ギリシア神話に登場するシーシュポスは、その知恵と狡猾さで知られる人物で、コリントスの王として君臨しました。
彼の名は、特に彼が死後に受けた罰と結びつけて語られることが多いです。
シーシュポスは、神々をだまして死を免れるという、人間としては考えられないような行為を2度も行いました。
まず、死神タナトスが彼を連れ去ろうとしたとき、シーシュポスはタナトスをだまして自身の鎖に縛らせ、その結果、誰も死ぬことができなくなりました。
神々がこの事態に気づき、タナトスを解放した後、再びシーシュポスを捕らえ冥府に送りました。
シーシュポスはその時、死を免れるために妻に遺体を無礼に扱うように指示しました。
これにより、彼は冥界の神ハデスに対して、適切な葬儀が行われなかったと訴え、生き返る許可を得ました。
しかし、このような狡猾さが神々を怒らせ、シーシュポスは永遠の罰を受けることになります。
彼は巨大な岩を山の頂上まで押し上げるという無意味な労働を命じられました。
その岩はいつも山の頂上に達する直前で転がり落ち、シーシュポスは再び岩を押し上げることを強いられました。
これが「シーシュポスの罰」であり、彼の名はこの絶望的で無意味な労働とともに永遠に語り継がれています。
シーシュポスの物語は、無駄な努力や絶望的な状況を象徴するものとして、哲学や文学で頻繁に引用されます。
特に、フランスの哲学者アルベール・カミュは、シーシュポスの物語を「不条理」の象徴として解釈し、人間の存在と生の意味を問い直すきっかけとしました。
