに経口補給が良い気がします。

 

 

それと!

ビタミンC で予防効果を出すためには、日ごろから体を鍛えていた方が良いかも知れませんね。

(アスリートのように !?)

 

 

 

 

 

 

 

 

オメガ3 は体に良いというお話 文献から

 

ω3不飽和脂肪酸が血液透析をしている方によろしいというお話を紹介します。

 

2月6日の「Kidney International」という腎臓分野の医学専門誌に報告されたものです。

 

ω3不飽和脂肪酸というのは、α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などです。

ご存知の通り、これらが多く含まれている代表的な食品は青魚です。

つまり、イワシ、サバ、ニシン、カツオ、サケなどのおなじみの魚です。

また、クルミやフラックスシード(亜麻の実)などにも含まれています。

 

Inverse relationship between long-chain n-3 fatty acids and risk of sudden cardiac death in patients starting hemodialysis
Kidney International advance online publication 6 February 2013; doi: 10.1038/ki.2013.4

内容を紹介しますと

血液透析を導入された最初の1年間で、ω3脂肪酸の血中レベルの高い人と低い人を比較したところ

ω3脂肪酸の低い人は、心臓突然死で死亡するリスクが高くなるということが分かりました。

 

これは、心臓突然死した100人の患者さんについて調べたもので、ω3不飽和脂肪酸の血中レベルは有意に低下していたそうです。

さらにその血中の量が低ければ低いほど、死亡リスクが高まっていたということでした。

 

 

これは、魚や魚油サプリメントが比較的安く、容易に手に入りやすいということもあわせてよい参考となるでしょう。

 

この研究調査のさらなるポイントは、血液透析を導入した最初の1年間の死亡リスクに焦点をあてていることです。

実は血液透析を何年もされている方というのは、すでに尿毒症の時期を脱しているのですが

尿毒症の極期ともいえる血液透析導入前後の時期というのは、やはり身体的にリスクが高まる時期なのです。

 

 

血中のω3不飽和脂肪酸のレベルを測定し、高ければ高いほどリスクが減ったということは注目に値すると思います。

1-NEC_0262

 

ところで、ほとんど同じ時期に、ある意味正反対の調査報告も発表されました。

 

物議をかもし出している報告ですので、ご紹介します。

 

これは血液透析に限らない一般を含めたお話で

2月5日に報告された調査報告です。

 

Use of dietary linoleic acid for secondary prevention of coronary heart disease and death: evaluation of recovered data from the Sydney Diet Heart Study and updated meta-analysis
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8707 (Published 5 February 2013)

 

この調査報告の目的は

食事で摂取する飽和脂肪酸をω6不飽和脂肪酸、つまりリノール酸に置き換えることで

冠動脈疾患や死亡リスクの二次予防の有効性を評価しようとするものでした。

 

 

具体的にどのようなことをしたかというと

食事で使う通常の動物性脂肪、マーガリンやショートニングを

サンフラワー油(リノール酸)やそれを原料としたマーガリンに変更したそうです。

 

 

対象となる方は、最近、冠動脈疾患を起こした男性患者さん458名。

全原因死亡リスク、心血管死亡リスクなどを調査しました。

 

 

すると、驚くべき結果が出てしまったのです。

リノール酸に置き換えた群(221人)の方が、何もしなかった群(237人)より死亡リスクが高かったのです。

 

 

全原因死亡リスク 17.6% に対して 11.8%。1.62倍高いという結果でした。

同じく心血管疾患死亡リスク 17.2% に対して11.0%。1.70倍です。

 

 

冠動脈疾患を起こした方たちが対象ですので、一般の方たち全てにこの結果があてはまるかというと難しいかと思います。

 

またサンフラワー油だけの話なのかも知れないという異論もあるかも知れません。

 

最初の報告のω3脂肪酸に関しては不明のままです。

 

 

まだ結論を出すには情報が少ないというのが実情ですが

不飽和脂肪酸に関しては

動脈硬化の病態に関わってくるだけに、非常に関心が高まるところです。

 

 

 

「あるべきやうわ」

名僧である明恵は、月を愛し、月を詠んだ歌が多く

「月の歌人」と呼ばれていました。

そして、明恵が残した「あるべきやうわ」という言葉の意味を考えるとき

とても気持ちが引き締まる想いがします。

 

明恵が月を歌った歌を紹介します。

昔みし道はしげりて跡たえぬ月の光をふみてこそ入(い)れ

(当時の道は雑草が茂っていて、跡形もなくなってしまっている。月の光を踏んで、入ってゆくのだ。)

 

次の歌が面白いです。月の明るさを歌ったものです。

あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月

 

谷川俊太郎さんのことばあそびを彷彿とさせる歌ですよね。

 

さて、明恵は

『阿留辺畿夜宇和[あるべきようわ]』

という言葉を座右の銘にしていました。

 

『栂尾明恵上人遺訓』の冒頭には

「人は阿留辺畿夜宇和(あるべきようは)と云七文字を持つべきなり」

という法語から始まっています。

 

 

「明恵 夢を生きる」という本で、河合隼雄先生は次のように、「あるべきようは」について紹介してくれています。

ある時、明恵に糖桶(あめおけ)を贈った人があった。

明恵はどうも糖(あめ)が好きだったようだ。

後日になって明恵がその糖桶(あめおけ)を持ってくるように言ったとき、体裁をよくしようとして桶の上にあった藤の皮をむいて差し出したところ

「糖桶(あめおけ)は上を巻きたるこそ糖桶(あめおけ)のあるべきやうにてあるに、あるべきやうを背きたる」

と言って涙を流したという。

どんなものでも、それにふさわしい在りようをもっており、それを尊重したいという気持ちであろう。

 

 

明恵が「あるべきやう」とせずに「あるべきやう」としていることは

「あるべきやうに」生きるというのではなく

時により事により、その時その場において「あるべきやうは何か」という問いかけを行い

その答えを生きようとする

極めて実存的な生き方を提唱しているように、筆者は思われる。

 

 

つまり、日本人が好みそうな「あるがまま」という意味ではないだろうと言っています。

 

人にとって、常に「あるべきようは何か」という問いかけは

こころを見つめ、自分と対峙することの促しになるものでしょう。

それは時に厳しいものかも知れません。

 

でも、そこにすごく憧れを感じます。