サプリメントが好きな方というのはいらっしゃいますね。
足りないものを補うのがサプリメントの役割ですが
いつの間にかサプリメントを摂ること自体が目的になってしまって
何で摂ることになったのか、そのきっかけさえもわからなくなってしまっている方もいらっしゃいます。
補うにしても、よく調べて、よく吟味してからの方が良さそうだというお話です。
2月4日の報告で、少し前になるのですが、カルシウム・サプリメントが男性では心疾患のリスクを引き起こしてしまうという報告がありました。
カルシウムを多く含む食品や、カルシウム・サプリメントは、特に閉経後の女性にとって骨粗しょう症を予防するものとされています。
いくつかの研究では、高血圧や脳卒中もカルシウム摂取量に比例して予防されるという報告もあります。
そのことから、カルシウム・サプリメントは、心血管疾患(CVD)を減少させるかもしれないと推測されてきました。
しかし、心血管疾患の死亡リスクに対するカルシウム摂取量の影響を調べる研究では
カルシウムを大量に摂取することが死亡リスクを減らすという結論にはいたりませんでした。
むしろ、最近の解析データでは、カルシウムを多く摂取することが心筋梗塞のリスクを高める可能性を示しています。
カルシウム・サプリメントが心筋梗塞のリスクをなぜ増加させるのかは、正確にはわかっていませんが
冠動脈の石灰化の進行を早めてしまうのではないかと予想されています。
というのは、腎不全の患者さんでは血管石灰化と死亡リスクを高めてしまうということがすでに知られているからです。
最近のガイドラインでは、成人の場合、毎日1000mgから1200mgのカルシウム摂取をすすめています。
乳製品やカルシウムを多く含むような食事に気をつけている人は、それだけのカルシウム摂取が可能でしょう。
しかし、骨粗しょう症を予防するためにビタミンDと一緒に摂取している人は、血清カルシウムレベルがかなり高くなる可能性があります。
そして、カルシウムレベルが高いと、血管の石灰化がすすんでしまう可能性もあるのです。
今回、紹介する報告は、このようなカルシウム摂取量と心筋梗塞の間の関連を明らかにしようとしたものです。
Dietary and supplemental calcium intake and cardiovascular disease mortality: the National Institutes of Health-AARP Diet and Health Study.
JAMA Intern Med. 2013 Feb 4:1-8. doi:10.1001/jamainternmed.2013.3283. [Epub ahead of print]
計388,229人の成人を調査したもので、1年間にわたって、マルチビタミンの使用、カルシウムを含んでいる胃薬までも記録してもらいました。
フォローアップの平均期間は12年間。
その間、不幸にして心疾患によって死亡した方は、男性の7904人、女性の3874人でした。
そのデータをもとにカルシウム・サプリメントが心疾患による死亡リスクを解析したところ
(1000mgのカルシウム・サプリメントを飲む人々と全く飲まない人々を比較)
女性では因果関係はありませんでしたが、男性には、カルシウム・サプリメントを摂取すると
19%死亡リスクが高まるという結果が得られました。
脳血管死亡リスクはカルシウム・サプリメントとの関連ありませんでした。
カルシウムのサプリメントは、十分な量の食事が摂れない方に限るなど
食事で補えない方に限定するべきだということです。
特に男性では心疾患による死亡リスクの危険性があり、慎重にすべきということですね。