今回はギリシア神話ネタです。
ゼウスはそれまで曖昧だった人間と神々との違いを明確にしようとしました。
その時にプロメテウスがその役目を自ら進んで「自分にやらせて欲しい」と申し出ます。
彼は巨大な牛を屠殺して二つに分け、「神と人間との間で牛の肉の取り分を明確にすれば、これまで曖昧だった違いがはっきりしたものになる。」と提案しました。
プロメテウスは初めからゼウスと敵対し、人間に味方する立場をとっていましたから、この時もゼウスに一泡吹かせようと企みを持っていました。
彼は、肉と内臓を胃袋で包んで不味そうな見せかけた塊と、骨を牛の脂で包んでおいしそうに見えるようにした塊とを用意して、ゼウスに選択を任せました。
ところが、ゼウスはプロメテウスの企みはすべてお見通しでした。しかも、見抜いたうえで骨の方を選びます。
なぜなら、骨は朽ちることなく腐らずに残る不滅の部分で、それが神々にふさわしいと思っていたからでした。
とはいえ、ゼウスは自分を陥れようとしたプロメテウスに怒り、人間に報復を与えました。
それは、今まで自由に使っていた火を取り上げ、人間に火を使うことを禁じるというものでした。
人間は絶望的な状況に追い込まれることになります。
火が使えない人間は動物たちに対しても無力で、劣った存在になりさがってしまったからです。
プロメテウスは、人間のために天上から火を盗み、分け与えました。その時に、中空の植物であるウイキョウの茎を巧みに利用したといいます。
人間に火を与えたのがプロメテウスというイメージですが、もともと人間は消えない火を使っていました。
ゼウスに火を取り上げられ、プロメテウスが人間に再び盗み与えたのは、実は「劣化した火」で、それ以降人間は火をおこす苦労を課せられるようになったのだそうです。
Jan Cossiers – Prometheus Carrying Fire