バーンアウトの理解

 

仕事に疲れて、うんざりしている時、「バーンアウトかも」と口に出てしまうことがあります。(ん?私だけ?笑)

しかし、一般的に「仕事がきつい」を指すバーンアウトと、心理学の世界でいうバーンアウトは、同じ言葉ですが意味合いがちょっと異なります。

心理学の世界で語られるバーンアウトは、臨床的な症候群として扱われるものです。

三つの重要な症状があり、それぞれが極めて特異的です。

この三つとは、感情的な疲労、人間関係の無関心、そして個人的な無力感です。

この三つの層が完璧に積み重なった時、初めて心理学者が「これぞバーンアウト」と認定するのです。

感情的な疲労は、ただ体が疲れているわけではありません。

なんとなく毎日がいくら寝ても疲れが取れないような気持ち。もはやこれ以上何かを引き受けることなんてできないと感じてしまう。ゲームでいうところの、HPがレッドゾーンに突入し、ポーションがすでに使い果たされているような状態です。

人間関係の無関心は、人々に対する関心が薄れ、常に不機嫌です。

家族が好きなテレビ番組を見ているときに、「なんでつまらない番組見るの?」とツッコミたくなる感じ。何を言われても、どんなに優しい言葉でも、すぐに「ムカつく!」となってしまう。そして、皆が自分に何かを求める度に、さらに心がカリカリになっていくのです。

そして、個人的な無力感。

もうどんなに頑張っても意味がないと感じる状態。まるでシーシュポスのように、巨大な岩を山頂まで押し上げ、それが転がり落ちるのを見てはまた押し上げる。そしてそれが永遠に続く。(シーシュポスについては、こちら⇨「シーシュポスの罰」ギリシア神話から 」7月17日投稿

このような状態になると、バーンアウトを治療するためには、組織や個人それぞれに適切な対応が必要です。

しかし、どちらにしても、大切なのは自己のケアです。

心と身体の健康を維持するためにも、定期的な休暇をとる、社交活動を楽しむ、趣味に没頭するなど、仕事以外の生活を大切にすることが不可欠です。

そして、最も重要なのは、自分自身が仕事を通じて何を求めているのかを見つめ直すことです。

仕事が自分の全てである必要はない。それがどんなに素晴らしい仕事であろうと、自分のアイデンティティ全体をそれに結びつけると、バランスが崩れ、結果的にはバーンアウトを引き起こす可能性があります。

つまり、最も重要なのは、自分自身との対話です。

自分が本当に何を望んでいるのか、どのような人生を送りたいのかを見つめ直すことが、バーンアウトからの脱出の鍵となります。