「昨日はどこにもありません」

 

三好達治の詩はどれも好きなのですが、特に好きな詩があります。

「昨日はどこにもありません」という詩です。

 

この詩のフレーズに触れるたびに、しっかりと今日を生きようと思います。

 

 

昨日はどこにもありません

               三好達治

 

昨日はどこにもありません

あちらの箪笥の抽出しにも

こちらの机の抽出しにも

昨日はどこにもありません

 

それは昨日の写真でせうか

そこにあなたの立つてゐる

そこにあなたの笑つてゐる

それは昨日の写真でせうか

 

いいえ昨日はありません

今日を打つのは今日の時計

昨日の時計はありません

今日を打つのは今日の時計

 

昨日はどこにもありません

昨日の部屋はありません

それは今日の窓掛けです

それは今日のスリッパです

 

今日悲しいのは今日のこと

昨日のことではありません

昨日はどこにもありません

今日悲しいのは今日のこと

 

いいえ悲しくありません

何で悲しいものでせう

昨日はどこにもありません

何が悲しいものですか

 

昨日はどこにもありません

そこにあなたの立つてゐた

そこにあなたの笑つてゐた

昨日はどこにもありません

 

 

 

 

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