幼いころの思い出のお話です。
実家では、子どもたちが小さい頃は、家族全員が一つの部屋で雑魚寝で眠っていました。
6畳ほどの畳間で、夜になると押入れから布団を引っ張り出してきて、部屋中いっぱいに敷きひろげて寝ていました。
その部屋にはテレビがありました。
当時、私は午後9時には「子どもは寝る時間」としつけられていましたので、土曜日には「8時だよ!全員集合!」が終わって布団にもぐりこみました。
翌日は日曜日。子どもにとって土曜日のあの番組は幸せのシンボルだったような気がします。
けれども、月曜日と金曜日は、私にとってはちょっとした試練の曜日でした。
父親が映画好きで、月曜ロードショーとゴールデン洋画劇場のある日には、テレビを消してくれなかったのです。
「子どもは寝なさい!」
と言うものの、アクション映画ならまだしも、恐怖映画の放映があった日には悲惨でした。
新聞のテレビ欄で事前に何を放映するかは知っていましたから、「今日はオーメンの日だ…」とか「今日はエクソシスト!?」とか、朝から憂鬱になるのです。
布団を頭までかぶって聞こえないようにするのですが、無理な話です。
寝返りがどうしても多くなり、眠っていないことがバレてしまいます。
その都度、「寝なさい!」と言われるのですが、寝よう寝ようと思ってもストーリーが入ってしまっていますから、ついに最後まで「聞いて」しまっていました。
テレビが終わったあとに父親はテレビと部屋の電気を消すのですが、私はその後も恐怖映画の余韻のために眠れず、まんじりともしませんでした。
どうしてでしょう?
今となっては、かなり不条理なお話なのですが、その当時は不思議にそれが当然なのだと思っていました。
大人と子どもの境界線を、変に意識していた子どもだったのかも知れません。
Youtubeでゴールデン洋画劇場と月曜ロードショーのオープニング動画を見つけました。
懐かしくて、嬉しかったので取り上げました。
https://youtu.be/fV-G4TpxM2A