昨日は、沖縄県腎臓病協議会(沖腎協)主催の慢性腎臓病の健康講演会でした。
平日の夜からの開催にも関わらず、熱心なその姿にいつも頭が下がる思いです。
さて、腎臓が持つ体内の水分の調節機能を説明するのに、「浸透圧」のことはどうしても避けては通れません。
浸透圧というのは、濃度の違いによって生じる圧の差のことです。
料理の時に、食材に塩をすり込むと水分が染み出てきますね。
きゅうりの塩漬けでもそうですし、ローストチキンの下ごしらえでも「汗が出る」を経験します。
それをどうやったら、一般の方にもわかりやすく説明することができるのかと悩みました。
細胞膜は半透膜と呼ばれていて、水は自由に行き来できますが、尿素などの物質は通さない膜になっています。
その膜が、下の図のように二つを仕切っている状況を想像してください。
左も右も尿素の濃度に差がありません。これでバランスがとれている状態です。
左の区切りに尿素を入れて、濃度を高くしてみます。
濃度差が生じていることが表現できているでしょうか?
そして、半透膜の間では水は濃いものを薄める方向へ動く性質があります。
この場合、右から左へと水が移動していきます。
濃度が等しくなるように水が移動するので、ちょうど下の図のようになります。
実際に、水分を体の中に保とうとした時に、尿素を利用する現象がみられます。
腎臓のはたらきの検査で、尿素を測定するよりもクレアチニンで評価するのは、尿素が腎臓以外の要素で変動することが多いからなんですね。
例えば、健康な方が水分補給をせずに長距離を走ったりすると、腎機能にダメージがなくても尿素窒素はすぐに上昇します。
環境条件に左右されずに腎臓のはたらきを調べるために、クレアチニンを採用しているのはそういう理由があるのです。