人が最高のパフォーマンスを発揮する瞬間のことを「フロー状態」と呼びます。
その状態を説明するトップ・アスリートなどの言葉によると「全てが自然に流れるかのように感じ、時間が独特に進行し、直感が増し、思考に対する固執がなくなる」のだそうです。
一種の「努力のない努力」とも表現されますし、最良の状態を自然に引き出す最強モードとも言えます。
しかし、都合よくスイッチが入れられるものでもありません。発現する必要条件があります。
その一つが「挑戦とスキルのバランス」です。
例えば、登山を始めたばかりの人が、ヒマラヤ登頂を試みるとします。これは間違いなく困難すぎる挑戦で、緊張と恐怖に圧倒されることでしょう。命も危ないです。
一方で、同じ初心者が小さな丘を登るとなると、これは逆に容易すぎて興奮せず、ぼんやりと登ってしまいます。
けれども、ちょうどよい高さと斜度の山を選べば、それは新たな挑戦になり、自信と興奮を生みます。
これが「挑戦とスキルのバランス」のイメージです。
やり遂げたい目標が自分のスキルを少し超えているとき、集中力が増し、フロー状態が生まれやすいのです。
ここで、フロー状態に達するために、「フロートリガー」というものがあります。
これには集中力、好奇心、リスクの取り方、そしてノベルティなどが含まれて、これらを引き金として、フロー状態を引き起こします。
それぞれがドーパミンを増加させ、焦点を定め、興奮を引き出し、パターン認識を強化させます。
さらに、モチベーションについて考えてみると、5つの重要な要素があげられます。
その5つとは、好奇心、情熱、目的、自主性、そして熟達度です。この5つは階段のように登っていきます。
まず、新しいことに対する好奇心から始まり、その興奮が情熱に変わり、それが目的に結びつき、自分でそれを追求する自由を求め、そして最終的にその目的を追求するためのスキル、つまり熟達度を得ることになります。
それぞれが一つのステップとなり、最高のパフォーマンスを引き出すのです。
心理学者によれば、フローは誰もが経験できる普遍的なものです。
それはチームやグループが最善を尽くす瞬間を生む力でもあります。
このフロー状態こそが、「自己ベスト」あるいは「自己ベスト以上」を引き出す鍵になりますね。