大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 大平哲也先生の研究調査です。
感情と高血圧の関連性について非常に興味深い研究をされました。
怒っている時に血圧が上昇することはよく知られたことですね。
イタズラがばれたカツオを、顔を真っ赤にして怒る磯野波平がふと我に返り
「いかん。血圧があがってしまう。」という場面は、代表的なシーンとしてイメージが容易です。
(ちなみに波平は「高血圧友の会」所属だそうです。)
怒っている時に、波平のように怒りを外に出すタイプの人(怒りを表情や行動で表す人)がいる一方で
怒りを内にため込むタイプの人(怒っても外に出さずに胸の内にためておく人)もいます。
怖いのは断然後者の方ですが…。
大平先生は、どちらのタイプの人が高血圧に関係するのかという研究をされました。
つまり、高血圧でない人がどんな怒り方をしているかで、その後の高血圧発症に関係するかを調べたものです。
高血圧でない30~74歳の秋田県、茨城県、大阪府、高知県の住民男女3,944人(男性1,356人、女性2,588人、平均年齢54歳)を対象として
怒りの表現方法とその後の高血圧発症との関連を調べました。
「怒りを内にためる程度」「怒りを外に出す程度」をそれぞれ測定。
怒りを内にためる程度は「怒りを胸の内にとどめる」「自分の胸の内だけで人を非難する」
怒りを外に出す程度は「言葉や態度で怒りを表に出す」「ドアをバタンと閉めるような荒々しいことをする」など8項目の質問に答えてもらうのです。
平均4年間の追跡調査で、新規に高血圧と診断されたのは451人でした。
高血圧発症との関連が、下のグラフです。
怒りを内にためる程度の高い群では、男性で1.5倍、女性で1.1倍の高血圧の危険度が上昇していました。
女性はあまり関連性がないのですが、男性の場合、怒りを内にためると高血圧の危険性が増すのですね。
ストレスをいつまでもためこんでしまっているのかも知れません。
一方で、怒りを外に出すタイプの人は、高血圧との関連性はなかったようです。
男性の皆さん!
だからと言って、怒りを外に出しましょうと言っているのではないですよ(笑)
周りの平和のためにも、自身の健康のためにも、怒りの対象を笑ってゆるしてしまう度量の大きさを育んだ方が得策ですよね?
特に男性は「人生、日々、精神修養!」が必要ということなのかも知れません。