テレビの映画番組で、幼い頃によく見ていた記憶があります。
父親もこの映画は大好きで、テレビを見ながらスティーブ・マックイーンのカッコよさに子どもの私になぜか自慢していたものでした。
マックイーンがオートバイで鉄条網をジャンプするシーンなどは、二人とも思わず同時に声を漏らしました。
後で聞いたところによると、実はあれはマックイーンが実際に演じたのではなく、姿形がよく似たマックイーンの友人がスタントしたものだったのですね。
「なんかご機嫌ね」
大脱走のテーマ曲を口笛で吹くと、必ず言われます。
けれども、ご機嫌に聞こえるこの曲も、76名の脱走兵のうち50名も射殺されるという実話に基づいたこの映画のメインテーマです。
トンネルを掘って収容所から脱走した兵士たちは、ドイツ軍に追い詰められていくのですが、その描写はむしろ淡々としていて、次々に捕獲され、またある者はその場で銃殺されていきます。
最後のシーンは独房王(The Cooler King)であるスティーブ・マックイーンが連れ戻され、再び独房に入るところで終わります。
彼はグローブと野球ボールを手にして、壁に向かって一人キャッチボールを始めるのですが、その姿は不撓不屈の闘志を感じさせるものでした。
やっぱり何度見てもかっこいい。
1963年の映画ですが、まったく色あせていないと思います。