「苦闘」について

タイトルは悪銭苦闘の「苦闘」のことです。

 

例えば、苦境にはまり込んでしまって、どこにも出口が見つからないばかりか、立っていることさえままならない時。

明らかに動揺していて、頭が真っ白で現状把握さえもできずにいる状況。

それでも、自分の置かれた場所やこの状態を何とか理解したくて、先人の知恵や作家・詩人の言葉を探し回ったりします。(私の場合は本を開きます。)

見つけた言葉がその状況をうまく説明してくれていると、「ああ、自分だけじゃなかったんだ」と安心するのです。

かと言って、決して解決策を示してくれているわけではなく、苦境であることには変わりはないのですが。

 

最近読んだ本で、それに近い経験をしました。

この本の「苦闘」についての記述が、ピタッとはまりました。

ジグゾーパズルのピースがそれぞれ元に戻っていくように、すっとした感覚でした。

 HARD THINGS ベン・ホロウィッツ (著)

 

その箇所を引用します。少し長いのですが、端折ると伝わらない気がするので勘弁してください。

 

 苦闘とは、料理の味がわからなくなること。苦闘とは、自分自身がCEOであるべきだと思えないこと。苦闘とは、自分の能力を超えた状況だとわかっていながら、代わりが誰もいないこと。苦闘とは、全員があなたをろくでなしだと思っているのに、誰もあなたをクビにしないこと。苦闘とは、自信喪失が自己嫌悪に変わること。苦闘とは、苦しい話ばかり聞こえて、会話していても相手の声が聞こえないこと。苦闘とは、痛みが消えてほしいと思うとき。苦闘とは、不幸である。苦闘とは、気晴らしのために休暇を取って、前より落ち込んでしまうこと。苦闘とは、多くの人たちに囲まれていながら孤独なこと。苦闘とは無慈悲である。

 苦闘とは、破られた約束と壊れた夢がいっぱいの地。苦闘とは冷汗である。苦闘とは、はらわたが煮えくり返りすぎて血を吐きそうになること。苦闘は失敗ではないが、失敗を起こさせる。特にあなたが弱っているときにはそうだ。弱っているときは必ず。

 

「苦闘」を「試練」に読み替えても良いかも知れません。そして、筆者はこう続けます。

 

 スティーブ・ジョブスからマーク・ザッカーバーグまで、どんな偉大な起業家も苦闘に取り組み、困難を乗り越えてきた。だからあなたはひとりではない。

 しかし、ひとりでないからといって、あなたが成功するという意味ではない。うまく行かないかもしれない。だからこそ、苦闘なのだ。苦闘は、偉大さが生まれる場所である。

 

ただの甘い言葉で励ますのではない、肉声の真実があると思います。自ら苦境を経験した人が語る言葉は、今苦境にある人に勇気を与えますね。

 

 

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