短編集はあまり手にしないのですが、「週刊文春ミステリーベスト10」や「このミステリーがすごい!2015年版」で評判が良かったのと
昨年満65歳で逝去された連城 三紀彦さんの作品ということで読みました。
連城三紀彦さんはファンも多いのですが、但しこの10年間はご家族の介護や自身の闘病で執筆量が落ちたまま亡くなられたそうです。
けれども、やはり名作と呼ばれる作品群が絶版となって埋もれていくことを惜しむ声が多く、没後1年目にして傑作集(選者は故人を敬愛する4人の作家)が出版されたり、新刊や旧作の復刊など、今、大きく再評価されている作家です。
ここまで愛され続けている多くの作品を遺していることは、驚きですし素晴らしいことですね。
連城三紀彦さんは、男女間の心理、特に恋愛や愛憎を扱った抒情的なミステリーを描き出すことが得意な方です。
ですから恋愛小説でもあるんですね。
最後の一文を読むまで、何が真実なのかわからない。期待通りに読者は意表を突かれます。
短編一つひとつが、目の前に映像として浮かび上がってくるしっとりとした文章で、作家の世界に見事に引き込まれてしまいました。