先日、新聞を読んでいて面白いなあと思った記事がありました。
それで調べてみると、もしかしてこれは広く知れわたっていることなのかも知れないと思いはじめました。
なので、「もうとっくに知っているよ~」というお方は今日はスルーしてもらっていいお話です。
「やぶ医者」のこと。その由来のお話です。
やぶ医者というのは、藪医者と書いてやぶ医者。
つまりは風が吹いたらざわざわと音を立てる藪。
それをかけて、風邪が流行った時だけ患者が増える医者を揶揄する言葉。
…と、思っていました。
今日、紹介するのは別の説です。
兵庫県に養父(やぶ)市という市があるそうです。
実は、そこのホームページにも「やぶ医者」のことが説明されているので、詳しくはそちらを読んでもらいたいのですが
簡単に説明すると
松尾芭蕉の弟子で彦根藩士の森川許六(きょりく)がこんな一節を残しているらしいのです。
「世に藪医者と号虎するは、本名医の称にして、今いふ下手の上にあらず」
つまり、もともと「やぶ医者」というのは、文字通り養父にいた、しかも名医のことだったそうです。
死んだも同然の人間を治してしまうほどの名医だったようで
貧しい人たちにも薬代を施すような、「赤ひげ」を彷彿とさせる、皆に慕われた方でした。
ところが、そのブランドに乗っかるようなバッタモンが続々と登場します。
「養父から来た。」「養父で医者修行をした。」
ブランドを語るニセモノですから、実力が伴わない輩でした。
そういう経緯から、名医としての代名詞が、やがて信用できない腕の悪いインチキ医者を表すようになったというのです。
そういう説があったとは驚きですね。
もうひとつ。
実は兵庫県養父市には医師会がありまして、そのホームページを覗いてみました。
歴史・沿革にこんな記事があります。
「世に藪医者と号するは、本名医の称にて…。但州養父といふ所に隠れて…。」
1706年芭蕉十傑の一人許六が本朝文選に記してから300年の歴史が刻まれた養父(市)医師(会)。
市(郡)医師会としては50年余の歴史が記録に残るのみであるが、21世紀の藪医者集団として後世にその名を残したいと会員は研鑽を続けている。
「21世紀のやぶ医者集団として日々研鑽」
この志が素晴らしいですね。
訪れてみたくなりました。