2012年に本屋大賞第一位に選ばれた時に原作を読んでいたのですが、映画の方は最近ビデオで観ました。
「大渡海」という辞書を作るまでの気の遠くなるような年月(原作では確か15年)を、まじめに、こつこつと、妥協せずに編んでいく物語です。
原作と比較してはいけないと自戒しつつも、やはり映画の尺に収まりきらない登場人物たちの歴史の重みというものはあると思います。
けれども、映画は映画独自の間合いで、時間の流れを静かに描いていました。
人と別れ、出会う。
月日は残酷に「選手交代」を告げます。
「大渡海」の編集室の人物たちも、異動があったり、退職があったり、そして新入社員が入ってきたり…。
監修者の松本先生は、「大渡海」の完成を待たずして、病気で亡くなってしまいます。
完成祝賀パーティーで前編集者の荒木が馬締君に言います。
「まじめ君。明日から早速、『大渡海』の改訂作業をはじめるぞ。」
完成したからと言って、辞書はそこで終わっていない。このさきがある。
人生と同じですね。