個人的にも、興味深い研究報告がありました。
それは、人が24時間以上眠っていないかどうかを見分けることができる新しい血液検査の開発です。
この検査は「Science Advances」誌に掲載され、その精度は99%にも及ぶのだそうです。
この技術の開発の背景には、私たち全員に関わる深刻な問題があります。
睡眠不足は、ミスや事故につながる大きなリスクとなります。
特に、運転手や医療従事者など、常に高い注意力が求められる職業では、この問題は非常に大きいものです。
研究によると、世界の道路事故の約20%が睡眠不足が原因とのこと。
こうした背景から、睡眠不足を客観的にかつ正確に検出する方法の開発が求められていました。
この挑戦を受けたのが、クレア・アンダーソン教授をはじめとする研究チームです。
彼らは、血中のバイオマーカーを分析することで、睡眠不足の状態を見つけ出す方法を見つけました。
この研究は、40時間にわたる起床状態を経験した参加者を用いて実施されました。
血液サンプルから、わずか5つの代謝物質を分析するだけで、参加者が24時間以上眠っていない状態を99.2%の確率で識別できたのです。
この技術がもたらす可能性は計り知れません。
睡眠不足が原因で起こる事故を減らすことはもちろん、健康管理や労働安全においても大きな進歩をもたらすでしょう。
アンダーソン教授は、アルコール検査が交通事故を減らすのに大きな役割を果たしたように、この技術も同様の効果をもたらす可能性があると語っています。
しかし、研究チームは、この検査法が広く利用されるためには、さらなる検証と改善が必要だと指摘しています。
現段階では、この技術は若年の健康な成人を対象にした研究ですが、将来的にはより広い対象者に対しての有効性が確認される必要があります。
また、現実の環境でどのように機能するか、その実用性も問われることになります。
将来的には、この検査が日常的に利用される日がくるかも知れませんね。
元論文:
Jeppe K, Ftouni S, Nijagal B, et al. Accurate detection of acute sleep deprivation using a metabolomic biomarker-A machine learning approach. Sci Adv. 2024;10(10):eadj6834. doi:10.1126/sciadv.adj6834
