ショートショート「鍵」

星新一さんのショートショートの中でも、ジワリといつまでも心に残る作品だと思います。

「鍵」

鍵と鍵穴の話題は、酵素の「鍵と鍵穴モデル」などの科学分野だけでなく、人生訓として問題解決の喩えに使われたり、非常に私たちの身近にあるものですね。

ショートショートの星新一ワールドでは、鍵を持った男が、鍵穴(その鍵の対となる扉)を探し求めた結果、最後にどのような結論をくだし、どのような境地にいたるかを描いています。

読み終えた後、他のショートショートとは違った感想を持ちました。

 

普通は、開けたい扉がある。しかし鍵がかかっているので、何とか鍵を見つけたいと思う。扉を開けることが目的となる。

だから、もしかしたら鍵以外でも開けることを良しとするかも知れない。

けれども、ここでは、まず鍵がある。その鍵が開ける扉(対となる鍵穴)を見つけたい。けれども見つけられない。一生をかけても見つけることができませんでした。

 

イソップ物語やジャータカ物語のような、寓話に近いものを感じました。

鍵は私たち自身なのかも知れません。

この鍵(私たち自身)を何に使うのか。一生かけて探し求めていく。

探し続けることが男の一生だったように、私たちも「道半ば」の道を歩き続けていく。

 

ショートショートですから、すぐに読めます。おすすめです。

 

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