パンドラは、ギリシア神話の中で人類最初の女性として描かれています。
つまり、それ以前の人類は男女の区別を知らずに男だけで暮らしていたのでした。
プロメテウスがことあるごとにゼウスに反抗し、人類に味方したので、怒ったゼウスは人々に災いをもたらすことにしました。
ゼウスはまず鍛冶神ヘファイストスに美しい女神をかたどった乙女の体を泥から作らせます。
そして機織りの女神アテナがこの体に生命と衣服(機織りの技術)を与え
美と愛の女神アフロディテは、美を与えました。
そして最後にゼウスはヘルメスに命じ、狡猾と裏切りを与えたのです。
こうしてできた人間の女性は、パンドラと名付けられました。
古代ギリシア語で、パンは「すべて」、ドラは「贈り物」という意味でした。
ゼウスの命を受けて、ヘルメスはプロメテウスの弟エピメテウスにパンドラを連れて行きました。
「あらかじめ知る者」としての意味を持つプロメテウスに対し、エピメテウスは「あとから知る者」を意味します。
兄に比べ愚か者であるエピメテウスは「ゼウスからの贈り物は決して受け取ってはならない」といった兄の忠告も聞かず、パンドラを自分の妻にしてしまいました。
やがて、パンドラが開けてはならない箱を開いて、人間の苦しみや病気、悩み、あらゆる種類の災いをまき散らしてしまいます。
そのため人間はいつ外から襲ってくるかわからない災いに絶えず怯えて暮らさなければならなくなりました。
パンドラがあわてて箱を閉めた時、一つだけ残っているものがありました。
それは希望でした。
そのおかげで人間はどんなに苦しめられても、希望を持って生きられることになったのでした。
下の絵はJohn William Waterhouseが描いたパンドラです。
数あるパンドラの絵の中で、彼が描くパンドラは最も彼女の好奇心を描き出しているのではないかと思います。